金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
金融教育セミナー 北海道会場
(社)全国消費生活相談員協会
鵜飼 紅良 氏
(札幌市消費者センター 啓発指導員)
「今、消費者に求められる『金融リテラシー』とは?」
稼ぐ、使う、貯める、投資する、分かち合う……人生計画の課題として
一般の人の金融リテラシー(情報活用能力)とは、投資・運用の際に、なぜその投資が必要なのかを冷静に判断し、将来どんな「私」になりたいのか客観視できる力です。金融業は、消費者が損しようが儲けようが関係ありません。金融商品を買わせたり売らせたりする度に手数料を稼いでいます。消費者は、資産など手の内すべてを金融機関に知られています。そういう事を分かって、勧められるものを買おうとしているのか、欲しいと思って買おうとしているのかを見極めることになります。
私が相談員として区役所の窓口にいた1999年に、高齢の女性が来て泣き始めました。破綻した拓銀(北海道拓殖銀行:当時)に老後の預金を全額入れてあるとのこと。当時は、預金は全額保護されていたのですが、それを知らなかったための恐怖、信頼していた金融機関が無くなる不安からの涙でした。私もその感覚を実感し、ファイナンシャルプランナーの勉強を始めました。
2007年に金融商品取引法ができ、多様化した金融商品の勧誘・販売時のルールが定められました。(1)利益の見込み等について著しく事実に反したり、人を誤認させたりする表示を禁止する広告規制、(2)契約締結前、締結時に書面を渡して理解させる書面交付義務、(3)虚偽の説明の禁止、(4)損失補てんを口約束する事などを禁じる損失補てんの禁止、(5)無理強いを禁じる不招請勧誘・再勧誘の禁止、(6)消費者自身の年齢や知識、生活ぶりに合わない勧誘を禁じる適合性の原則、が柱です。(6)がこの先一番、販売側の姿勢を問う部分になり、消費者の金融リテラシーで肝になってくるでしょう。
労働の対価として「稼ぐ」、優先順位を付けて「使う」、夢・目的の実現のために「貯める」、自分が人生をどう楽しみたいのかを考えて「投資する」、少し我慢した分を寄付して痛みや心を「分かち合う」。人生計画の中でこれができれば「お金の王様」になれます。仮に失敗してもリベンジできる消費生活をして頂きたいと思っています。
(社)全国消費生活相談員協会とは
消費生活センターの消費生活相談員で組織する消費者問題の専門家の団体です。消費者からの相談に対応し、被害の未然防止や啓発などを行い、消費生活の安定向上のために活動しています。