暮らしとおかねの身近な法律
2.暮らしとおかねの身近な法律(家)Q&A
Q2-3.買った家の移転登記を忘れたら?<登記の対抗力>
Xさんは先日A氏から家を2,000万円で購入しました。Xさんはこの家の所有権の移転登記をせずに過ごしていたところ、A氏はXさんが登記をしていないことをいいことに、同じ家を(XA間の売買を知らない)Yさんにも売却してしまいました。Xさんはその後登記を忘れていたのを思い出し登記の手続きをしようとしましたが、既に登記簿がYさん名義となっていました。この場合、XさんはYさんに自分が所有者であると主張できますか?
A2-3.できません。
A氏は自己所有の家をXさんとYさんの双方に売却しています。このような売買は二重譲渡といい、売買の先後に関係なく、先に登記をした者が自己が所有者であることを第三者に主張できます(民法第177条)。したがってXさんはせっかく買っても登記を怠ったということで、Yさんに所有権を対抗できないのです。これを登記の対抗力といい、重要な規定ですので覚えておいてください。
ですから、不動産を取得した場合は、司法書士や弁護士など専門家に立会ってもらうなどして移転登記に必要なすべての書類を受領した後、速やかに登記をすることをお勧めします。
民法第177条:[不動産に関する物権の変動の対抗要件]
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。