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高校生小論文コンクール

「金融と経済の明日」第3回高校生小論文コンクール(平成17年)

考えようよ、日本の経済。

「株主と企業の関係」

特選・金融広報中央委員会会長賞

東京都 早稲田大学高等学院 3年 一二康紘

私が祖父母の家を訪ねると、あるファストフード店のハンバーガー引き換え券を何枚かもらった。いわゆる株主優待と呼ばれるものだ。今までもおこづかいと一緒にいろいろなものがもらえるので喜んでいた。祖父母は私が幼い頃からずっと株の取引を行っている。平日は朝9時から株式情報のテレビ番組を必ず見て、オリジナルのノートに祖父が何かを書き込む。

このような光景は小さい頃からずっと見慣れていた。そのため、テレビ画面で伝えられる株価の値動きや日本企業の動向に私も少しの興奮を覚え、株というものについて興味をもっていた。

そのような中、私を夢中にさせた出来事がある。それはテレビや新聞でも大きく騒がれた、ある有名社長がある企業の株を大量に取得して、買収しようとした激しい買収合戦のことだ。私はこの攻防戦を見ていて、会社とは誰のものなのかを考えさせられた。こんなにも突然に株の取得によって会社はある人のものになってしまうのかと。結果的には、大量取得された株式をその企業の親会社が買い取る形で和解に至ったが、この出来事は私にとって大きな衝撃だった。

一体会社というものは誰のものなのだろうか。株式会社というものは何なのか。

まず、「会社」という言葉が教科書の中で初めてでてきたのは、歴史で学んだ「東インド会社」だ。歴史的に資本主義経済の重要な役割を果たし、支配権までを握った大きな組織であるが、その仕組みを知ることで株式会社の意味を学ぶことができると思う。

当時のヨーロッパでは、香辛料が非常に価値のあるもので、人々はそれをとても欲しがった。そして、誰かがそれを仕入れるために船で外国まで行って調達し、人々に香辛料を供給する必要があった。この大仕事を行ったのが東インド会社である。このような大きな事業を行うには当然多額の費用が必要になる。そこで、事業を行うために出資者を募り、資本家から資金を調達したのだ。香辛料の売買によって得た利益は出資者のもとに分配された。

この仕組みから会社の意味を見出すことができる。まず、東インド会社は人々が香辛料を欲する要求を満たす役割を果たした。そしてこのビジネスを行った東インド会社はたくさんの富を得ることができた。また、事業達成に貢献した出資者にとっては、出資額以上に香辛料販売の利益分配による配当金が与えられ満足を得られたことになる。このように会社はたくさんの人によって成り立ち、たくさんの人に利益を還元する存在であるといえる。

私たちが今こうして日頃豊かな生活をおくることができるのは、企業によるものが大きく、企業を支えているのこそ、また私たちなのである。私たちにとって企業という存在はとても身近で必要な存在なのである。

すると、株式会社は誰のものなのかというと、経営者が会社を運営するから経営者のものであり、株式会社を成り立たせるのは株主であるから株主のものであるともいえ、更に我々消費者が消費活動を行うことで会社が運営していけるのであるから、私としてははっきりと誰のものだと結論づけることはできない。しかし、だからこそ、会社という組織は完全に自立しているものではないから、さまざまな人によって成り立つ存在なのである。

そこで、私が主張したいのは、企業は株主だけのものではないということである。確かに会社に対し投資を行っているが、当然彼らが会社の従業員や技術、知識やアイデアまでを保有するわけではない。むしろ、そういったものこそが会社を成り立たせるため、株主が会社を保有しているのではないということができる。

にもかかわらず、現実に日本、世界では、株式の取引だけによって一瞬にして会社が他の人、他の会社のものになったりする。企業買収の際は株の移動だけで完了してしまう。私が衝撃をうけたあの事件もそうである。私はその経営のやり方にいくらかの不満を感じるのだ。

もちろん、企業合併、買収によって、会社にとっても私たちにとってもよい利益が得られることは多々ある。経営がそのままでは存続しなかったような会社を大企業が救うことで今まで受けていたサービスを存続できることもある。また、共同経営によって効率よく利益を生むこともできる。企業合併、買収の目的はさまざまであるが、そういった際に全て株だけを中心に会社、それに携わる従業員の異動などが行われてしまうことに問題があると考える。

そして、現在において、企業は株価を中心に経営を進める傾向がないだろうか。本来会社がよい業績をあげることで、株主から評価を得、株価が上昇するというものであるが、株主からの評価を得ようと、経営の効率化や利益増に集中し株価を上げようとする、自己目的化の動きが感じられる。そのためによい製品、よいサービスを提供しようとする努力が損なわれている企業が存在するならば、私たちにとってよい企業とはなりえない。

企業とは私が思うに、さまざまな人々の上に成り立ち、たくさんの人に利益を還元する存在であると思うからだ。もちろん企業においては株価の上昇によって評価を得ることも、株主から投資を受けることも大変重要である。しかし、だからといって株価中心に目標を立て経営していくのはよくない。

長期的観点から考えても、日本の企業が今後より発展していくためには、目先の株価を目標とするのではなく、数年、数十年先に私たち消費者がより豊かな生活をおくれるように目標を立て、経営をしていかなければならないと思う。

だから、企業を支えていく株主としても、目先の株価上昇を予測して売買をするだけではなくて、きちんとどのような企業かを調べた上で、今後見込みがあると思われる、自分が投資しようと思う企業に投資をして欲しいと思う。企業は株主あってのものであり、株主が日頃そうして日本企業に対して目を配っていることで、日本企業全体の成長も期待できる。また、若者も積極的に株式取引に興味を持つことが必要だと思うのだ。

株価というのはその時点の日本経済の様子を表すものであり、業種、企業別にみれば全体的に値上がりしている活発な業種や企業が分かる。だから、私たちも日本経済の動向を見守り、多額の株式売買はしないまでも、信頼の置ける会社や自分の期待する会社に投資を行うことで、会社は利益を還元しようと努力し、全体的に日本経済が活発化していくと思う。

そうして、若い世代の参加による社会が生まれることで日本経済がより身近に、そして活発になっていくと思う。

株主と企業の関係は大変密接でお互いによって成り立つものである。だから、株主も企業も改めてその関係を認識し、私たちが企業によってより豊かな生活をおくることができるよう、努めていかなければならないと思う。

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