金融教育公開授業
平成22年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
宮城県金融広報委員会
東松島市立矢本中央幼稚園
金融広報中央委員会
宮城の実施報告
「金融教育公開授業 in 宮城(東松島)(矢本中央幼稚園)」(12月2日開催)
東松島市立矢本中央幼稚園は、近隣に小中学校や図書館、コミュニティセンターなどが整備され、教育文化環境に恵まれた東松島市の中心部に位置しています。幼稚園は「幼児が自ら『自己の人生をシミュレートする箱庭』となる初めての学校」であると位置づけ、幼児一人一人の個性を伸ばす保育に努めてきました。
12月2日(木)に2か年の金銭教育研究校としての歩みを踏まえ、金融教育公開授業in宮城(東松島)が開催されました。当日は、午前中「かいてんじゅんびだ、みんなのおみせ!」というテーマで公開保育が行われ、全園児が参加しました。午後にはダニエル・カール氏による講演があり、興味深いお話をいただきました。
▼ 参加者内訳:
1.公開保育
公開保育は、おみせやさんごっこの準備をする一こまです。4歳児・5歳児が、おみせやさん開店のために親子で素材をたくさん集めました。おみせやさんに必要なものを考えて準備し、トイレットペーパーの芯、紙箱、牛乳パック、新聞紙、トレイ、などが各家庭から集まりました。
これらの中から、おみせやさんで売る商品をつくるのに必要な素材を選び、心をこめて商品(アイス、すし、アクセサリー、おもちゃなど)作りをしました。身近にあるものを工夫して作ることを楽しみながら、子どもたちは自分に自信を持つようになります。
2.研究発表
2か年の研究を通して、お金の教育だけではなく、限りあるものを大切にする心、ものの正しい価値観を求める心、勤労を尊ぶ心、自分を律しコントロールできる心、他を思いやる心など、子どもたちが「未来を生きる」ために必要な価値観を、体験を通して学ばせていくのが金銭教育であると気付いたと発表がありました。幼稚園における金銭教育はいかにあればよいのかを教師自身が自らに問いかけながら、園児たちとともに生きた知恵を掘り起こしてきて導き出してきたと説明がありました。
3.講演
最後に、ダニエル・カール氏による「金銭教育を考える~日米の生活体験を通じて~」と題する講演が行われました。
アメリカで20年、日本で30年を過ごした生活を通して、国による金銭感覚の大きな違いを感じたと話されました。
例えば、手を出して「お小遣いちょうだい!」と言うと、黙ってお金をもらえるという日本の習慣にはとても驚いたと話され、参加者も思わず苦笑していました。
ダニエル氏は、本来お金は稼いで得るものであり、もらったお金には責任を持つべきであること、子どもが働いて稼ぐことは難しいが、それならば、「CHOREで稼げ!」(CHORE:家事雑用)と提案されました。CHOREをすればお金は手に入るが、少しでもさぼればそうはいかないので、子どもは真剣に労働することになるそうです。
日本の高校生は勉強の妨げになるアルバイトが原則禁止であるのと違い、アメリカではアルバイトを経験することで単位が取得できるなどお金について学ぶしくみがあると述べられ、いったい日本の学生はお金についてどこで学ぶのだろうかと、日米の生活体験を通じていろいろな問題提起がなされました。
4.プログラム
- 9:45~10:30
- 公開授業 「かいてんじゅんびだ、みんなのおみせ!」(全園児)
- 11:00~11:15
- 開会あいさつ
宮城県金融広報委員会幹事(日本銀行仙台支店営業課長) 市川恒夫
東松島市立矢本中央幼稚園長 津田眞一 - 11:15~12:00
- 研究発表・意見交換
「『ありがとう』の心を育てる~人やものとのかかわりを深める環境構成と援助の工夫を通して~」 - 12:00~12:20
- 指導講評 宮城県東部教育事務所主幹(指導主事) 横山高行
- 13:10~14:20
- 講演「金銭教育を考える~日米の生活体験を通じて~」
講師:ダニエル・カール氏 - 14:20~14:30
- 閉会あいさつ 東松島市教育委員会教育長 木村民男