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高校生小論文コンクール

「金融と経済の明日」第1回高校生小論文コンクール(平成15年)

この夏、金融と経済の明日について考えてみませんか?

「私の考える構造改革」

秀作

茨城県 水戸短期大学附属高等学校 2年 末井 正人

いわゆる「バブル経済」がはじけて以後、日本では10年にもわたって不景気が続いた。この10年間はしばしば「失われた1990年代」とも呼ばれるが、21世紀に入った今日も、いまだ不況の終わりが見えないでいる。

今、日本では消費が鈍っている。つまり、人々があまり物を買わないということだ。人々が物を買わなければ当然物が売れなくなる。その結果、たいていの企業は収益が下がることになり、同時に従業員の給料も下がることになる。すると、収入の減った人々はあまり物を買わなくなるという具合に、今の日本経済は完全に悪循環に陥っている。

しかも、この悪い流れは、じっと我慢していれば、いつか自然に解消してくれるという類のものではない。この悪循環は、繰り返せば繰り返すほど状況を悪くしていくのだ。

だが、それにもかかわらず、「失われた1990年代」、この悪循環は繰り返され続けた。

その結果、いくつもの企業が経営破綻の憂き目を見たわけだが、この10年間に政府のとった対応はというと、特定の大企業には公的資金を投入して決定的な破綻を回避させるという、「その場しのぎ」のものでしかなかったのである。もっと早く人々が生活の質を重視した豊かさを求めるべきだった。

むりやり消費を盛り上げようとしても、みんな豊かになって、あまり買いたい物がない状態になっている。無駄遣いが日本経済のためになるなんておかしい。

生活を見直して節約することが一家の構造改革になる。でも、日本中が、お金を使わなくなると、物が余計に売れなくなり、家計も、企業も、縮み指向になるという問題が発生する。それが、デフレ不況に拍車をかけて失業者が増え、給料が下がる悪循環になる。

さらに、政府が「痛み」とか「自己責任」ということを言うようになって、老後のことは自分で何とかしなさいという雰囲気を作ったため、将来の生活に不安を感じ、消費を抑える傾向が強くなっている。政府が、消費心理を冷え込ませている。

日本にいる外国人の「日本人は何のために貯蓄していますか」という質問にたいていの日本人は、家を買うためとか、老後の安心のためと答える。そういう意味では、本当に欲しい物が、なかなか手に入らない不満やもどかしさを感じている人が多い。

国民が本当に欲しい物は、「モノ」ではなくて、暮らしやすい社会、健康で暮らせる環境、子供を生んで育てやすい環境ではないだろうか。

私が望む構造改革は、もっと人間や自然を大切にする社会にすることである。例えば現在、特別養護老人ホームに入りたくても入れない人が23万人もいるという。人が死ぬのを待たないと施設を使えないなんてひどい話だ。国民のためになる税金の使い方を考えて、暮らしやすい世の中にすることこそ構造改革だ。

経済発展ばかり目指してきたことで、あちらこちらで、自然環境破壊が起きている。発展、開発させる必要のない物、人間の役に立たない物までが、経済的な競争などから生まれてくる。

私達は、もっと生活の質を重視して物質文明にとらわれない考え方を広める必要がある。使い捨てをして、次々と新しい物を買うのが、豊かさだという錯覚を正す必要がある。資源を無駄遣いするのではなく、リサイクルなどによって、資源を大切にする制度を整えてこそ豊かな社会なのだ。

そこで、最近注目を浴びている一つが、ゴミ固形燃料だ。家庭などから出る生ゴミを粉砕し、乾燥させクレヨン大に固めた物でダイオキシンの発生を抑え、効率的な燃焼ができるため循環型社会を担う新エネルギーである。ところが、爆発事故が起き原因究明が急がれている。

もう一つが燃料電池である。燃料電池は、水素を空気中の酸素と化合させて発電する装置で、廃棄物は熱と水しか出ないため、二酸化炭素の削減や地球温暖化防止などの効果があげられる。したがって、燃料電池も再生可能なエネルギーで循環型社会の基礎になる。

国は温暖化対策を原子力発電に頼ろうとしているが、燃料電池を中心に転換すべきである。しかし、量産化にはまだまだ研究費や時間がかかりそうだが、国が支援すれば早くできるだろう。国はダムや高速道路などの公共事業ばかりに税金につぎこむのではなく未来指向型の産業に使うべきである。

今、「地域から国を変える」という新しい流れが起きている。脱ダム宣言をした長野県では、公共事業に頼らない地域社会づくりに乗り出した。

福祉や医療、環境分野の産業を支援したり、お年寄りと幼い子供が一緒に過ごせる「宅幼老所」という施設を増設し、2万人の雇用計画を打ち出した。こうした新しい産業と雇用を生み出す税金の使い方は、消費の回復にもつながるものである。

他の地域でも改革派知事と呼ばれるリーダーが、情報公開や住民参加など新しい政策を掲げている。埼玉では25人学級を実施し教育改革を進めたり、東京都はディーゼル車の規制など着手している。日本全体の改革を考えるうえで、地域からの改革がとても重要なヒントになるのではないか。

つまり、政治にも経済にも社会にも、市民の意見が反映されなければ、人々が望む改革はいつまでもできない。やはり一番大切なことは、生活者本位の改革を行うことである。デフレ克服の鍵は、そこにあると考える。

著名人・有識者が語る

  • 脳科学者 中野信子さん
  • 作家 上橋菜穂子
  • 落語家 林家たい平さん
  • 劇作家・演出家・女優 渡辺 えりさん
  • 青山学院大学陸上競技部監督 原 晋さん
  • 東京女子医科大学・先端生命医科学研究所教授 清水 達也さん
  • 元スピードスケート選手/長野五輪銅メダリスト 岡崎 朋美さん
  • 工学博士 石黒 浩さん
  • 日本体育大学教授 山本 博さん
  • 編集者・評論家 山田 五郎さん
  • 作家 荒俣宏さん
  • 医学博士 日野原重明さん
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  • 公認会計士 山田真哉さん
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