金融教育公開授業
2011年度 金融教育公開授業(全国リレー講座)
千葉県金融広報委員会
千葉県立市川昴高等学校
金融広報中央委員会
千葉の実施報告
「金融教育公開授業 in 千葉(市川昴高等学校)」(11月29日開催)
市川市は都心から20㎞圏内に立地し、多くの文化人が居を構える文豪の街として、また、豊かな自然がいまだ残る梨の生産地としても有名です。千葉県立市川昴高等学校は、今年度、市川北高校と市川西高校を統合して設立された全日制普通科高校で、新校名の「昴」(すばる)は多くの星=生徒が集い、互いに高め合うことを象徴しています。「生命・感謝・審美」を教育理念とする、部活動が活発な学校です。
11月29日(火)に公開授業を開催し、同校教諭による公開授業と、生活経済ジャーナリストのいちのせかつみ氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
当日は、2・3年生の計16クラスを対象に、総合的な学習の時間に「カード社会の歩き方」と題した授業が行われました。
「これであなたもひとり立ち」を教材に使用して、社会人となれば保有するであろうクレジットカードについて、その仕組みやメリット・デメリットを学習し、カード社会を生き抜くための力を身に付けることが目標です。
初めに、「高額な品物が今すぐ欲しい、でもお金が足りない、そんなときどうする?」と生徒に問いかけ、選択肢の一つとしてクレジットカードがあることを理解させました。そして、クレジットカードとは、その人の信用をもとにお金を後払いできるカード、すなわち借金であると説きました。消費者と販売会社との間に専門のクレジット会社が入る「三者間契約」の仕組みを図解し、クレジット会社に借金をしているということを理解させました。また、一括払いと分割払いについて、生徒はそれぞれのメリット・デメリットを考えて発表し、支払方法による手数料の違い等を学びました。
授業の最後には、状況に応じて使い分けること、消費者の正しい知識と判断が必要であること、クレジットカードを持つということには責任が伴うということを踏まえ、賢い消費者になって慎重に利用して欲しいと締めくくりました。
2.講演会
公開授業の後、体育館に場所を替え全校生徒を対象に、いちのせかつみ氏による講演会「世界一おもろいお金の話!」が行われました。
いちのせ氏は、初めにコンビニの商品陳列の工夫や、商品のネーミング変更で売り上げが変わることを話され、こうしたことは企業努力であり人間の深層心理に関わると説明されました。また、ハンバーガー屋は赤、ラーメン屋は黄、病院は青、コーヒーショップは緑という具合に、お店や業種によって看板やテーマカラーを決めていて、それが売り上げに繋がっていることも説明されました。普段の授業では聞けない意外な裏話は、生徒たちの興味を強く引いたようで、熱心に聞き入っていました。
次に高校生の必須アイテムである携帯電話について、依存症チェックを行い、なりすましメールへの注意を喚起しました。生徒たちは使い方によっては危険も多いと理解できた様子でした。
最後に、正社員とフリーターの生涯賃金の話があり、あまりの金額差に生徒たちから驚きの声があがりました。
生徒のアンケートには「購買力を自覚できれば無駄遣いせずにすむ」などといった感想や「自己責任」という言葉が多く見られ、携帯電話を巡るトラブルや危険性を理解し、正しい知識を得た様子が窺われました。また、自分が起業したらこうしたいといった具体的な感想が聞かれるなど今後の進路にも影響がみられました。参観者からは、「内容が幅広く、面白くて参考になることが多かった」「学校でも家庭でも金融教育は行うべき」「金融教育がもっと浸透していくことを望む」など金融教育の必要性を痛感したという声が多く寄せられました。
3.プログラム
- 13:10~13:40
- 公開授業「カード社会の歩き方」(2・3年生の全16組)
授業者:千葉県立市川昴高等学校教諭 - 14:00~14:05
- 開会挨拶 市川昴高等学校校長 齊藤孝
- 14:05~15:35
- 講演「世界一おもろいお金の話!」
講師:いちのせかつみ氏 - 15:35~15:40
- 閉会挨拶 千葉県金融広報委員会幹事 池田美明