金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2011
金融教育セミナー 東京会場
日本損害保険協会
生活サービス部 企画グループ副長
平岡 弘二 氏
いまこそ知りたい! 損害保険の知識(地震保険を含めて)
「貯蓄は三角、保険は四角」とよく言われます。貯蓄は少しずつ増えていく(三角)、保険は最初から補償が一定(四角)、との意味です。貯蓄は、自分のペースで貯めることができ、出し入れ自由、何にでも使えますが、事故や災害の時に必要なお金が貯まっているとは限りません。保険は、保険料を払えば事故や災害の時に必要なお金を受け取れますが、貯蓄に比べお金の出し入れに制限があり、特定のリスクに限った備えとなります(例:火災で家が燃えた時に自動車保険では保険金は支払われない)。貯蓄と保険はバランスが大事です。
保険の原理に、「大数の法則」があります。一見偶然と思われる事象も、大量のデータを集めるとそこに一定の法則性がみられるというもので、自動車保険や火災保険などの損害保険はこの法則を利用して保険料を算出しています。例えば、ある地区で1,000軒の家があり、すべて1,000万円の価値だったとします。この地区で1年間に1軒が火事で焼失するという大数の法則、すなわち統計があれば、この地区での年間の損失額は1,000万円。各家でこれに備えようとすれば、それぞれ1,000万円の貯蓄が必要です。他方、各家が1万円ずつ拠出し、火災があった家に渡すとすれば、1軒当りの年間負担は1万円となります。
地震保険は、政府と損害保険会社が共同で運営しています。被災者の生活の安定に寄与することが目的です。よって地震保険の保険金だけでは家を再建できないこともあります。なお、1回の地震等による総支払限度額は5.5兆円。関東大震災クラスの地震が発生しても、保険金の支払に影響が出ないように設定されています。
地震保険の対象は居住用の建物(したがって店舗や事務所は対象外)とそこに収容されている家具などの家財です。建物と家財それぞれの火災保険にセットで契約する必要があります。契約金額は火災保険の契約金額の30%から50%の範囲。「全損」で契約金額の100%、「半損」で50%、「一部損」で5%を支払います。このように3区分とされているのは、保険金を迅速に支払って生活の安定に役立てるためです。東日本大震災では、航空写真・衛星写真を用いた効率的な全損地域の認定なども行い、迅速な保険金支払いに向けて対応しました。
日本損害保険協会とは
1946年に設立。国内の損害保険会社25社(2011年6月1日現在)を会員とし、わが国における損害保険業の健全な発達及び信頼性の維持を図ることを目的としています。