金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル in the Galaxy
6F 大人の宇宙おかね教室 知るぽると金融教育セミナー
これからの株式投資どうする
講師:(NPO 法人)証券学習協会
理事 松山 英明 氏
株式投資をするときの本来あるべき姿(原点)は、「株主になる」ということです。株主になろうとするときには、経営に共感できる「いい会社」を選ぶことが大前提になります。また、その会社は本当にきちんとした「いい経営」を続けてくれているかどうか、経営の方向を間違えていないかということを日常的に関心をもつことも大切です。そして、いわゆる儲けて売るために「株式を買う」のとは異なり、投資した時点では、売る時期を決めていないことも重要なポイントといえます。経営に強い関心を持ち続けていますから、経営者と直接コミュニケーションが図れる株主総会に参加して、株主の権利である議決権を積極的に行使することも重要です。
私の本業は、企業向けにいい株主をどうやって探し出して育てるかというインベスター・リレーションズ(IR)のコンサルテーションですが、私は企業と株主の関係をIR=RIという概念で定義しております。このRIという言葉は、リレーションシップ・インベスティングやリレーションシップ・インベストメントと言われます。
投資家というと様々な幅広い概念が含まれていますが、皆様には(1)その企業を十分知り、(2)その経営に強い関心をもち、(3)長期資金(自己資金)で(4)長期間にわたって投資するリレーションシップ・インベストメントの概念に当てはまる真の投資家になっていただきたいのです。
最近、CSR(企業の社会的責任)ということが言われるようになってきました。一方で、投資家の世界では、SRI(社会的責任投資)というのが注目されています。双方に共通する言葉がSR(社会的責任)です。皆様には投資しようとする会社が社会的に存在意義があるかどうかということを投資家の立場からぜひ確認してほしいですし、企業経営側は、今行っている経営そのものが、SRという観点できちんと行われているかどうかを自らチェックしてほしいと思います。
英国最大年金のハーミーズは、自分たちの信念として、いい経営とは「企業のオーナーである株主のために“富”を生み出すこと」としており、そうした経営を実現するためには、経営者任せではなく株主自身も積極的に責任を持たないといけないということも明確に宣言しています。そうした考え方を世界共通の認識として広めていこうというコンセプトで1995年に設立されたのがICGN(International Corporate Governance Network)です。2008年6月にソウルで世界中から約600人が参加して年次コンファレンスが開かれましたが、日本からの出席者はわずか10数名と関心が著しく低いのが現状です。
皆様には、私たちの夢や世界中の人々の夢を叶える企業の株主になっていただきたいと思います。そうすることで、生き生きとした豊かな社会づくりを応援し、資産づくりにつなげましょう。ぜひ徹底していい会社を選び、いい株主として長く応援してください。