金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
金融教育セミナー 東京会場
(株)東京証券取引所グループ
CSR推進部課長、東証アカデミー講師
榊原 宏司 氏
「東京証券取引所とは何か?~株式会社と証券市場の仕組み~」
グローバル化、規制緩和、インターネットの普及…変貌する証券市場
会社は事業活動を行い、その対価として「利益」を生みます。利益は、税金として支払われたり、企業価値を高めるために使われ、従業員や取引先・地域社会にも繁栄をもたらします。会社が事業拡大のための設備投資や、新商品のための研究開発、会社の買収等により、会社をさらに成長させようとすると、資金が必要になります。起業するためにも、資金が必要です。
会社が必要な事業資金を調達する方法としては、ひとつには売上高の現金回収をすることです。会社内部に保留してある資金を使う方法もあります。また、銀行から借り入れる間接金融や、社債や株式を発行市場で発行して外部資金を調達する直接金融も一般的です。発行市場で社債や株式による資金調達をスムーズに行うために大きな役割を果たしているのが、流通市場(証券取引所)です。流通市場は、いったん発行された株式が投資家の間で売買される市場をいいます。流通市場があることで、投資家は投下資金の換金が可能になり、会社は資本を永久使用出来るようになります。
会社が発行する株式を「流通市場」である「証券取引所」で売買の対象とすることを、「上場」といいます。上場されると、不特定多数の人々が株式(細分化された出資分)の売買に参加できるようになり、資金調達力がアップするほか、信用力や知名度アップにもつながります。
証券取引所は全国に6つあります。東京証券取引所(東証)は、株式、債券、先物、オプションのほかETF、J-REITと呼ばれる上場投資信託も扱っています。6つの取引所に上場している企業は2009年末現在で3,740社あります。このうち東証に上場している企業は2,319社で、うち東証だけに上場している企業は1,551社です。また、東証にはマザーズという新興企業向け市場があり、ここに183社が上場しています。
東証は、金額ベースで世界第2位の市場規模があり、外国人の投資動向や買越額の推移などからも分かるように、証券市場における外国人の存在感は日増しに大きくなっています。証券市場がグローバル化するとともに、規制緩和とインターネットの普及による売買コストと情報収集コストの大幅な低下、“インターネット証券”の普及・拡大、株式持ち合いの解消、“モノ言わぬ株主から、発言し要求する株主へ”といった変化が起こっています。こうした変化に対応して、株主との対話を求める株主総会、経常利益に占める配当金の割合の増加、株式分割と売買単位の引き下げなどの動きも出ています。
東京証券取引所グループによる「東証アカデミー」では、社会人向けの講座を開設しています。東京証券取引所ホームページからお申し込みできますので、ぜひご利用ください。また、東証は見学(無料)も実施していますので、併せてご活用いただければと存じます。
(株)東京証券取引所グループとは
東京証券取引所は、高い信頼性と利便性を備えた健全な証券市場の構築とともに、公正・中立な市場開設者の立場を生かして、金融経済教育活動を行うなど金融リテラシーの向上にも取り組んでいます。