金融教育公開授業
2013年度 金融教育公開授業
宮城県金融広報委員会
登米市立中津山小学校
金融広報中央委員会
宮城の実施報告
「金融教育公開授業 in 宮城(中津山小学校)」(11月8日開催)
登米市立中津山小学校は、「自らをきりひらく子の育成」を学校教育目標に掲げ、平成24年度・25年度の2年間、金銭教育研究校の委嘱を受け、「進んで役割を果たそうとする児童の育成」を研究主題として研究実践に取り組んできました。
11月8日(木)に金融教育公開授業を開催し、全校児童を対象にした公開授業および研究発表、国士舘大学教授である北俊夫氏による講演を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「おそうじ ぴかぴか だいさくせん」
ほうきで丁寧に掃除をするのはなぜか(床拭きの前にゴミを取り除く必要がある、学級や全校の人が良い気持ちになる、など)を考えました。ほうきを製造している会社からの手紙が読まれ、子どもたちは、作っている人の気持ちを知ってから、実際にほうきで掃除をしてみました。
(2)「係の仕事を見直そう」
係活動の班ごとに、係活動を進んで行っていない理由や、係活動があまり役立っていない理由について気付いた点を出し合い、学級のみんなの役に立つためにどんな工夫ができるかを話し合いました。そして、係活動を活発に行うために考えたことをそれぞれの係が発表しました。子どもたちから、係活動は意味のあるものなので楽しんで行いたいという意見や、担当表を掲示することで忘れないようにするといったアイデアが出されました。
(3)「共に生きる ~仲良し5・5交流をしよう」
これまで行ってきた5歳児との交流を振り返り、次回の学校探検時にどのような関わり方ができるかをグループごとに話し合いました。発表を踏まえて、各人が「活動の目当て」をつくりました。
(4)「お店を開こう」
お世話になっている人への感謝の気持ちを示すために、お店を開いて手作りデザートでもてなす予定があります。公開授業当日は、招待する友人の好みを踏まえてどんなデザートを作るか、計画を立てました。材料や費用を書き出し、作り方を確かめました。
(5)「はたらくっていいな」
『おもいでいっぱいのなつ休み』を題材として、歩道橋のごみを毎朝拾っている高橋さんと一緒に活動した主人公が、どうして掃除をしようと思ったのか、掃除をしながらどんなことを思ったのかなどを子どもたちで話し合いました。「人の役に立ったと感じたことがあるか」との質問に、子どもから「家庭でお手伝いをしたとき」との回答がありました。授業の最後に、手伝いに関する保護者からの“感謝の手紙”が紹介されました。
(6)「家族の一員ならば」
『お母さんのせい求書』を題材として、主人公がどんな気持ちで請求書を書いたか、また、お母さんからの請求書を見て何を思ったかなどをワークシートに書き出しました。最後に、事前に準備されていた家族からの“励ましのメッセージ”を読み、感想を書きました。
(7)「きれいにしよう クリーン大作戦」
家庭に対して行った「家事に対するアンケート」の結果を見て、気付いたことをワークシートに記入し、発表しました。また、「わが家のクリーン作戦」のテーマで、家族のために自分ができることについてグループ別に話し合いました。
2.研究発表
以下のような発表がありました。
1)金銭教育研究校の委嘱を受け、研究主題を「進んで役割を果たそうとする児童の育成」とした。
2)授業や学校生活での取り組みのほか、家庭への啓発を行った。
3)主に道徳や学級活動において働くことの意義に気付かせる授業を実践した。
4)係活動・児童会・掃除などの活動では、点検カードを活用したりポスターを作成したりしたことで自主的・自発的な取り組みが見られるようになった。
5)家庭には手伝いの状況に関するアンケートや意識調査を実施するとともに、学校での取り組みを定期的な便りで紹介した。
6)このような取り組みの結果、学校と家庭が協力して児童の意欲的勤労観を育成できた。また、児童の「人の役に立つ人間になりたい」との気持ちが定着した。
3.講演会
公開授業の後、北俊夫氏から、「働くことの意義と金融教育のかかわり」と題する講演が行われました。
北氏は、学校現場では近年、改めて社会で生きる力を育てるという課題が認識されている、と話されました。そして、子どもたちが社会に出て、金銭トラブルに巻き込まれるなど困ることのないよう指導をすることが学校教育の役割であると指摘された後、「中津山小学校でも金銭教育の取り組みを継続するとともに、実践の成果を他校や家庭に広めて欲しいと願っている」とお話になりました。
また、良い「金融・金銭教育」の例として、1)野菜を生産し、地域の人たちに販売することで労働を経験する取り組み、2)新しい栽培園の企画・設計を児童が担い、実際に作りながら働くことの大切さ、働くこととお金の関係を体感する取り組み、3)蕎麦屋を営んでいる家庭の子どもの話から、お金がもらえる仕事(労働)ともらえない仕事(家事労働)について考える取り組み、4)福祉施設でのボランティア活動を通して、無償の奉仕について考える取り組み、などを紹介されました。
さらに、働くことの意義とお金について子どもたちに学ばせるには、学校だけでなく地域の方々の協力を得て、活動に対して評価してもらいながら行うことが好ましい、と強調されました。
金融教育の視点や、指導方法について具体例を挙げて説明された後、「金融教育は、いつでもどこでも行うもの。特別なことではなく、当たり前の教育として実施していくことがとても大事」と締めくくられました。
4.プログラム
- 9:45-10:30
- 公開授業Ⅰ
(1)「おそうじ ぴかぴか だいさくせん」(1年生・学級活動)
(2)「係の仕事を見直そう」(3年生・学級活動)
(3)「共に生きる ~仲良し5・5交流をしよう」(5年生・総合的な学習の時間)
(4)「お店を開こう」(たんぽぽ・生活単元学習)
授業者:登米市立中津山小学校教諭 五十嵐葉子、佐藤美春、菅原真理、鈴木陽子、鈴木恵美、岩瀬孝吉 - 10:45-11:30
- 公開授業Ⅱ
(5)「はたらくっていいな」(2年生・道徳)
(6)「家族の一員ならば」(4年生・道徳)
(7)「きれいにしよう クリーン大作戦」(6年生・家庭科)
授業者:登米市立中津山小学校教諭 須藤士、佐々木義武、山田晃 - 12:45-13:00
- 開会挨拶
登米市立中津山小学校校長 松田良幸
宮城県金融広報委員会幹事 三浦義博 - 13:00-13:20
- 研究発表「進んで役割を果たそうとする児童の育成」
発表者:登米市立中津山小学校教諭 大内理恵 - 13:20-13:40
- 指導講評
宮城県東部教育事務所登米地域事務所次長 工藤吉則 - 13:40-14:55
- 講演「働くことの意義と金融教育のかかわり」
講師:北俊夫氏 - 14:55-15:00
- 閉会挨拶
登米市教育委員会教育長 片倉敏明