金融教育公開授業
平成17年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
徳島県金融広報委員会
徳島の実施報告
「金融教育公開授業in阿南(横見小学校)」
(12月2日開催)
横見小学校は、徳島県金融広報委員会から、金銭教育研究校(17-18年度)の委嘱を受け、金銭教育に取り組んでいます。12月2日(金)は、シンクタンク・ソフィアバンク副代表の藤沢久美氏を招いて、公開授業と講演会を行いました。5、6年生児童44名のほか、学校関係者、保護者、教育委員会関係者等、約65名が参加しました。
公開授業と講演の後、田村校長先生は、「企業活動においては、経営者も従業員もどちらも意義ある存在であること、また、生きる力、生活力を育むことの大切さを教えていただいたとともに、常に『なぜ、何のために』と考えてみることが大切だ、という示唆を与えていただき、大変有意義な時間となった」と総括しました。
▼参加者内訳
児童(5,6年生)44名、保護者34名、教育委員会 3名、他校関係者11名、徳島県金融広報委員会関係者7名、地域住民等10名
公開授業「仕事について、考えてみよう」
(講師:藤沢久美氏)
今回の授業に先立ち、児童の皆さんは、「かき氷の魔法-世界一短いサクセスストーリー」(藤井孝一著・幻冬舎)を読んで、起業について予習してきました。事前に実施したアンケートでは、全員が「会社を作ってみたい」と回答しました。
藤沢氏は、アンケート結果も踏まえ、45分という限られた時間の中で、「お金の役割」、「働くことの意味」、「社長になるとはどういうことか」、「経営者と従業員のどちらもが重要な存在であり、意義のある仕事をする人たちであるということ」、「会社を作るのに必要なお金はどのように調達するのか」、といった内容について授業を行いました。
テレビ局や新聞社の取材カメラを前に、最初は少し戸惑い気味だった児童たちも、藤沢氏の問い掛けに対して、どんどん手を挙げて自分なりの起業のアイディアを披露しました。
*起業に関する事前アンケート
- Q.将来あなたは会社を創ってみたいですか?
- Q.それはなぜですか?
- Q.あなたはどんな会社を創ってみたいですか?
- Q.なぜ、その会社を創ってみたいと思ったのですか?
- Q.資金はどうやって用意すると良いと思いますか?
- Q.従業員はどうやって集めますか?
- Q.どんな場所に作りたいですか?
- Q.あなたのすてきなアイディアは?
藤沢氏は、「働いてお金を貰うということは、感謝されているということ。お金持ちになるために社長になって一生懸命働くのは、悪いことではないが、その結果、お金で買えない大切なもの(命、時間、両親や兄弟姉妹、友だちなど)を失くすことになっては意味がない」と注意を喚起しました。
また、社長になるために必要なこととして、「まずは『ありがとう』がきちんと言えること。また、失敗は成功の素であり、失敗してもあきらめずに、いろいろと工夫してみること。人が喜んだりワクワクすることを考えるクセを付けること」と、話しました。
最後に、「自分は世の中にどんな形で役に立つのかということを考え、それを大事にしてほしい。自分だけのオリジナリティやキャッチフレーズを見つけることが、今日の宿題です」と授業を締め括りました。
(藤沢氏の質問に答える児童)
講演会「仕事について、考えてみよう」
(講師:藤沢久美氏)
公開授業に引き続き、保護者、教育関係者の方々等を対象として講演会が行われました。
子供のうちから失敗を恐れない経験を
藤沢氏は冒頭、「公開授業を行うに当たって、児童の皆さんが回答した事前アンケートの中身をみて、子供たちの透明な心に強い印象を受けた」と話しました。「傷つくことを恐れ、また、大人びて、夢を見ることができなくなった子供たちが多い中で、これはとても貴重なこと。子供たちが失敗を恐れず、夢の実現に向かって進めるように、皆さんで見守っていってほしい」と話しました。
企業の求める人材の変化:創造性と共感力
藤沢氏は、仕事を通じて400社以上の企業を取材してきた経験から、「多様化・情報化時代となり、企業が求める人材が変化してきている。インターネットの普及で情報が簡単に共有できるようになった結果、単なる知識は価値を持たなくなり、代わりに知恵や感性が価値を持つようになった。子供たちには、相手の気持ちを汲み取って、いろいろなアイディアを出せる『創造性』と『共感力』を身に付けさせることが大切だ」と話し、そのために必要なこととして、「本物の音楽、美術、自然とのふれ合いや、人と人とのぶつかり合いなどの『感じる場』をたくさん持って、いろいろな体験をすること、コミュニケーションを重視すること」を挙げました。
お金を生かすために、親子で価値観を磨こう、社会を見つめよう
お金に関する教育という観点でも、家庭でできることがたくさんあると提案しました。「お金はあくまでも『道具』であり、しっかりした価値観を持っていなければ生かすことはできない。価値観を磨くためには、例えば、親子でフリーマーケットに参加して、お金を貰うことの大変さを実感させるとか、スーパーで商品を選ぶ時にどういう価値観で選ぶのかを話すとか、お小遣いの与え方を工夫するなど、家庭でのいろいろな機会を活用することができる」と話しました。さらに、「お父さん、お母さんの仕事についても、いろいろな機会に話をしてあげてほしい」と話しました。
(藤沢氏の講演)