金融教育公開授業
平成19年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
高知県金融広報委員会
室戸市立室戸東中学校
金融広報中央委員会
高知/室戸市の実施報告
「金融教育公開授業 in 高知(室戸市立室戸東中学校)」(12月9日開催)
室戸市立室戸東中学校は、海洋深層水でも知られる室戸岬町にあり、校舎からは太平洋が一望できます。同校は、平成19・20年度の金銭教育研究校としての委嘱を受け、全校生徒25名と小規模ながら生徒、教職員が一丸となって、意欲的に金融教育に取り組んでいます。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
公開授業は、室戸東中学校和田教諭の指導により3年生が取り纏めた研究成果を「生き方を見つめて」というテーマで5つの班に分かれて生徒自身がプレゼンテーションしました。
まず、同校の金銭教育委員より、平成19年4月からこれまでの主な学習活動について発表がありました。その後、5つの班から「あなたにかかった経費」「一人暮らし」「お金の価値・役割」「欲しいものと必要なもの」「福祉の現状」に関する発表が、パワーポイントを用いて行われました。
最初のプレゼンテーションは、「あなたにかかった経費」です。生まれてから大学を卒業するまで、出産費用や養育費、学費にどれだけコストがかかるかということを具体的に算出し、親の苦労、お金の大切さを目に見える形で報告したものです。次の発表は「一人暮らし」です。一人暮らしをするのには電化製品や家具など、お金が必要となりますが、その一方で、給料も所得税等色々と差し引かれて手取りは少なくなるため、自立することは大変であるという報告でした。三番目は「お金の価値・役割」です。まずお金について、偽札作りが罪となることやその防止のため様々な偽造防止技術があることを紹介しました。次に、家計に入るお金と自分たちがもらうお小遣い等について調べた結果から、お金の重要性、大切さを認識したということを発表したものです。四番目の発表では、「欲しいものと必要なもの」として、限られたお小遣いの中で欲しいものを入手するには、欲しいものと必要なものの見極めや優先順位付けをして大切に使うことが大事であるという報告でした。最後の発表は「福祉の現状」です。中学校のある室戸市の人口17,879人のうち、6,060人が65歳以上であることなどを踏まえ、少子高齢化に伴い発生する問題点として「子供が減ることで活気がなくなる」、「年金が不足する」、「介護の必要性が増加する」などを指摘しました。それに対して、「福祉の現状を知る」、「健康な体作りをする」、「介護をするのに莫大な費用がかかるため、老後のために貯金をしておくこと」などが重要であるといった報告でした。
今後は「稼ぐ」「詐欺」「携帯電話の必要性」「税」というテーマに沿って学習を続けるそうです。
(公開授業の模様)
2.講演会
開会にあたり、高知県金融広報委員会の渋谷康一郎会長(日本銀行高知支店長)が、「昨今、携帯電話やインターネットの普及などもあって、金融トラブルは、私たちはもちろん生徒の皆さんにとっても身近な存在となっています。とりわけ自己破産の対県民人口比率が全国で一番多い高知県においては、多重債務者発生予防のためにも幼い頃からの金銭・金融教育が大変重要であると考えております。本日お集まりの皆様におかれてましては、生徒の皆さんがこうした社会の中でもたくましく生きていくことができるよう、金融・金銭教育を学校の授業や活動として取り上げて頂くことの重要性について再度ご理解を深めて頂ければと思います。」と挨拶しました。
生島氏による講演会は、「お金とどう付きあう?仕事をどう選ぶ?」と題して、約1時間行われました。
生島氏は、ご自身の学生時代やアメリカ留学時代、会社を辞めて独立した時の経験などを紹介しながら、「皆さんにして欲しいことは、自分の好きなことを見つけて努力すること。自分の好きなことを仕事にできれば、お金を得られるだけでなく、充実感・成長感・達成感も得て、社会的にも評価される。これは、幸せの必要十分条件だと思う。そのためにまずはいろんなことを覚えて興味を持って地アタマを磨き、そのうえで社会に出て生きていくための力をつけることが大切。また、世の中の動きを把握しながら、自分のきちんとした仕事を見つけることもとても重要である。」と話されました。
また、「リスクのある今の時代、人生という大海原を自分で舵取りして生きていくためには、お金に関する知識も持つ必要がある。まずは自分の身の丈に合った生活を考えて、お金を借りない生活をすること。初めての給料で親にプレゼントをすること。そして2ヶ月目から給与の20%を運用(貯蓄等)に回すこと。これから先はインフレになる可能性が高いので、若いうちから少しずつでも運用すればお金は蓄えられる。」とアドバイスされました。
最後に、「『人間力』や『責任力』、『説得力』も身に付けて欲しい。また、健康な体と心を大切にしてほしい。『か・き・く・け・こ』(か=感謝・感動する気持ち。き=希望を持つ。く=くよくよしない。け=健康でいる。こ=好奇心を持って行動する。)の気持ちを持って一日一日を大切に過ごして欲しい」とアドバイスをされて締め括られました。
閉会に当たり、嶋﨑校長が、「お金は全ての活動に関わってくることであるため、金銭教育とはすなわち、生きる力を育むことができる教育である。このため、生徒からの提案による砂漠緑化運動という環境教育と併せて、これまで精力的に取り組んできた。サイフに入っているお金で社会の仕組みを知ることができ、かつ、使い方次第で世界を変えることができる。今後も、身近なところから世界の出来事を知り、自ら行動に移すことができる生徒を育てたい。」と挨拶し、講演を締め括られました。
(講演会の模様)
3.プログラム
- 12:40~13:25
- 公開授業「私たちの研究発表」(3年生)
講師:室戸市立室戸東中学校教諭 和田伸平 - 13:40~13:45
- 開会挨拶 高知県金融広報委員会会長 渋谷康一郎
- 13:45~14:45
- 講演「お金とどう付きあう?仕事をどう選ぶ?」
講師:生島ヒロシ氏 - 14:45~14:50
- 閉会挨拶 室戸市立室戸東中学校校長 嶋﨑廣海