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平成15年度「全国金銭教育協議会」

パネルディスカッション
「学校における金融に関する消費者教育の進め方」

今日の子どもたちの生活実態や世の中をリアルに見つめて、
慎重かつ大胆な取り組みを!
金銭教育は思考を助ける強力な手掛かり

金銭教育をすべての教科と関連づける試み

宮坂 広作宮坂 今日パネリストとしてご参加いただきますお2人の先生方ですが、まず藤原先生は民間から教育界にお入りになり、その博識、ビビッドに問題をとらえる感覚は驚くほどです。また、いちのせ先生はフィールドワーカーと申しますか、実態を調査して足で真実を見抜くという感性、洞察力の持ち主でいらっしゃいます。

まずお2人に午前中の分科会の印象についてお話しいただき、その後にご参会の皆様から感想や意見を頂戴し、それが出たところで両先生にお答えいただく形式を採りたいと思います。では藤原先生からお願いします。

藤原 午前中の分科会では神戸市の高取台中学校の発表を見せていただきました。実に素晴らしい研究発表でした。金銭教育をきちんと核に置いて、職業体験と学園祭における募金活動をすべての教科に統合して進めていく、真の総合的な学習と感じました。

普通、募金活動をする時は、なんとなく、いいことをするんだからまぁいくら集まってもいいよね、となりがちですが、高取台中学校の場合は、まず世界の恵まれない子どもたちがどれだけ大変な状況に置かれているか写真などで調べ、学習をし、その上で目標額を一人100円と決め、募金の募り方は学園祭で保護者や地域の方にお願いするという方法を採りました。その結果、目標の6万円を超える額を集めてユニセフその他に寄付できました。

私は、せっかくここまでやられたのですから、来年は皆で企画してモノを売って稼いで、儲けたお金を寄付されたらどうですか、と提案いたしました。募金で集めた6万円と同じ額を、実際に自分たちで稼ぐとなるとどれだけ大変か。是非それに挑戦してみていただきたいと思うのです。


「よのなか」科の必要性

藤原 和博藤原 次に私の方から問題提起をさせていただきます。私は杉並区の和田中学校で校長をやっておりますが、校長がダイレクトに授業を担当するということもやっております。担当しているのは3年生の選択家庭科で、3年生の75人のうち20人が、私の授業を受けています。

私は選択家庭科を「よのなか」科と名付けて、政治、経済、法律、倫理、現代社会の諸問題など、大人でも考えあぐねてしまうような問題を、シミュレーションゲームやロールプレイングゲームの手法で行っています。

なぜこの手法を用いるかといいますと、シミュレーションやロールプレイングをさせますと、自分が主体になって対象物に当たろうとしますから、ただ知識を伝授するよりずっと学びが深くなるからです。「よのなか」科の第一回目の授業は「ハンバーガー屋さんの店長になってみよう」で、この後「流行る店、流行らない店」、「ハンバーガーの原価と輸出入」、「円高・円安とハンバーガー」というように授業は続いていきます。

なぜ、ハンバーガーという身近な題材にテーマを絞って何回も授業をやるかといいますと、この授業を受けた後にハンバーガーを食べない子どもはいませんよね。するとハンバーガーを食べるたびに「あっ、この材料はアメリカから来たんだ」、「肉はオーストラリア」、「原価は35%」というように、授業がただの授業で終わらないのです。

ハンバーガーを食べるたびに輸出入の問題や為替の問題などを思い出します。身近な題材で授業を進めるのは、ただ単に知識を伝授するよりずっと学びを深くするのです。

なぜ選択家庭科でこういう問題を取り上げるかといいますと、今、社会科の授業が貧困になっているんですね。

時間が限られていることもあるのですが、とくに公民は政治、経済、現代社会の問題をすべて内包していますので、公民の授業こそ子どもたちが世の中に関心を持てるかどうか、また自分は世の中の一部であって、その世の中は自分が意識を向ければ変えていける存在なのかどうか、とても大事な授業です。しかし極めて平板な授業になってしまっているのです。

