金融教育公開授業
2012年度 金融教育公開授業
山形県金融広報委員会
山形市立商業高等学校
金融広報中央委員会
山形の実施報告
「金融教育公開授業 in 山形(商業高等学校)」(10月29日開催)
山形市立商業高等学校は、1918年に創設された歴史のある学校で、「総合ビジネス科」「経済科」「国際コミュニケーション科」の3学科より成り立っています。県下経済界に多数の経営者を輩出しているほか、伝統的に部活動が非常に盛んで、今年度においても、女子バスケット、吹奏楽、産業調査等多くの分野において県大会、東北大会で優勝、準優勝といった優れた成績を挙げています。
同校では、10月29日(月)に公開授業を開催しました。当日は、午前中、3年1組の生徒を対象に総合ビジネス科の「消費者と法」として公開授業を実施しました。午後には、山形弁研究家でタレントのダニエル・カール氏による講演があり、全校生徒830名が参加しました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
総合ビジネス科の「消費者と法」の授業において、スライドショーで様々な映像や用語を示しながら、「かたり商法」「キャッチセールス」「催眠(SF)商法」等の具体的な事例や引っ掛かりやすい手口などを解説しました。生徒との双方向での授業を通して、予防意識の重要性を強調するとともに、「クーリング・オフ」制度等についての説明を行いました。
さらに、7つの事例についてクーリング・オフが出来るかどうかについて問う選択式問題を生徒に解かせ、対応策についての理解の深耕を図りました。
2.講演会
公開授業の後、ダニエル・カール氏による「金融教育を考える~日米の生活体験を通して~」と題する講演が行われました。講演は、1)ダニエル氏の父親が大恐慌直後の深刻な不況に陥っているシカゴで育ち家族が経済的に大変苦労したこと、2)裕福でない家庭環境の下、自らは6歳の時以来父親との間で“chore”(家事)についての労働契約を結ぶ形で収入(おこづかい)を得ることを続け、これが金銭感覚を身につけることに大変役立ったこと、3)その後、自ら稼いだ学費によって高校時代に日本留学や大学進学を成し遂げたこと、などについてユーモアを交えながら語られました。
同氏は、これらの体験談を通して、金融教育の重要性――とりわけ親が子供に対して金融を教えることの重要性――と、日米の金融についての考え方の違いを浮き彫りにしました。前者に関しては、契約概念やマネジメント意識が小さいときからの実体験を通じた金融教育によって醸成されたこと、後者に関しては、日本の学校――とくに進学校――では金融教育はあまり前向きに行われておらず、一方ではアルバイトや運転免許取得が禁止されていることから、金融リタラシーの涵養が難しく、家庭でも、「食事のときなどにディープなお金の話をすることは“汚い”という感覚がある」という点を指摘しました。さらに、こうした日本の金融・経済感覚を身に付けにくい環境においては、学校の先生や親に対して、金融・経済的な失敗談等を積極的に取り上げていく必要があると述べられました。
最後に、自らの周りにクレジットカードや借金で失敗した人が存在しているが、クレジットカードの利用や友人等への金銭の融通については慎重に行っていく必要性があると話されました。
3.プログラム
- 10:55~11:45
- 公開授業
「消費者と法~かしこい消費者であるために~」
(3年生・経済活動と法)
授業者:山形市立商業高等学校教諭 伊藤広幸 - 13:15~13:30
- 開会挨拶
山形県金融広報委員会副会長 植林茂
山形市立商業高等学校校長 武田悟 - 13:30~14:55
- 講演「金融教育を考える~日米の生活体験を通して~」
講師:ダニエル・カール氏 - 14:55~15:00
- 生徒代表 お礼のことば