金融教育公開授業
平成22年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
福岡県金融広報委員会
小竹町立小竹中学校
金融広報中央委員会
福岡の実施報告
「金融教育公開授業 in 福岡(小竹中学校)」(6月25日開催)
小竹町立小竹中学校は、町の中央を遠賀川が南北に貫く自然豊かな環境の下、「子どもの学びを価値付ける」小竹型授業実践に取り組み、各教科の基礎的・基本的な内容をしっかり身に付け、自分自身に内在する「よさ」を実感できるよう、生徒と先生が一体となった授業を行っています。
6月25日(金)に公開授業が開催されました。まず、当校の2年生を対象に「総合的な学習の時間」、「社会」、「作業学習」で特色ある授業を行いました。
その後、研究発表を行い、続いてダニエル・カール氏による講演があり、県内の教育関係者や保護者、地域の方が参加されました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1) 「国際為替相場の仕組みについて知ろう」(2年1組・総合的な学習の時間)
各国で共通に販売されているハンバーガーやコーラの値段を国別に調べ、同じ物の価格が国によって異なることを調査することで、「世界の経済」と「日本の経済」が密接な関わりを持ち、私たちの暮らしや生活に直結することや、通貨の力の差は国力(経済力)の差が大きく関係していることを学びました。
(2) 「世界の国々とお金との関わり」(2年2組・社会科)
グループに分かれ、ハンバーガーの材料となる食材の原産地や小売価格を調査しどの材料を使用するか決定した後、ファーストフード店等において身近に購入できるハンバーガーの原料・原産地を調査し比較することで、売れる「2-2バーガー」を作る準備をしました。この調査で、日本は農産物の輸入が多いこと、企業の材料のほとんどが外国産であることなどを知り、世界の国々が貿易により相互に依存し、私たちの生活が支えられていることを学びました。
(3) 「自分で作ったタマネギを販売しよう」(2年3組・作業学習)
自分で作ったタマネギを販売することにより、1)労働の喜び、2)お金の計算など売る立場としての責任感、3)得たお金での消費活動と、生産から消費の流れを学びました。笑顔と採れたてのタマネギといった双方の魅力で完売しました。
公開授業の参観者から「身近な物を取り上げての金融教育で興味深く参観しました」、「中学校の頃から金融について正しい知識を学ぶことは将来において役立つと思います」といった感想が寄せられました。
2.研究発表
「金融感覚に基づく望ましい価値判断のできる生徒の育成」を研究主題とし、生徒自身による意思決定とライフスキルを身に付けることを目的とした金融教育を実践してきたとの発表がありました。また、本年2月には、保護者、地域住民、県内教員を対象に「金融教育セミナー in 小竹」と題し、中間報告会を開催したとの報告がありました。
3.講演会
公開授業後、ダニエル・カール氏による保護者向け講演会「金融教育を考える~日米の生活体験を通じて~」を行いました。
ダニエル氏は、父親に6歳の頃から「お金は稼ぐもの」と育てられ、“chore(家事、手伝い)”をして自分のお金を得ること、仕事に対して責任を持つことを学んだと幼少時代の経験を語られました。10代になると家事手伝いの契約を交わし、賃金は大幅にアップしたが、契約違反をすると1週間お小遣いをもらえなかったと話されました。
また、日本の学校で学んで驚いたことは、規則の中で禁止事項(アルバイト・運転免許取得・男女交際)が多くあったことで、アメリカでは、アルバイト経験で単位が取得(社会勉強)できたり、全員が参加して運転講習の授業(車を乗らない人も交通ルールは知っておくという趣旨)があったり、Life and marriageという授業では、赤ん坊(人形)の世話をそれぞれが何日もすることで結婚と子育ての大変さを学ぶ機会があるなど、学校で社会人として必要な知識を学んだと説明されました。
日本で多くの若者が金融トラブルに巻き込まれている理由として、お金の話を学校で学ばないうえに、家庭でもタブーとなっているため、社会人になって初めてお金について知ることとなっている点を挙げられ、小さな頃から学校だけでなく、家庭でも親がお金について思ったことや失敗したことを、子どもに対して具体的に話すなどの金融教育が必要であると伝えました。
講演会の参観者から「日米の文化の違いが良く分かりとても面白かったです」、「家庭の中でお金の価値を教えることが重要だと感じました」等の感想が寄せられました。
4.プログラム
- 13:10~14:00
- 公開授業
(1)「国際為替相場の仕組みについて知ろう」(2年1組・総合的な学習の時間)
(2)「世界の国々とお金との関わり」(2年2組・社会科)
(3)「自分で作ったタマネギを販売しよう」(2年3組・作業学習)
講師:小竹中学校教諭 大和 崇、永野俊治、小林展子 - 14:20~14:40
- 開会挨拶
小竹町教育委員会教育委員長 力武貞四
小竹町立小竹中学校校長 金子敬人
福岡県教育庁北九州教育事務所所長 中尾治実
福岡県金融広報委員会事務局長 山口正俊 - 14:40~15:10
- 実践発表「金融感覚に基づく望ましい価値判断のできる生徒の育成」
発表者:小竹中学校教諭 宇都裕美子
指導助言:福岡県教育庁北九州教育事務所指導主事 尾中 勇 - 15:20~16:30
- 講演「金融教育を考える~日米の生活体験を通じて~」
講師:ダニエル・カール氏 - 16:30~16:40
- 閉会挨拶
小竹町教育委員会教育長 須堯豊年