金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル in the Galaxy
6F 大人の宇宙おかね教室 知るぽると金融教育セミナー
マネートラブルにかつ!
講師:(社)全国労働金庫協会 広報渉外部
消費生活コンサルタント 勝又 長生 氏
労働金庫は新入社員を年間何百人も受け入れていますが、その中にクレジットカードがつくれない社員がいます。それはどういうことかというと、彼らが大学生になったとき携帯電話料金をクレジットカードで支払うようになるのですが、自分の口座から引き落としができない状態が連続して3カ月続き、延滞の記録を年6回出しますと、クレジットカードは更新登録拒否になってしまうのです。大学を卒業して社会人になり、本人は遅れがちでも払っていたので問題ないと思っているのですが、いざ別のクレジットカードをつくろうとか、オートローンを申し込んだときに、信用情報に傷がついていることに気づくのです。そのときはすでに、「残念ながら希望に沿えません」ということになります。そういった意味では、小さいときから金融教育、それもリスク対策の教育をしていかなければならないと痛感しています。
私は、労働金庫協会の多重債務相談デスクというところで毎日電話を受け付けていますが、借金地獄に追い込まれて相談をする人たちは、大半が非正規雇用労働者です。消費者金融業界の方々が公表したデータ(2006年5月22日付)ですが、現在、消費者金融に残高がある人が1,399万人います。また、金融庁や政府の統計資料では、消費者金融・クレジットキャッシングといった高金利での貸付残高が20兆円あります。自己破産した人は7年間、個人信用情報のブラックリストから解除されません。子どもを大学に入れたくても、教育ローンを借りられないというような人たちが2001年から2007年の7年間で132万人もいてこれは異常事態です。
ブラックリストに載るのはこうした人たちだけではなく、例えば民事再生手続をとったり、特定調停という手続で負債を整理したり、支払い督促を受けていたりする人も含まれます。様々な統計資料を合わせてみると、現在、少なくとも約470万人の人がブラックリストに載っているのではないかと推測しています。そして、奨学金の滞納者も増加しており、1年以上奨学金を返済できていない人が推定で20万人を超え、金額にすると何千億円という大きな数字になっています。
お金の問題を抱え、借金地獄にある人たちは、精神的パニックに陥っています。そういう方たちから私どもが相談を受けるときには、最初に使い途を聞きません。まず、お金の問題はどんな方法でも問題解決できますから一緒にがんばりましょうと言います。精神的に追い込まれている債務者を追い詰めてはいけません。皆様も相談を受ける際には、借金地獄に追い込まれた人たちの心理状況を十分理解したうえで相談を受けてください。