暮らしとおかねの身近な法律
3.暮らしとおかねの身近な法律(相続)Q&A
Q3-4.他に共同相続人がいるが、自分の相続分の預金だけを引き出すことはできないか?<遺産分割>
A3-4.金融機関によって取扱いがことなりますが、認められる事例が増えてきています。
つい最近まで、多くの金融機関は共同相続人全員の同意がなければ遺産である預金の引き出しを認めなかったため、しばしば相続人の間で争いになることが多い問題でした。
しかし、ここ数年の間に裁判例で、たとえ共同相続人の全員の同意がなくてもその一人による預金の払戻や預金記録開示請求が認められるようになりました。
そもそも預金は可分債権(民法第427条)ですので、分割請求は可能であるのが建前です。
遺産分割においては取り分をめぐって共同相続人間で紛糾することがしばしばあるため、金融機関は容易に払戻を認めてきませんでした。しかし訴訟になれば、相続分に応じた金額の払戻しを求める相続人の請求を認める裁判例が大勢を占める傾向にあるため、最近では共同相続人全員の同意を不要とする取り扱いが増えてきています。
民法第427条:[分割債権及び分割債務]
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。