金融教育フェスティバル2011

本日は「学校における金融教育の効果的な進め方」とのテーマで、（１）なぜ、今、金融教育なのか、金融教育とはどのような教育なのかについてご説明したうえで、（２）学校の教育課程のどこに位置付ければ効果的に金融教育を展開することができるのか、（３）具体的に、指導方法や学習活動をどのように工夫すればよいのか、といった点についてお話しします。

まず、今、なぜ金融教育なのか。社会の変化が著しい中で、私たちの生活における選択が社会のあり方に繋がっている部分がまさに金融（お金の融通）です。子どもをとりまく環境も変化しており、働くことの意義など、価値観にかかわる教育も大切になっています。学校教育では、社会で通用する能力を身につけることに重点が置かれるようになっています。このような中で、金融教育、すなわち「お金や金融の様々なはたらきを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育」の重要性が高まっています。

次に、教育課程のどこで金融教育を展開するのか。特に小学校の場合は、教育課程の中で金融教育の位置付けを明確にして全体計画を立てることが効果的だと考えます。中学校や高等学校では、やや教科の独立性が高いので、関連の深い社会科、家庭科や総合的な学習の時間で扱うという形になるかもしれません。金融教育を展開する際には、児童生徒の発達段階や生活体験などに配慮すること、緩やかな系統性を意識することが必要です。調べ学習や体験的な学習を積極的に行うということも効果的です。学習の際、お金を得る、使う、貯める、借りる、分ける、といった場面を具体的に設定すれば、お金の働きが明確になり、扱いやすくなると思います。

最後に、金融教育の具体的な進め方です。まず、自校の児童生徒の現状を把握することが出発点になると思います。どのような課題があるのか整理して、身に付けたい力を多面的に検討します。次に学習指導要領や教科書の内容を整理して、各教科等・学年ごとに金融教育として扱える内容を洗い出し、目標と内容を設定してみることが大切です。学習指導や授業の構想を練る際は、目標（身につけたい力）から考える、教材や活動場面（文化祭、宿泊行事等）から考える、学習活動（ロールプレイング、調べ学習、発表会等）から考える、などの方法があると思います。また、学校外の施設や人材を活用することも検討し、学習活動に幅を持たせることが大切です。