ビギナーズのためのファイナンス入門
第1講 ケータイ・市場・価格・品質
Dialogue 1 授業が終わって
有希「ケータイの料金が下がるんだって。」
孝「えっ、ほんとそれってありがたいな。」
有希「でも、まだまだ高いんじゃない。みんながじゃんじゃん使ってるんだから、電話会社はもうかっているはずだわ。もっと安くなってもいいのよね。」
孝「そうだな。」
先生「そう、いいところに気がついたじゃない。でも、一般的には需要が増えれば価格が上がり、需要が減れば価格は下がる傾向にあるんだけど、ケータイの料金の場合は逆ね。」
有希「先生、それは、需要が増えると、いろんな電話会社が激しく競争して、料金を下げてお客さんを自分の会社の利用者になってもらおうとするからじゃないんですか。」
先生「そのとおり。企業どうしの競争は消費者にとってプラスになるということね。」
孝「でも、料金を下げるばかりに夢中になって、製品やサービスの質が低下したり、それによって会社の信頼を失ったりすることはないんですか。」
先生「これまでにも、品質管理を怠って問題を起こした企業もあったのよ。欠陥がもとで事故でもあったら大変でしょ。」
Knowledge 1 市場の働き
「市場」には青果物の卸売市場のような現実の「いちば」と、外国為替市場などという場合の理念上の「しじょう」があります。この市場では、需要と供給が釣り合うところで価格が決定します。
供給量が需要量を上回れば価格は下がっていきますが、需要量が供給量を超えると価格は上がっていく傾向があります。
市場を中心とする経済では企業間の競争が必然的に起こります。競争は商品やサービスの価格や品質をめぐるものばかりでなく、広告やアフターサービスなどにもおよびます。競争がほどよく行われている間は消費者の利益にもなりますが、やがて競争は勝利者と敗者を生み出し、敗者は市場から撤退していかざるを得なくなります。
ケータイの料金市場はどうでしょう。通信事業の自由化以来、利用料金の値下げ競争が激化しています。基本使用料、インターネット接続時のパケット代、プロバイダー料などの他に、さまざまな有料の付加サービスがあります。無料通話や割引適用のしくみもあります。選択の目をしっかり持つことが肝心でしょう。
Skill 1
きょうのドルの相場はいくらになっていますか。新聞やニュースで確認してみよう。なぜ毎日変動するのか話し合ってみよう。