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シリーズ社会保険

(2)労働者災害補償保険

1.労災保険は強制加入

労働者災害補償保険は、省略して「労災保険」(以下「労災保険」という)ともいわれ、法人や個人の事業所を問わずその事業所で働く「労働者」の業務上の災害や通勤途上の災害について補償する国の保険です。したがって、1人でも労働者を使用している事業所では強制加入(事業主の義務)とされています。

この場合の労働者とは、正社員ばかりでなくパートタイマーや臨時のアルバイトも含まれますが、法人企業等の事業主や役員は労働者ではなく、その対象から除かれています。

なお、「取締役営業部長」などの兼務役員については、労働者の性格の強い場合や賃金の支払われ方などを総合的に判断して、その対象とされています。したがって、労働者から専任役員になった場合は、役員の業務上や通勤途上の災害に企業として対応する必要がありますし、労働者であっても特に障害や死亡の場合は、労災保険の補償だけでは不十分なこともあり、生命保険・障害保険などの「労災保険の上乗せ保険」への加入などの対応が求められます。

労災保険には、後述のように各種の給付があります。あまりよく知られていないものもありますが、いざという時の生活の支えとして重要なものですのでよく理解し、これらを踏まえて生命保険・障害保険の加入額等を検討されてはいかがかと思います。

2.業務上の災害等の判定基準

業務上の災害の判断基準は、業務中の災害(業務の遂行性という)であることと業務に起因する災害であること(業務の起因性という)の2つがその要件とされていますが、この点では通勤途上の災害についても基本的には同じです。

最近では、いわゆる「過労死」や業務上のストレスに関連する傷病なども労働災害に認定されるケースが増えてきています。その背景には社会・労働環境の変化や医学の進歩に伴い、業務の起因性の認定が可能になりつつあることなどが挙げられていますが、しかし個々人の性格や精神的な要因に関連するため、判定の難しい問題には違いありません。

3.労働保険の適用と保険料

労災保険と雇用保険は、総称として「労働保険」といわれ、事業所単位(所在地の異なるごと)に適用されます。一般の事業の場合は、原則として労災保険と雇用保険は1つの労働保険(一元適用という)として適用されていますが、建設業の場合は、工事現場の所在地が一定でなく有期であることなどから、労災保険と雇用保険は別々の労働保険(二元適用という)として適用されています。

保険料は、労災保険の保険料も雇用保険の保険料も「労働保険料」といわれ、一般の事業の労働保険料は次のとおりです。

(1) 年度当初(5月20日まで)に、前年度の支払賃金総額を基準に「概算保険料」を申告し納付(保険料額に応じて1回または3回で)する。
(2) 年度終了後に実際に支払ったその年度の支払賃金総額に、業種ごとの危険度に応じて定められた労災保険料率1,000分の133から5.5(全額事業主負担)と雇用保険料率1,000分の15.5(事業主負担9.5、被保険者負担6)を乗じて確定保険料を算出する。
(3) 概算保険料との過不足額は、翌年度の概算保険料にプラス・マイナスして精算する。

この業務は、労働保険の「年度更新事務」といわれています。なお、雇用保険の被保険者の負担分は毎月の賃金額に応じて賃金から控除されます。