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金融教育フェスタ

2005 金融教育フェスティバル

実施報告

シンポジウム「これからの子どもたちに期待すること」

全文

学校での金融教育の取り組み

好本 学校での金融教育の取り組みについて、VTRをご覧頂きましょう。

-資料VTR(3)-
■学校での金融教育の取り組み
・事例1:イギリスの公立学校で教える金融教育の実例(プライムステッド・マナー学校)
・実例2:「こみの株式会社」の社員は生徒たち ―文化祭で株主総会を開く ―
(香川県三木町立小蓑小中学校)

シンポジウム風景

好本 イギリスと香川県の例をご覧頂きました。子どもたちの表情が、とても楽しそうで、しかも立派に感じられました。

福井 学校で、現実の社会に触れさせた典型的な場面であって、やっぱり生徒は感動を覚えるし、自分が他人とは違うということがわかる。自分の弱い面や強い面が全て分かると、段々楽しみながら次のステップを自分で考え始めます。

やはり今の社会は、皆が会社の中に入っていて、会社の中では大変苦労しているけれども、お父さんやお母さんがどういうふうに自己実現しているかという場を子どもたちが見ていないのではないでしょうか。

「私のパパはこういう立派な名前の会社で働いている」ということは知っている。しかし、会社の中ではひょっとしたらヘボかもしれないですよね。一方、「私のパパは名もなき会社にいます。」でも、会社の中ではすごく頑張っているかもしれないですよね。

今の世の中は、『会社』という枠で遮断されているため、「ブラックボックスの中で両親の苦労が見えなくなっていることが1つにあるのではないか」と思います。ところが実際には『自己実現の場』は、グローバルに広がっていて、「一人一人が自己実現する場は自分で見つけなければならない」し、「そこで自分をつくり上げていかなければならない」のです。

学校教育も家庭の教育も、家庭のほうはお母さん方が、「基本的にはどこか良い会社に入りなさい」ということで貫かれているし、学校のほうも、「どこか良い上級学校に入れることが基本」になっており、「現実の社会に触れさせることは時間的に余裕がない」というエクスキューズの中に逃げてしまっている恐れがありますよね。

さっきのVTRなどは、本当の意味で「夢の実現へのプロセスで第一歩が始まる」、そうした教育が「本当に素晴らしい」のだと思います。

好本 イギリスも香川県の例も、子供たちの表情がとても印象的でした。楽しそうでしたよね。

香山 そうですね。しかも、「地元の方々に出資してもらって、株主になってもらっている」という責任感を、非常に感じているようでした。高い利益ではないけれども、「自分たちの手できちんと利益を上げられた」という喜びは、非常に大事だと思います。

私は現在、大学で教えており、学生の就職の指導などもしていますが、特に今はメディアなどで、いわゆる『IT長者』みたいな、一獲千金のような「何百億円も一気に儲かった!」といったニュースが多い中で、大学生たちも社会へ出て地道に少しずつ稼ぐのが、「何かバカバカしいんじゃないか?」というような気持ちになっている学生も目に付きます。

特に女子学生などは、就労意欲がなかなか高まらないと、「お金のある人と結婚するほうが早いんじゃないかしら?」と言って、とにかくモテるような服装やお化粧ばかりに気を遣い、なかなか「仕事に目が向かない」といった、少々残念な現象も、全国の女子学生の中で起きている。

そういう意味で、本当に自分たちで社会に参加し、「人々と関わる喜びや代価としてお金を得たというシミュレーションを、子どもの時にしておくのはとても大事なことかな」と思いました。

好本 子どもたちは、教育の現場で金融教育を学ぶことで、「楽しみながら色々な事を掴んでいるし、経験している」ということでしょうね。

三枝 自分の実践で言えば、経済や金融に関する分野に関しては、『家計のシミュレーションゲーム』や、『模擬商談』、『会社づくり』、『企業づくり』の授業なども行ってきましたが、こちらが「教え込む」のではなく、子どもが「自分で考える場面を設定」してあげる。

子どもはゲーミングの中で考え、『意思決定』や『判断』を下す場面を経て、金融や経済の細かい知識を、例えば中学校の段階で細かく身に付けることは、僕は「望むべきもない」と思いますが、基本的な概念や考え方・見方を学ぶことは、とても意義があって、結局そういった概念を身に付けながら、「判断したり、意思決定したりすることが、今後の生徒一人一人の『自分づくり』に必ず繋がって行く!」と思うのです。

従って、体験的に学ぶことの意義は、日頃から授業で接していても非常に強く感じます。近年、こうした授業がとても増えてきていますし、そういった授業が広がってくことは、「非常に大事なこと」だと思います。

村上 親として、非常に不安に思うのは、「どこまで具体的に学校が教えてくれるのか?」という点です。実際、私自身が幼い頃は、『勉強』は学校で教えてもらえましたが、『生きて行く術』は教えてもらえませんでした。だから、やっぱり今の教育に必要なのは、「生きて行く術を学校でも少しずつ子どもたちに教えること」だと思うのです。

