金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
金融教育セミナー 東京会場
(社)日本証券アナリスト協会
編集企画部長 CMA CFP
園田 耕三 氏
「はじめてみよう証券投資」
リスクを減らし、個人投資のメリットを生かして資産運用を
「損はしたくない、1円でも儲けの多い株や金融商品はないか」というのが人情かと思いますが、世の中にそんなうまい話はありません。個人は、会社とは異なり毎年の決算がないので、長期の視点で資産形成を考えることができます。その利点を生かして、腰を据えて取り組むようにしたいものです。資産運用を始めるに当たっては、まず家計の現状を知り、将来の収支見通しを立てることが必要です。これには、「知るぽると」のホームページから無料でダウンロード出来る「家計の資産管理簿」や「生活設計診断“ミニ”」を利用されるとよいでしょう。
運用先を選ぶ際には、運用資産の目減りや予想外の損を出す可能性を表す「安全性」、どれくらい自由に現金に換えることができるかを表す「流動性」、どの程度運用益が期待できるかを表す「収益性」の3つがポイントです。この3つとも高い金融商品はありません。通常、安全性や流動性が高ければ、収益性が低くなる「ローリスク・ローリターン」に、逆に収益性が高ければ、安全性や流動性が低くなる「ハイリスク・ハイリターン」になります。
リスクとは、将来の不確実性です。資産運用上のリスクとは、資産運用で期待以上の成果を得ることもあれば、損をすることもあるということです。資産運用を上手にやっていくためには、どのようなリスクがあるかを知り、リスクを出来るだけ小さくするにはどうしたらよいかしっかり学ぶことが大切です。リスクには、どのようなものがあるでしょうか。債券や株式の価格が上がったり下がったりする「価格変動リスク」、預金先や投資先が倒産してお金が返ってこないといった「信用リスク」、外貨建ての預金・株式などが円ベースでの価値が上下する「為替変動リスク」などがあります。
こうしたリスクへの対応策の1つが分散投資です。商品によってリスクは異なりますので、リスクの特性の異なる金融商品を組み合わると、互いにリスクを打ち消しあって全体のリスクを小さくできます。例えば金融商品の分散、銘柄の分散、通貨の分散などを考えましょう。
もう一つのリスク対応は長期投資です。短期間で成果を上げようと無理をすることなく、ゆっくりと構える。1回に多額の投資をするのではなく、定期的に一定額の投資を続けることで平均購入単価を平準化する。利子や配当金を受け取って使ってしまうのではなく、元本に組み入れて複利効果を活用する。手法としては積立投資もあります。株式には大きな価格変動があります。個人の方が株を買う場合には、その会社のサポーターとして応援してあげたいというようなつもりで投資をされるのがよいのではないかと思います。株を買う場合には、どういう会社かよくわかってから買わないといけないと思います。日本証券アナリスト協会は、悪い情報も含めて情報を積極的に開示している会社を「ディスクロージャー優良企業」として毎年選定しています。
様々なリスクがある中で、国内外の株式や債券などがあって選ぶのが大変という方には、多くの投資家から資金を集めてまとめて運用してくれる「投資信託」があります。運用手段の1つとして考えてみてもよいでしょう。
最後に、証券投資には色々な費用がかかります。手数料、信託報酬、信託財産留保額など、買う前によく費用を確かめていただくとよいと思います。
(社)日本証券アナリスト協会とは
証券アナリスト(CMA®)の育成と社会的地位の向上を目指し、1962年に設立された公益法人です。個人会員数2万3千名、法人・賛助会員数510社・団体で組織(2010年3月末現在)されています。