金融教育公開授業
平成20年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
福岡県金融広報委員会
添田町立津野中学校
金融広報中央委員会
福岡の実施報告
「金融教育公開授業 in 福岡(津野中学校)」(11月11日開催)
添田町立津野中学校は、山間部の豊かな自然に囲まれた全校生徒21名の小規模校です。「人間性豊かで、自己指導力を身につけた生徒の育成」を教育目標としており、生徒指導の視点を生かした学習指導や講義実施計画書の活用、地域に根ざした勤労生産学習(米、サツマイモの栽培)や伝統芸能学習(津野神楽)等、特色ある取組みを行っています。
11月11日(火)に公開授業が開催されました。当日は全校生徒で「収穫祭の販売計画を立てよう」の授業を行った後、生徒および保護者を対象とした生活経済ジャーナリストのいちのせかつみ氏による講演「親子のマネー教室」が開催され、生徒のほか学校関係者、保護者および地域住民の方が参加しました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
公開授業では、「収穫祭の販売計画を立てよう」と題して11月3日に実施した収穫祭についての報告・反省および来年度の内容について全校生徒で討議しました。
収穫祭は地域で実施されたイベントで生徒達が年間を通じて苗から育て生産したさつまいも(270kg)をスイートポテトや団子などのお菓子に加工、販売し、その売上代金で当日の昼食を購入するといった消費活動もあわせて実施したものです。調理部、販売部、会計の担当毎に実績や反省点等を報告し、昨年度との比較、収穫祭当日の時間別の販売数や来店者数の統計報告、損益計算書での収支決算の発表など企業活動に照らし合わせた実践的な学習を行いました。
また、反省点に基づいて、来年度の生産物・加工方法・販売方法等についてグループで討議したところ、生産物の種類を多くすることや、「来年はもっと安くておいしいものを売りたい」など意欲的な声があがったほか、地域からの協力に対する感謝の気持ちを持つことも重要であることが指摘されていました。このように1年間を通して行った授業により家庭や社会生活における消費・経済活動等や労働についての基礎的な知識を身につけるとともに、お金の役割や働くことの意味、望ましい消費生活や自己の将来設計などについて自らの課題として考えようとする意欲・能力・態度を養うことに繋がりました。
(公開授業の模様)
2.研究発表
研究発表では、津野中学校の条件(町から離れており、徒歩で買い物をする所がないため子供達は自分でお金を使うことが少なく、全国に比べて携帯電話、パソコンの普及率は低く、お年玉の使い道が貯金)を説明しながら、主題を「望ましい消費生活能力を身につけた生徒の育成―体験的活動を生かした教育実践を通して─」とし、パワーポイントを使用して、独自で作成した「津野中学校金融教育プログラム」に則った授業での取り組みを同校研究主任より解説しました。
2年間を通して様々な体験的活動を保護者・地域住民・関係機関の協力を得て行い、金融教育に取り組んだことにより、生徒達の金銭感覚に変化がみられました。例えば、お金の使い方については、金融教育を取り組む以前であれば、「欲しいものを買う、必要なものを買う、貯める」等の回答がほとんどでしたが、取組み後では「長く使えるものを買う、安くなって買う、自分の為になるものを買う、リサイクル商品を買う、人を喜ばせるために使う、寄付する」等の回答が見られ、生徒がお金について様々な視点で考えることができるようになったなどの研究成果が発表されました。また、今後の課題として、金融教育の取組みでは、家庭や地域、関係機関との連携が重要であるため、さらに連携した取組みの充実を図るとともに実践の改善点を生かして同校金融教育プログラムの改善を行うことが挙げられていました。
3.講演会
公開授業後、生徒・保護者(我が子と同席)向けの授業「親子のマネー教室」を実施しました。講師のいちのせかつみ氏は、4グループに分けた生徒・保護者にそれぞれ十カ国の紙幣を与え、国名や模様、紙質の違いを体感させました。また、携帯電話の使い方に関し、電話として使用する以外にインターネット接続やメール等たくさんの機能を持っている結果、様々なトラブル(架空請求メールやオークション詐欺など)が発生している現状を教え、被害者となり得る危険性とともに、ブログや掲示板の中傷およびカメラ撮影による写真掲載などに関しては加害者になり得ることや刑法に触れること等を説明し、このような社会で子供達が自分の力で適応し、生きる力を身につけて行って欲しいと結びました。お礼の言葉として生徒会長は、今後は携帯詐欺に注意し、上手なお金の使い方をしていきたいと語りました。アンケートでは、「お金や携帯電話との付き合い方を考えさせられる有意義な内容だった」、「とても勉強になり家族で新たに考え直していきたい」、「子供達の興味関心を上手く捉えお金の大切さ大事さに改めて気づいたのではと思う。教訓が散りばめられている『ももたろう』の話も今後自分自身で活用できたらと思う」等、参加者からは前向きな声が聞かれました。
(講演会の模様)
4.プログラム
【公開授業】
- 13:10~14:00
- 公開授業「収穫祭の販売計画を立てよう」(全学年・総合的な学習の時間)
授業者:添田町立津野中学校教諭 安永隆
【金融教育講演会】
- 14:10~14:25
- 開会挨拶 添田町立津野中学校長 小原孝司
添田町教育委員会教育長 佐々木盛弘 - 14:25~14:45
- 研究発表
発表者:添田町立津野中学校研究主任 森孝太郎 - 14:45~15:45
- 講演「親子のマネー教室」
講師:いちのせかつみ氏 - 15:45~16:00
- 閉会挨拶 福岡県金融広報委員会