そういった授業を少しずつ組み込んでもらえると、親としては目に見えて分かるわけですよね。そして、その授業は、「教え方などにある程度の決め事を作って頂いて先生方に示して下さると、学校間の不公平感もなく、速く広がって行くのではないか」と思います。

シンポジウム風景

大杉 現在、例えば『社会科』の授業では、経済の基本的な考え方を教えており、『総合的な学習』の時間で、「それを生かして現実の問題について考えてみましょう!」といった、教育課程が編成されています。「小遣いが少なくても、何か自分の欲しい『モノ』を買う時は選択して行く。ちゃんと選択できるようにしましょう!」っていうのが『社会科』の授業になるんですね。

授業で学んだ事を実際に応用する、例えば、さきほどのVTRでも、「CM制作の際にレシピを入れてみよう!」といったアイディアは、「家庭科の授業の応用」だと思うんですね。そういった実践の場を、『総合的な学習』の時間を設けて、「その地域に合った内容を実施しましょう!」といったカリキュラムのつくり方になっています。

香山 大杉さんに質問ですが、そうした実践的な学習で、「上手く利益を上げていける子どもは良いですが、上手くいかない子どももいる」と思うんですよね。上手くいかない子たちが、現在は『社会の階層化問題』になっています。上手くいかないケースのフォローはどうされているのでしょうか。

大杉 一応、『授業』であり、シミュレーション的な要素が多いものですから、『現実の失敗ではない』というのがあるので、そこはちょっと難しいですね。

三枝 私の授業は、ワークショップ形式の意見交換をたくさん取り入れているので、「ダメだ!」と言われて、子どもが自信を失う場合もあれば、その逆の場面もあるわけですね。年に1回の授業や1項目だけの授業でなければ、逆に褒められてすごく自信を持つ場面も出てくるわけです。

いずれにしても、「そうした経験をする機会は多いほうが望ましく、授業を繰り返すことが非常に大事」だと思います。また、外部機関と連携した授業は、非常に難しいのですが、外部の方々は非常に好意的なので、「連携方法を考え、それをスタンダードにしていけば、もっとこうした授業が広がって行くのではないか」と思います。

しかし現状では、各先生方が個人的に苦労し工夫しているので、あまり広まらないのではないでしょうか。「多くの教師が必要だと思っていること」だと思います。

福井 「どのようにプログラムを編成し、先生方に教えて頂くのか?」ということプラス、学校の先生は、例えば『算数』や『社会』など、ご自分の専門領域のことをきちんとお教え頂くほかに、「生徒を社会人として育てるという感じを、あらゆる先生がちょっとずつ持ってくだされば」と思います。

私も中学校の頃、体操の先生から「あんパンを1つ食べると、もう飛びつくほど食べたい。2つ目は結構おいしいね。3つ目はあんパンだからまあ食べようか。4つ目は要らん。これが『欲望逓減の法則』だ。これを難しく言えば、『限界効用逓減の法則』だが、そんなこと忘れても良い。でも、お金使う時はちょっと考えて使えよ。」と教わりました。

その話は1分で済むんですね。そういうことを言う先生が結構多かったんですよ。やっぱりそれはね、今でも私が覚えているぐらいですから、「社会教育になっている」と思うんですね。だから、「カリキュラムに先生を縛りすぎるっていうのもどうかな?」という気がちょっといたします。

大杉 実は、今の福井さんのお話が『金融教育』なんですよ。さっきのVTRもそうですし、「お金を使って色々な流れを考えるという意味で、金融教育なのだ」という意識を持ってみれば、もっと多くの方々が「実は金融教育をやっていたんだ」というふうに思うのではないでしょうか。

そういう意味では、かなりこうした体験的な学習の中で、「金融教育が広がっているのではないか?」というふうに、私は思っています。

畑村 さきほどのVTRでも、『年利』を理解しない人が随分いるというのは、「元手をかけてそれから何かの利が上がってくる」というような、そういうからくりをきちんと理解することと、自己責任というようなものをきっちりと自覚するのを早くやらないと、「インチキ商法に騙されないようにしましょう」という、言ってみれば「消極的な方向だけを言っているのではいけない」と私は思います。

そして、もうひとつですね、「投資についても、どこかで教えないといけない」という気がしています。やはり、社会全体が本当に健全に動いて行くには、どのくらいの量の元手をかけて何をやろうとするのか。

それは「個人にとっての夢の実現でもある」のですが、本当は「社会にとっても夢の実現」だと思うんです。ですから、元手をかけるっていうのも、「どこかで教えなければいけないのではないか」と思いました。

好本 『金融教育』とは、「金融や経済の仕組みを学ぶ部分もある」ということですね。さて、これから日本は「ますます少子高齢化が進む」ということが考えられます。高齢化社会を考える時、今後の金融教育をどうしたらよいのでしょうか?そんな中、福祉国家の先進国であるフィンランドでは、金融教育が子供たちの学力向上、更には学習意欲の向上にも非常に深く関わっているようです。それではVTRをご覧ください。

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