金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
金融教育セミナー 東京会場
(社)投資信託協会
講師
髙花 富夫 氏
「初めての投資信託教室~魅力と活用方法について~」
分散投資と長期保有…リスクを軽減してしっかり資産運用
投資信託とは多くの投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、資産運用の専門家、いわゆるファンドマネージャーが投資家に代わって株式、債券などを中心に分散投資し、その運用成果を投資家のそれぞれの投資額に応じて分配する仕組みの金融商品です。 元本保証のない投資信託は、利益を得る時もあれば、大きく損をする時もあります。 投資信託を購入する時は、商品内容の説明を良く聞き、しっかりと理解したうえで、後悔しないように自分で決める(選ぶ)という自己責任が求められます。
なお、投資信託は、販売会社、運用会社、信託銀行で組成されます。販売会社を通して投資家から集めたお金は、ファンドに組み込まれ、このファンドは信託銀行が管理します。そして運用会社がそのファンドを運用する仕組みです。ファンドの資産は分別管理することが法律で義務づけられていますので、信託銀行が倒産した場合でも資産は守られます。
ここで投資信託の誕生について、その背景をみてみましょう。19世紀のイギリスでは、産業革命で資産を蓄積した中小富裕層の間で、海外投資の意欲が高まりました。しかし、個人では、資金が小さい、危険分散ができない、また調査も難しいという状況の中で、これらを全部解決する方法として考案されたのが『投資信託』です。1868年(明治元年)に、世界最初の投資信託「フォーリン・アンド・コロニアル・ガバメント・トラスト」が誕生しました。
このことからわかるように、投資信託は、(1)少ない金額(1万円程度)から購入できる、(2)株式や債券などに分散投資される、(3)専門家により運用される、(4)個人では買えない特殊な金融商品や新興国への投資も可能、(5)毎日、時価(基準価額)が公表されるので、値動きが分かりやすく、また、決算期ごとに監査法人が監査するため透明性が高い、といった優れた魅力があります。
一方、元本割れもあり得るリスクについても、きちんと知っておく必要があります。元本や利息の支払いが遅延、支払い不能が生じる「信用リスク」、株式・投資信託・債券などの「価格変動リスク」、外貨建て金融商品を買って円での手取り額が変動する「為替リスク」、資産運用の対象を海外に広げた場合の「カントリーリスク」などがあります。
また、購入時には、販売手数料が、保有時には、残高に応じて一定料率で徴収される信託報酬や監査費用、運用経費などのコストや分配金や収益金に対して税金が掛かることも理解しておく必要があります。
それでは、投資信託を活用した資産形成のポイントは何でしょうか。
まず、マネープランを考えます。お金儲けのことではなく、例えば、結婚、教育資金、家の購入、老後などのために必要な資金を準備する計画です。そこから、運用の目的を明確にします。投資信託の種類は多く、マネープランで明確にした計画や目的に適応したさまざまな種類の商品が用意されています。その中から、自分の運用資金の性格を整理し、(1)投資の目的、(2)運用の期間、(3)リスクの許容度などを考えて商品を選びます。その際、自分で納得してから購入することが重要になります。おいしい話はあり得ません。利益もあれば損もするリスクを知ってから投資することが大切です。
次に、値動きがある変動商品の資産運用にとって最も大事なことは、投資対象や投資するタイミングを分散することです。値段が上下に変動するブレ幅(リスク)を低減する方法として、(1)資産分散、(2)長期保有、(3)時間の分散の3つがあります。いずれも価格変動や収益を安定させる効果があります。
過去の実績からみても、長期保有と資産分散を組み合わせて運用することが収益の安定化につながり、堅実な資産形成を達成できることが証明されています。また、確実に資産を形成する手段として、給与天引きや、自動引き落としなどを活用して、毎月コツコツと積み立てる方法(ドル・コスト平均法)があります。つまり、時間を味方にして資産形成をするには、「投資信託」が一つの選択肢であるといえるかと思います。
豊かな老後のために、気づいた時から無理のない投資をして資産を形成しましょう。
(まとめ)
1.投資信託は自分では出来ないことを可能にしてくれます
2.多種多様な投資信託があります
3.投資の目的をはっきりさせ、目的に適した投資信託を選びましょう
4.分散投資と長期投資が資産運用のカギです
5.時間を味方に、 積立て(天引)投資をすることが資産形成の王道です
(社)投資信託協会とは
1957年に設立され、投資信託の運用会社127社を正会員にもつ社団法人。投資者の保護を図るとともに、投資信託及び投資法人の健全な発展に資することを目的に活動しています。