金融教育公開授業
2013年度 金融教育公開授業
愛知県金融広報委員会
愛知県立中川商業高等学校
金融広報中央委員会
愛知/名古屋市の実施報告
「金融教育公開授業 in 名古屋(中川商業高等学校)」(1月29日開催)
愛知県立中川商業高等学校は、名古屋駅近くにありながら、農業が盛んな名古屋市中川区にあります。教育目標を「個人の尊重を重んじ、真理と平和を希求し、産業社会の発展に寄与する人間を育成する」とし、中川区の特徴を生かして、周辺地域や産官学と連携する活動に力を入れています。
平成24年度に創立50周年を迎え、その節目の年に金融教育研究校として2年間委嘱を受けました。
平成26年1月29日(水)に1・2年生の全クラスで授業を公開し、弁護士の住田裕子氏による講演会の後、金融教育報告会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
当日行われた授業のうち、一部を紹介します。
(1)「決算報告」
簿記の教科で「決算報告」について学習しました。まず、決算の意味を復習した後、決算の一連の手続きについて説明を受けました。次に、ある企業の連結決算財務諸表をもとに損益計算書を作成し、損益計算書の借方、貸方の合計の差額から当期純利益を算出しました。
(2)「外資の森林買収 世界見据え水源保全を」
中日新聞の「外資の森林買収 世界見据え水源保全を」という社説を読みました。水資源保全に関する条例について学び、国内外の水に関する統計データを参照しながら、社説の背景についての理解を深めました。そして、筆者の主張(水資源の大切さ、保全の必要性、日本の水に対する技術力の高さを生かして国際貢献するべきなど)を理解・把握しました。
(3)「スポーツと経済~東京オリンピックの関わり方~」
2020年に実施される東京オリンピックが経済にどのような波及効果を与えるかをテーマとして、スポーツが経済に与える影響、オリンピックに関わる支出や関係する職業などについて、グループに分かれて検討しました。また、東京オリンピックの際に生徒自らがどのような関わりを持つかを考え、発表を行いました。
(4)「Let's enjoy shopping in a different country!」
まず、円相場の推移グラフを元に、円からドルへ、あるいはドルから円へ両替する時期について、最も得な時期がいつかを読み取りました。その後、海外で買い物をするときに必要な英語表現を学び、生徒がペアとなり店員と客の立場に分かれて実際に英語で行ってみました。最後に指名されたいくつかのペアが練習成果を披露しました。
(5)「ごみ処理問題とリサイクルについて」
身近な「名古屋市のごみ分別」の資料や世界のごみ排出量の資料等を用いて、ごみの種類と分別方法、ごみの処理方法に伴う問題点などをワークシートに整理しました。また、環境問題とリサイクルの関係、ごみ問題に関しどのような行動をとるべきか班で意見交換を行いました。
(6)「身の回りのお金のリスクに備える方法を学ぼう」
まず、自転車事故を例に他人の身体や財産を傷つけてしまったら弁償しなければならないこと、賠償金額が高額になる場合があることについて学びました。その後、様々な保険の種類とその用途の違い、貯蓄と保険の違い、強制保険と任意保険の違いについて学習しました。最後に、保険について感じたことを発表しました。
(7)「景気変動と金融政策」
手作りのプリントをもとに、まず、景気、金融、景気変動、金融政策などの用語について説明を受けました。その後、戦後の日本経済史を5つの時代に区分し、それぞれの時代の景気と金融政策について、プリントに穴埋めしながら学習しました。これらを通じて、経済の流れを把握し、経済の現状についての理解を深めました。
2.講演会
公開授業の後、住田裕子氏による「金融トラブルから身を守ろう!」と題する講演が行われました。
まず、住田氏はこれから社会に出る生徒に向けて、契約の難しさ、怖さを説明されました。契約とは、申し込みに対して「はい」と答えると(つまり承諾をしたら)成立すると述べました。悪徳業者にあいまいな返事をすると、業者が「はい」と回答があったと勝手に受けとり、売買契約が成立したことにされてしまうこともあるので必ずはっきり答えるべきと強調されました。
また、「口約束でも契約は成立する」ので友人関係においても注意が必要であることや、クーリングオフ、多重債務などについて、生徒に質問しながら話されました。さらに、様々な金融商品があるので、仕組みのわからないものには絶対に手を出さないことや、勉強をすることの大切さを話されました。
最後に、社会に出て活躍する秘訣について話されるとともに、若い人は恥をかく権利があるのだから、将来の糧として大いに恥をかき、立派な大人になって欲しいと生徒たちにエールを送りました。
生徒たちからは、「こんな身近に金融トラブルがあるなんて、こわいと思った。講演を聞いて気をつけようと思った」「社会人になるための心がまえが特にためになった」といった感想が聞かれました。
3.金融教育報告会
金融教育研究校の委嘱を受けて、金融教育を内的側面(人間生活として基本的となる部分)と外的側面(金融・経済に関する部分)に分け、その両面から生徒を育成する教育を学校全体で取り組んできました。また、白菜発祥の地という地理的な特色を活かして、野崎白菜を用いた商品開発を行ったこと、野崎白菜にまつわる絵本を制作し近隣小学校や市内図書館に寄贈したことなど、地域の活性化・発展に貢献できる活動を実践してきたと発表しました。
4.プログラム
- 13:20~14:10
- 公開授業
(1)「決算報告」(11R・簿記)
(2)「外資の森林買収 世界見据え水源保全を」(12R・国語総合)
(3)「スポーツと経済~東京オリンピックの関わり方~」(13R・体育)
(4)「金融に関わる計算」(14R・情報処理)
(5)「株式」(15R・簿記)
(6)「一次関数」(16R・数学Ⅰ)
(7)「ライフデザインとライフプラン~定年後、3600万円の貯金を作るために~」(17R・ビジネス基礎)
(8)「Let's enjoy shopping in a different country!」(21R・オーラル・コミュニケーション)
(9)「直接原価計算」(22R・原価計算)
(10)「ごみ処理問題とリサイクルについて」(23R・化学基礎)
(11)「身の回りのお金のリスクに備える方法を学ぼう」(24R・生活技術)
(12)「最適な購入計画を考えよう」(25R・ビジネス情報)
(13)「為替手形 Bill of Exchangeを作成する」(26R・英語実務)
(14)「景気変動と金融政策」(27R・日本史A) - 14:25~14:40
- 開会挨拶
愛知県金融広報委員会常任委員 伊藤弘憲
来賓挨拶
愛知県教育委員会主事 川口宗泰 - 14:40~15:40
- 講演「金融トラブルから身を守ろう!」
講師:住田裕子氏 - 15:50~16:20
- 金融教育報告会
発表者:愛知県立中川商業高等学校教諭 日高勇 - 16:20~16:30
- 閉会挨拶
愛知県立中川商業高等学校校長 福島敏雄