金融指標の見方
はじめに
「世の中で起こっていることをどの程度自分に引きつけて考える(あるいは感じる)ことができるか」が、個々人の精神活動の活発さを規定する重要な要素なのだと私は思います。
円高になろうと円安になろうと、あるいは株が上がろうが下がろうが、日本国が発行する長期国債の利回りやコールレート(金融機関同士が短期のお金を貸し借りするときの金利)が上がろうが下がろうが、「別に私には関係ないや」といってしまえばそう言えなくもありません。
しかし、ちょっと連想してみれば分かることなのですが、以上のような為替相場、株式市況、我々が住んでいる国が発行する国債の利回り、コールレートの変動は、いずれも間違いなく我々の生活に関係してきます。つまり我々の家計バランスシートの内容を直接変えていくのです。
例えば、我が国の家計部門は投資信託、外国株式、外国債券、外貨預金などを通じて、優に30兆円を超える外貨建て資産を持っていると推定されますが、これらの金融資産はことごとく、円高・円安によりその資産価値が変わります。同じように株式投信を持っていれば日本株の変動によりその資産価値は変わり、コールレートなどの短期金利の変動は直接我々の預金金利に跳ね返ってきます。
つまり、以上のような金融関連指標を見るに際しては、それが我々の家計とどのような関係を持っているかを連鎖的、有機的に考える(感じる)ことができるかが重要なのだと思います。そう、ここで必要なのは連想能力なのです。このような観点を含めて最低限チェックしておいていい金融関連指標について説明します。