金融教育フェスタ
2005 金融教育フェスティバル
実施報告
シンポジウム「これからの子どもたちに期待すること」
スピーチ
与謝野 馨 内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策)
ご紹介頂きました、金融・経済財政政策担当大臣の与謝野です。本日は、金融広報中央委員会が主催する「金融教育フェスティバル」の開会にあたり、スピーチを行う機会を頂き御礼申し上げます。この場を借りまして、「なぜ金融経済教育が必要か。」という点についてお話をさせて頂きたいと思います。
私は金融経済教育について、(1)個人にとっての意義、(2)地域社会や日本にとっての意義、という2つの側面があると考えています。
(1)個人にとっての意義
まず、金融経済教育の個人にとっての意義について申し上げます。バブル崩壊以降、右肩上がり経済の終焉、高齢社会の到来といった経済・社会の変化やペイオフ解禁、金融商品・サービスの多様化、IT化といった金融環境の変化が生じ、個人の人生設計にも大きな影響を及ぼしつつあります。
こうした中、金融や経済に関わる様々な情報を入手・分析し、自らのニーズにあった金融商品を選択することを通じて、これまでより上手な資産運用を行うことが可能になっています。即ち、当事者意識をもって行動すれば、その果実を得る機会が拡大しています。
一方、例えば、外国為替証拠金取引、未公開株等を巡ってトラブルが多発していることに見られますように、金融商品の持つリスクに気付かなかったり、騙されて損をしたりする事例も見られるのが現実です。
このような現状を踏まえれば、国民一人一人が、金融やその背景となる経済についての基礎知識と、こうした基礎知識に立脚して自立した個人として日々の生活の中で判断し意思決定を行う能力、私どもはこれを「金融経済リテラシー」と呼んでおりますが、この「金融経済リテラシー」を身につけて賢く、たくましく生きていくことが以前よりもずっと大切になっています。こうしたことから、金融経済教育が各個人にとって如何に重要かご理解頂けると思います。
(2)地域社会や日本にとっての意義
次に、金融経済教育の地域社会や日本にとっての意義について申し上げます。
日本を含め先進国の経済は、経済のグローバル化やIT化を通じて、厳しい競争の時代に入っています。そうした中で、日本が今後とも健全な発展を続け、地域社会の活力を保ちながら、人々の生活を豊かにしていくためには、個人や機関投資家が、様々な金融商品の選択を通じて、事業のリスクの一部を負担しながら金融面から事業を支えていくことにより、次代を担う企業にお金が流れていくことが従来以上に大切になっています。
少し大げさに言えば、お金の出し手の方一人一人が幅広い金融経済知識を身に付けてお金の使い方を真剣に考えることで、一人一人のお金の使い方が変わり、地域社会や日本をも変えうる可能性を秘めています。このことからも、お金の出し手が幅広い金融経済知識を身に付けることが必要なのです。
(今後の行動)
以上、金融経済教育の意義について申し上げましたが、金融経済教育は、これまでにそうした教育を十分受けずにきた社会人や高齢者の方々はもちろん、これから未来を担っていく若い世代の方々に対して行われることが必要です。
本日は、この後、シンポジウム、消費者向けセミナー、子ども向けのゲーム、教育関係者向けプログラムなど盛りだくさんな催しが行われるようですが、こうした催しを通じ、一人でも多くの方に金融経済リテラシーを身に付けることの重要性についてご理解頂き、金融・経済について当事者意識をもって、今後行動していって頂ければと思います。
最後になりましたが、金融広報中央委員会は今年度を金融教育元年と位置づけ、本日の金融教育フェスティバルをはじめ、今後様々な取り組みを予定しておられると聞いています。また、金融庁においても、12月17日に大阪で、来年1月28日に千葉で、それぞれ地域再生と連携した「金融経済教育シンポジウム」を開催することを予定しています。こうしたイベントが金融経済教育発展のスタートラインとなり、今後、金融経済教育の機運が一層盛り上がることを期待致しまして、私の挨拶とさせて頂きます。有難うございました。
以上