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講演 ペイオフ解禁と金融機関の不良債権問題

講演 ペイオフ解禁と金融機関の不良債権問題
長野県金融経済セミナー
今後、われわれはどうすればよいのか?
さてそれでは、今後私達はどう対処すればよいのでしょうか。
銀行等の経営が不安定化し、しかも国が預金全額を守ってくれないとなると、自分達で金融機関を選ぶ以外道はありません。しかし、実際にはこれがなかなか難しいのです。なぜならば、銀行等が発表している各種の経営指標は、なかなか経営の実態を正確に表していないからです。

例えば、「自己資本比率」という指標があります。これが先ほどご説明した「車のバンパー」の厚さを表すものです。大手行等では8%以上、他は4%以上必要ということになっています。しかし、不良資産計上の甘さ等からかなり嵩上げされているのが実態です。株価、格付等を利用する手もありますが、これとても完全ではありません。
また、仮に「ある金融機関が比較的安全だ」ということになっても、そこに集中して預けることは困難です。先ほどご説明した限度額以下に抑えるために、例えば奥さんや子供さんの名義で預けるという手もありますが、この場合、贈与税の問題や「単なる名義の借用」とみなされ、ペイオフの保護対象外となる恐れがある等の問題があります。
こうした点からは、結局は幾つかの金融機関に分散してキチンと自分名義で預ける、といった方法が良いように思います。
いずれにしても、「これだ」という決定的対策がなかなか無いのが実情です。同様の問題は、巨額の公金預金を抱える自治体でもかなり深刻で、私が会長を勤める東京都の公金管理委員会(東京都出納長の諮問機関)でも、なかなか決め手が見つからず、苦慮しているのが実情です。
私は以前から、ペイオフ解禁には反対でしたが、最近の状況を見てもさらにこの主張の妥当性を感じています。私の主張の詳細は、朝日、日経新聞等に詳しく紹介されていますので、細かい点は省きますが、(1)金融機関の経営はまだまだ不安定であり、今後も破綻に陥る先が少なくないと見られること、(2)銀行等の経営情報の正確な開示がまだ不十分であり、預金者に自己責任を問うことは困難であること、等がその理由です。
最近再び、来年4月のペイオフ全面解禁を延期すべし、との議論が出始めていますが、その行方は定かではありません。いずれにせよ、今、われわれが認識すべきは、経済や社会がここまで変化してくると、世の中に「絶対安全」というものはない、ということではないでしょうか。
銀行も、企業も、そして国もわれわれを守ってくれるものではないのです。大手企業、銀行でも倒産するのです。国家財政も破綻の危機に瀕しており、年金制度一つをとってみても、不安要因は非常に大きなものとなっています。
従って、やはり、「自分達の生活は自分で守る」、「そのためには、絶えず新聞等の情報に目を通し、自分自身で生活設計をきちんとする」、という姿勢が重要です。そのことを最後に申し上げて私の話を終わらせて頂きたいと思います。