これでは彼らから見た世の中をダイナミックに体験させることはできないし、健全な感覚は持ち得ません。家庭科でも金銭を扱いますが、授業の時間がどんどん減って、消費者問題の一部やクーリングオフなどをやればもう目一杯です。そこで、「よのなか」科を作ったわけです。

最後に、今の教育の中で、新しい市民社会を作っていくのにまったく手落ちといっていいほどケアされていないことを7つ申し上げます。

(1)お金の問題です。(2)家の問題です。家を造る、建てる、メンテナンスするという意識が日本人は低すぎます。(3)地域の政治です。(4)法律の問題です。肝心の少年法すら教えていません。(5)結婚と離婚、とりわけ離婚です。中学校では二割が家庭に問題を持ち、片親の子もいれば、両親と離れている子もいます。

(6)自殺の問題です。年間3万人も自殺者がいるのに、この問題はほとんどタブーです。私は武田鉄矢さんに呼ばれてテレビで自殺抑止ロールプレイングをやりました。こういうことをしておくと抑止がきくのです。(7)宗教です。宗教の良さと怖さの両方をディベートで議論させておくことが必要です。そうしないとまったく無抵抗のまま大きくなり、怪しい宗教に巻き込まれるのも当然です。


地域の意識の違いは貯蓄や投資にも表れる

いちのせ かつみいちのせ 僕は分科会で徳島の南小松島幼稚園のお話を聞かせていただきました。驚いたのは、先生方が金銭教育の指定校になったから始めたんじゃなくて、以前からずっとやってきたことだとおっしゃっていたことです。

なかでも感銘を受けたのは、世の中が便利になりすぎて、生活面で体験すべきことをしていないという発言でした。今は各家庭に車がありますから、電車やバスに乗らない。すると公共交通機関の中でのマナーがまるでだめです。

便利さの裏で見えなくなっていることを改めて見直さなければならないと感じました。そしていろいろな行事をしていくなかで、金銭との関連をどう結び付けていくか、その工夫にとても感動いたしました。

僕はファイナンシャルプランナーの仕事をしておりまして、いろいろなところに行ってお話をさせていただいたり、またたとえばヤミ金に取材に行ったり、ブルーシートで住んでおられる方たちのところに行ってお話を聞かせてもらったりもします。

全国へ出掛けて感じるのは地域差ということです。特に北陸、四国、九州、沖縄が多いんですが、北陸や四国は貯蓄率が高く、九州や沖縄は自己破産が多いんですね。面白いことに地域の差は学校で話すテーマの違いになって表れます。

極端な話、「子どもを金持ちにする方法」と僕が言ったとします。すると「OK、それにしましょう。やってください」とおっしゃる場合と「そりゃあちょっと学校ではできません。もっとお金の出ないものにしてください」といった感じです。それは貯蓄や投資に対する意識の違いが影響するのではないかと考えます。


著名人・有識者が語る

  • 脳科学者 中野信子さん
  • 作家 上橋菜穂子
  • 落語家 林家たい平さん
  • 劇作家・演出家・女優 渡辺 えりさん
  • 青山学院大学陸上競技部監督 原 晋さん
  • 東京女子医科大学・先端生命医科学研究所教授 清水 達也さん
  • 元スピードスケート選手/長野五輪銅メダリスト 岡崎 朋美さん
  • 工学博士 石黒 浩さん
  • 日本体育大学教授 山本 博さん
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  • 作家 荒俣宏さん
  • 医学博士 日野原重明さん
  • 山形弁研究家、タレント ダニエル・カールさん
  • 公認会計士 山田真哉さん
  • タレント パトリック・ハーランさん
  • 精神科医、立教大学教授 香山 リカさん
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  • 昭和女子大学理事長・学長 坂東眞理子さん
  • プロスキーヤー、クラーク記念国際高等学校校長 三浦雄一郎さん
  • 明治大学文学部教授 齋藤孝さん
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