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経済は連想ゲームだ!

第3章 留意しておくべきいくつかの点

4.影響がすぐに現れる場合と、中長期的にじわじわ現れる場合がある

個々の経済・金融メカニズムについてはそれが比較的短期的に現れる場合と、数ヶ月とか場合によっては1年以上の期間を経てから徐々に影響が現れてくる場合があります。つまり、短期間でその影響が見られないからといって、そのメカニズムが働いていないと判断しない方がいい場合があるということです。

たとえば金利が一段上昇したといって、すぐに企業業績が悪化し、経済成長力が鈍化するわけではありません。金利の上昇が企業のコストを増大させ、それが企業活動に跳ね返ってくるのにはそれ相当の期間が必要です。あるいは、円安が国内物価を引き上げるというメカニズムについても同様です。円の対ドルレートが1ヶ月間の間にたとえば1ドル=120円から140円になったといっても、すぐに国内物価が上昇するわけではありません。輸入企業は普通数ヶ月〜半年程度先の決済を睨んであらかじめ為替レートを予約していますので、直ちにこれらの企業にとっての輸入価格が上がるわけではないからです。

これに対して、日本と米国の株価の動き方が大きく違った場合などには、非常に短期的にその影響が為替相場に反映されることが多いのです。あるいは日米両国の金利差が急激に変動したような場合には、為替相場はそれを敏感に反映しがちです。

つまり、株式、債券などの市場での資金の動きは周りの影響を非常に敏感に受けがちであるため、こうした資金移動に伴う変化は急であることが多いのです。

5.市場内部要因が強烈に働く場合

政策の先行きについてある種の予想が優勢であったり、市場内部要因が非常に強く働き、その影響力が他の影響力を凌駕する場面が度々あります。この場合には、以上で説明したとは違ったメカニズムが働くことも珍しいことではありません。

たとえば、補正予算が組まれて追加公共事業が行われることになった場合には、以下のうち、どちらのメカニズムが働くかは容易に推測できません。まず1つ目は追加事業が景気を刺激して企業業績が全体として好転すると言う見通しに基づき株式が買われるというケースがあります。2つ目には、追加事業を行うために国債が増発され、それが長期金利を引き上げるためこれが企業業績を圧迫すると見れば、株は売られることになります。

あるいは、日本株が下がっているときには株式市場から資金が流出し、これが債券市場に流入して債券利回りは低下するというのがオーソドックスです。しかし、日本株が下がっているときに外国人投資家がここで被った損失の穴埋めをするために、日本の債券を売って益出しを行うということもままあります。この場合には「日本株下落」と「日本債券下落」が同時に進行することがあります。

これまで解説した基本モデルを現実に応用するに際しては、最低限以上の5点について留意していただければと思います。

コラム 需給バランスの原則

「需給バランスの原則」とは、一言で言うと「より多数者の側にとって取引条件が悪化すること」です。言い換えれば「少数者有利」ということです。こんなふうに簡単に定義してみると、案外経済・金融の世界における数字の変化は分かりやすくなるはずですよ。

ある特定の住宅用土地に対して、買い手が増えれば買い手にとって不利なように価格が上がりますし、誰も買い手がつかなければ価格は下がります(買い手にとって有利)ね。

「たとえば債券の買い手が増える」と「債券価格は上がる」ことになりますが、これはまさしく「(満期まで持ったときに実現する)利回りが下がる」ことにより、「買い手にとって条件が悪く」なるわけです。債券においては「価格が上がること」と「利回りが下がること」はイコールです。