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高校生小論文コンクール

「金融と経済の明日」第3回高校生小論文コンクール(平成17年)

考えようよ、日本の経済。

「これからの公的年金制度のあり方」

秀作

広島県 広島市立基町高等学校 1年 西山雄大

現在、公的年金制度は保険料の未納者増加、少子高齢化の2つの問題により危機に瀕している。しかし、郵政民営化などの問題の陰に隠れてしまい、忘れ去られているような気がする。

2004年度の国民全体の保険料未納率は36.4パーセントにものぼり、若年層では2人に1人が保険料を滞納していると言われている。このような納付状況下で、現行制度を維持していくことはかなり困難である。

未納者増加の原因として考えられることはまず第一に、多くの人々が現状の負担増給付減という年金制度に不満を持っていることである。また、平均寿命の推移や物価の上昇など見通しのきかない社会変動にも対応出来るのかといった不安を持つ人も多いのではないかと思う。

そして、公的年金の必要性があまり認識されていないことも挙げられる。私的な貯蓄でも何とかなるのではないかと考えている人も多い。しかし個人貯蓄では前述のような大きな社会変動に対応できない恐れがある。急激な物価の上昇が起こった場合に、生活水準を維持することが難しくなってしまう。未加入のままでいることの将来への危険性を国民に周知徹底させる必要があるのではないか。

最後に年金制度の仕組みが非常に難解であることも大きく影響していると思う。「国民年金」「厚生年金」「共済年金」など6種類に分かれており、とてもややこしい。大人でも、完璧に理解している人は少ないのではないだろうか。

このまま保険料未納者が増加し続ければ制度の崩壊は目前である。年金問題を考えるに当たって、これは個人の損得に限った単純な問題ではなく、一人一人の保険料が制度を支えているのだということを再認識する必要がある。公的年金制度は、全国民が加入していてこそ成り立つものである。個人の身勝手な考え、行動が制度全体の崩壊を招いてしまう。それを防ぐため、未加入者に対して制裁措置をとることも止むを得ないことだと思う。

さらに、政府が公的年金制度の目的や意義、仕組みをわかり易く国民に説明するよう努力しなければならない。国民が年金問題を自分達自身の問題として考え、関心を持つことが出来るよう、工夫すべきだ。

公的年金が抱える最大の問題は人口変動への対応が不十分であることだ。少子高齢化対策として、児童手当の増額や支給期間の延長など様々な施策が行われているが、いまだに歯止めがかかっていない。数年後には、これまでの日本経済を支えた「団塊世代」が年金受給者の立場に回ることになる。その一方で彼らの年金を支える就業者人口は減少しつつある。このような状況の中で、負担が増加し受給額が減少するのは止むを得ないことであり、納得するしかない。

現在の対策が不十分で中途半端なため、10年後、私達が現役世代となっている頃にはさらに少子高齢化が深刻化しているだろう。2050年頃には日本の総人口のうち、およそ3分の1が65歳以上の高齢者になると予測されている。これが現実のものとなれば、たとえ全ての現役世代が保険料をきちんと納付したとしても、一人一人の負担は相当なものとなる。今以上に負担増給付減の傾向が強まることはまず間違いないだろう。

しかしそれでは、給付される年金だけで「健康で文化的な最低限度の生活」を送ることはほぼ不可能になってしまう。現時点でも既に、定年後の余生を年金だけに頼って生活するのは困難になりつつある。今後、国民は最低保障の年金の給付を受け、不足分を自助努力で補っていかなければならないだろう。近い将来、年金は高齢者の生活費の一部を支援する、という形にならざるを得なくなると思う。

そこで、高齢者が自らの生活費を稼ぐ方法も考えていくべきだ。その一例として、定年退職者に対する再雇用の道を開いていくことも検討すべきだ。また、平均寿命の延びに伴い、定年退職の時期や年金受給開始年齢をもう一度見直してみる必要があると思う。

少子高齢化問題に対して現状の対策だけでは不十分であることは誰の目にも明らかだ。平均寿命が延びたことは喜ばしいことである。しかし、高齢者が増えるということは、彼らの生活費や医療費、その他様々な負担が増すということでもある。それを担うべき就業者人口が減少していることで、現役世代への負担は益々増大し、高齢者は十分な保障を受けられなくなる可能性がある。

少子高齢化問題に対する十分な対策を講じてからでなくては「持続可能な制度の構築」は不可能である。先行きが不透明な少子高齢化社会であるからこそ、国民の公的年金への期待は更に大きくなっていくに違いないだろう。

年金制度の問題点は制度が複雑で国民にわかりにくく、人口変動にも完全に対応しきれているとは言えないことだ。さらに制度への不信感などから未加入率が非常に高くなっていることも大きな問題である。「持続可能な制度の構築」を実現するためにも、これらの問題をひとつずつ地道に解決し、国民の信頼を回復していかなければならない。

年金問題は我々の世代にとってももはや他人事ではない。公的年金制度の未来を考えるということは日本の未来、自分自身の未来を考えることでもある。公的年金制度は国民の老後生活の「柱」となるべきものだ。しかし、その「柱」は現在崩壊寸前の危機に陥っている。

まずは一人でも多くの国民がこの問題に関心を持つべきだ。そして、自らの生活をより豊かなものにするためにきちんと意見を持ち、声を上げていかなければならない。

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