金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
金融教育セミナー 東京会場
(社)全国消費生活相談員協会
金融サービス研究会
遠藤 香世子 氏
「消費者の金融トラブルを防ぐ!」
最近の金融商品「仕組預金」によるトラブルの実情と被害防止について
最近、消費生活センターに多く寄せられる相談に、劇場型の未公開株・社債販売に関するもの、イラクのディナールやスーダンポンドなど外貨の販売に関するもの、変額年金保険に関するもの、仕組預金に関するものなどがあります。
この中から今日は、特にデリバティブと呼ばれる手法を使った金融商品が販売されトラブルになっている実情とその防止方法についてお話しします。
事例(1)
「5年で金利1%」という銀行のチラシを見て、5年後に使う予定のあるお金を預けた。もうすぐ満期が来るので楽しみにしていたら、銀行から期間を延長すると案内がきた。最初にそんな説明は聞いていない。
事例(2)
「3年定期で金利3%」という新聞広告を見て銀行に300万円預けた。満期時に円高となり、預けたお金を外貨で受け取った。円に換えたら大きく元本割れした。
これら2例のトラブルになった金融商品が「仕組預金」と呼ばれるものです。仕組預金は、デリバティブを組み込んだ商品で、定期預金に金融機関が条件を付け、リスクを契約者が負担することがあることを約束するため、その対価として高い金利がもらえるようになっています。また、定期預金ではあっても中途解約すると元本割れすることがあります。
今販売されている仕組預金には「期間延長(短縮)特約付預金」と「外貨償還特約付円定期預金(二重通貨預金)」があります。前者は、満期日を金融機関の判断で動かすことができるようになっています。後者は、円定期預金に条件付為替予約がついており、預入日と満期時の為替相場によって元本が元本預入通貨で受け取れるか、約束した別の通貨で受け取るかが決まるというものです。
確かに、通常の定期預金より高い金利の魅力はあります。しかし、商品の仕組みがとても複雑です。簡単な説明やパンフレットでは理解が難しいため、消費者側が、よく理解できない金融商品を勧められるままに購入してしまう、自分がとれるリスクの判断が適切にできない、また、銀行などの金融機関が元本割れする商品を販売しているという認識がないことがあり、トラブルの原因となっているようです。
そこで私たちは、金融機関に対しては、一般の消費者に分かりやすい商品設計と、分かりやすく誤解を招かない商品説明を求めています。一方、消費者も「金融の基本知識を持とう」、「リスクのある商品の選択は慎重に」、「セールストークをうのみにしない」、「契約する前にパンフレットをよく読む」、「理解・納得できるまで説明を求める」、「理解できない商品は買わない」、「自分が取れるリスクをよく考えて」、といったトラブル防止策が必要となります。
(社)全国消費生活相談員協会とは
消費生活センターの消費生活相談員で組織する消費者問題の専門家の団体です。消費者からの相談に対応し、被害の未然防止や啓発などを行い、消費生活の安定向上のために活動しています。