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金融指標の見方

1.金利の巻

(1)コールレート

さしずめ我が国の短期金利の代表選手です。これは、都銀、地銀のほか農林中金や信金中金、証券会社、保険会社といった金融機関が互いに短期の資金の貸借を行うに際して付く金利のことです。なかでも平時においては最も取引高の大きい翌日物の金利水準が指標的なデータと見なされています。

さらには、このコールレート翌日物の金利はその時々の金融政策の方向性を敏感に反映することでも知られます。例えば日本銀行が金融を緩和しようとする場合には、金融市場に対して潤沢な資金の供給を行いますが、このときには市場には資金が豊富にあるため、金融機関全体としては資金調達意欲が低下するのです。そうしますと、コールレートは下がることになります。

こうしてより低い金利(コールレート)でお金を借りることができる銀行などは、より低い金利で企業などに貸し出しても採算が合うわけですから、実際に貸出金利を下げるのが普通です。そうすれば、企業にとってみればより低いコストでお金を借りることができるため、借入に積極的になり、これが企業全体の活動を促進するという効果を発揮することになるのです。

翌日物コールレートは短期の預貯金金利の先行指標としての役割を負っています。この金利が上昇していくと、やや遅れて1ヶ月、3ヶ月、1年といった短期の預貯金金利が上昇していくことになるのが普通です。

(2)10年長期国債の市場売買利回り

我が国が歳入不足を埋めるために発行する国債のうち、発行量が多く中心的な銘柄と目されているのが10年長期国債です。この国債は多くの債券と同じようにいったん発行された後、流通市場で市場参加者によって自由に売買されます。そこでついた利回りが、我が国の長期金利の最も指標的な存在とされています。国が発行する長期国債の市場利回りが長期金利の代表というのは、おおむね世界各国とも共通です。

この長期国債の売買は銀行、証券会社、機関投資家、外国人など多くの参加者によって行われているため、同じ日、同じ時間であってもその利回り水準には相応の差があるのですが、銀行、証券会社などの業者の間で取引される利回りが最も代表的な金利として指標になっています。多くの場合、新発債の売買利回りが指標的な存在と見られています。

この国債売買市場では、投資家の自由意思に基づいて取引が行われており、基本的には「これから値段が上がりそう」とか「株などは今リスキーなのでとりあえず国の保証の元で元金は保全されるので安全」といった動機によって購入されることが一般的です。

これが長期金利の指標的な存在ということは「この利回りの変動に影響されて、国内の長期金利のほとんどが動く」といった程度の意味です。具体的には、この国債利回りが上がると、政府関係金融機関の貸出金利や期間2年以上の預貯金金利あるいは中長期の住宅ローン金利などがおおむね横に倣えで上がることになるのが普通です。

また期間10年物の個人向け国債の金利は、この10年長期国債の市場売買利回りを基準にして決まる新たに発行される銘柄の利回りから、一定の金利を差し引いた水準で決定されることでも知られます。

なお、債券一般についても言えることですが、国債はその性格上、人気が出て価格が上がると逆に利回りは下がることに注意が必要です。

(3)米国長短金利

昨今では我が国の超低金利を嫌って海外の金利商品に直接、あるいは投資信託などの形を通じて間接的に投資するという動きが個人レベルでも強まってきています。であれば、米国の長短金利程度は常時ウオッチしておいてもいいでしょう。

米国の短期金利としては我が国のコールレートに相当するFF(フェデラルファンド)レートが代表的な金利です。やはり、米国の金融機関が互いに短期の資金の貸借を行うに際して成立する金利です。

長期金利も我が国と同じく、期間10年として発行される財務省証券(米国国債)の市場での売買利回りが最も中心的な金利とされています。