金融教育公開授業
平成19年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
福井県金融広報委員会
あわら市細呂木小学校
金融広報中央委員会
福井の実施報告
「金融教育公開授業 in 福井(細呂木小学校)」(11月29日開催)
福井県あわら市細呂木小学校は、福井県金融広報委員会から金銭教育研究校(平成18・19年度)の委嘱を受けて金融教育に取り組んできました。
金融教育との出会いは平成17年6月に行った金融広報アドバイザーによる出前講座でした。今の子どもたちには望ましい金銭感覚が身についておらず、物を大切にしない等の傾向があることが気がかりで「今こそ金融教育が大切だ」と感じ取り組むことにしました。平成18・19年度の2年間、研究のテーマを「金銭感覚を養い、物を大切にする態度の育成」として、研究をすすめ、その集大成として、11月29日(木)に金融教育公開授業を開催しました。
▼ 参加者内訳:
児童(3・4年生)41名、本校教職員16名、保護者77名、地域住民25名、教育委員会関係者10名、学校関係者33名、福井県金融広報委員会関係者7名、合計209名
1.公開授業
(1) 4年生 お金の使い方を考えよう(学級活動)
公開授業では、「生かされたお金」(小学4年道徳教科書より)を基に作成した資料を提示し、「お金のより良い使い方」について児童に主体的に考えさせました。
貧しい村の中で「太吉」と「市松」の田畑だけが豊作となり、そこで得たお金を、「太吉」は村人にご馳走をふるまい村人に喜ばれ、「市松」は「いつか牛馬を買おう」とお金を使わずに貯めておくという話です。どちらの行為も間違いではありません。
最初は「太吉」派が2人、「市松」派が18人と大きな差がありました。「市松」派の意見は「牛馬があればもっと儲かる」、「使ったらすぐになくなる」、「もしもの時に使える」というものでした。しかし、話し合いを進めていくうちに、「太吉」派の「お金を貯めるより村人の方が大事」、「ご馳走を食べてみんなで喜び合いたい」という意見が出てくるなどして、少しずつ「太吉」派の人数が増えていきました。それぞれの使い方の良いところを表してみると、「太吉」派は「やさしい」、「幸せをあげる」、「人のため」など、「市松」派は「田畑を楽にできる」、「夢をかなえる」などが出てきました。最終的には、「太吉」派は9人、「市松」派は11人になり、教員が「どちらの使い方もよいところがありますね。君たちのお父さんやお母さんが、今お小遣いをくれるのも、将来のためにお金を貯めておいてくれるのも、両方君たちのためです。」とまとめました。
この後、本の読み聞かせボランティアの方がゲストティーチャーとして「お金のより良い使い方」について、「みなさんが生活していくためには食費や被服費、光熱費など10数種類のお金が必要です。それに将来の夢もあり、そのための貯金も必要です。お父さんやお母さんが計画を立ててお金を使おうとしているのに、みなさんがわがままを言うのはどうでしょうか。本当に必要なものかどうか、自分でしっかり考えられる力をもつといいですね。」と日頃から感じていることを話してくれました。
(公開授業の模様)
(2) 3年生 「『買い物上手になろう』~親子で学ぼう、ネットショッピング~」(学級活動)
3年生ともなると日常生活の中で少しずつ消費生活に参加ができるようになってきていますが、児童1人で計画的にお金を使ったり、無駄遣いをしないようにすることは難しく、普段から保護者が計画的で上手な買い物や消費の仕方をアドバイスしていくことが大切です。親子参加の授業において、今までの買い物を振り返り、親子でこれからの家庭における買い物の仕方について学び考える機会となりました。
授業の前半では、買い物をした体験から、インターネットでの買い物、通信販売、カタログ販売のほかに、TVショッピング、訪問販売、移動販売などいろいろな買い物方法が挙げられ、それぞれの良いところを親子で話し合って発表しました。インターネット販売については、教師自身が画像を見て購入したが、思っていた物と違っていたため1・2回しか使用していないといった失敗談も披露されました。
授業の後半には「買い物上手になろう」という主題のもと、ゲストティーチャーが、「本当に最後まで使えるか?」をよく考えることの大切さについて説明した後、ネットショッピングの利便性を生かすための注意点やインターネット利用上の注意点を挙げられ、最後に
- 買い物は計画してから行こう。
- お金は大切に使って無駄遣いをやめよう。
- ネットショッピングはおうちの人といっしょにしよう。
- パソコンを使う時は見たいサイトがあってもおうちの人に相談してからにしよう。
と締めくくられました。
(公開授業の模様)
2.講演会
公開授業の後、生島ヒロシ氏が「子どもとどう向き合うか~現代社会とお金~」をテーマに講演されました。生島氏は汗をかかないでお金を得ようとは考えてはいけないし、世の中の大人は、金融教育の大切さをもっと感じてほしいと話し、子ども達にこれから必要となってくることとして、(1)真似る力、(2)段取り力、(3)コミュニケーション能力、(4)当事者意識、(5)子どもに夢を持たせる、(6)あきらめない心、(7)待つ心(信頼する心)、(8)変化対応能力、(9)失敗をおそれない、といった点を強調しました。また、今なぜ金融教育なのかについては、子どもが将来力強く生きるために、教えなければならないことがあり、それが(1)お金の使い方を教えることであり、(2)欲望をコントロールすることでもあると説明しました。最後に、短い言葉ではあるが、「ありがとう」は人のやさしさを表し、「がんばって」は勇気を与えるので、日常生活でもっと使いましょうと誘いかけ、締めくくられました。
講演後、「子どものうちからお金のことを考えさせ教育するのはとてもいいことだと思う。ずっと続けていってほしい」といった感想がありました。
(講演会の模様)
3.プログラム
- 13:10~13:55
- 公開授業
(1) 4年生 「お金の使い方を考えよう」
(2) 3年生 「『買い物上手になろう』~親子で学ぼう、ネットショッピング~」 - 14:10~14:20
- 開会挨拶 あわら市細呂木小学校校長
- 14:20~15:30
- 講演「子どもとどう向き合うか~現代社会とお金~」
講師:生島ヒロシ氏 - 15:30~15:40
- 閉会挨拶 福井県金融広報委員会副会長