金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2011
暮らしに役立つ講演会
トークセッション
伊藤 元重 氏 (東京大学大学院経済学研究科 教授)
住田 裕子 氏 (弁護士)
ナビゲーター:黒塚 まや 氏
(黒塚氏) 大震災の復興過程にある今、大人も子どもも金融知識をしっかり身につけていくことが大切ですね。金融教育はどう進めていくべきとお考えですか?
(伊藤氏) 教科書を読むというより、世の中の流れを読むことが重要です。電力や農業など、日本が直面している課題を皆が考え、議論することに意味があると思います。今の日本の経済、社会を見る上では、震災後の日本の抱えている課題や新聞やテレビで議論されていることは重要な素材だと思います。
(住田氏) 世の中の変化を見ることは大切ですね。例えばインターネットで動くお金が大きくなると、これを悪用した詐欺が増えます。新しい機器や仕組みについて好奇心を持って学んでいくことが、どの世代においても必要です。
(黒塚氏) ご来場の皆様から事前にご質問をいただいております。まず「震災で銀行の通帳などが失われても支障ありませんか?」という質問ですが、いかがでしょうか。
(住田氏) 本人確認ができれば、原則として払い戻しができます。ただ本人がどこにどんな口座があったかを把握できていないと困ります。いざという時に備えて、最低限のリスト、書類は持ち出せるよう準備しておきたいですね。
(黒塚氏) 次に「欧州金融危機の日本経済への波及をどう考えればよいですか?」という質問です。
(伊藤氏) この欧州危機は、ギリシャ国債の問題だけではなく、欧州の金融機関全体のリスクの問題です。金融安定化のためにどこまで政府が資本を入れられるかが大きな政策上のポイントになります。日本も欧州もアメリカもみな経済に問題がありますが、今は欧米の経済がより厳しいために円高になっています。しかし、日本の財政も問題を抱えていますし、為替や国債の価値など金融市場を注視していく必要があります。いずれにせよ今の段階では不透明な要素が多く、今後の展開を予想するのは非常に難しいです。