金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2011
暮らしに役立つ講演会
講師 : 住田 裕子 氏 (弁護士)
「大震災以降の私たちの生活とくらし~いざという時のためのお金の知識~」
大震災後、私たちはリスクに対してどう備えるかを考えさせられました。それぞれの立場で生き方を見つめ直す時に、ぜひ行なっていただきたいのが財産リストの作成です。いつどこで何があるかわからないということが今回はっきりしたわけですから、美しく終わるための備えとして、預金、保険、有価証券、不動産などを洗い出し、それをどうするのか、希望を遺言として残しておくことを私は心からお勧めします。
私は弁護士ですから、いろいろな事例を見ています。例えば亡くなった方が借金をしていなくても、死亡記事を見てご遺族の元へ押しかけてきて返済を迫る者もいるのです。逆に借金があった場合に遺族が相続を放棄されて、その直後に保険金がおりることがわかるといったケースもあります。こうしたことを防ぐためにも、財産リストに借金がどうなっているのか、誰にどのくらいお金を貸しているのかということも書き残す必要があるでしょう。
もう1つ、遺言について言えることは、死後、子どもたちの間に喧嘩が起こるリスクがあるということです。基本的に兄弟は均分相続ですが、いざとなると「お姉ちゃんは開業資金を出してもらったはずだ」などという話が出てくることがあるのです。やはり、生前に遺言状をきちんと残すことが家族に対しての1つの義務であり、愛情であろうと思います。
不景気が続く中「ちょっと家計が苦しいから」という理由でキャッシングを始め、借金がふくらんでいくという方も少なくありません。手軽さに惑わされないことが大切です。
時事ネタで言いますと、震災後に一挙に増えたのが放射能の検査を騙って浄水器を売りつける詐欺や、水資源への投資を誘う詐欺です。だましのテクニックは高度化していますので、世の中で起きていることに注意を払い、変な情報に躍らされないことが大切です。うまい話はありません。悪い人たちから資産をしっかり守ることも心がけていただきたいと思います。
プロフィール
兵庫県加古川市出身、東京大学法学部卒業
昭和54年
東京地検検事任官 大阪等、各地の地検検事として転勤
昭和62年
法務省民事局付検事(女性初)
平成元年
法務大臣秘書官(全省庁初の女性)
平成8年
弁護士登録
経済産業省の審議会委員などを歴任。
著書・論文多数。NPO長寿社会の安全安心な暮らしを実現する会代表。