金融教育公開授業
平成18年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
熊本県金融広報委員会
熊本の実施報告
「金融教育公開授業 in 上天草(松島商業高等学校)」(11月10日開催)
11月10日(金)午後、熊本県立松島商業高等学校において公開授業が行われました。同校は昭和29年創立の50年を超える歴史を持つ商業高校で、現在、商業科・情報処理科合わせて199名の生徒が学んでいます。当日は、同校の山形隆教諭が商業科選択科目「経済活動と法」の中で「ネットオークション詐欺」をテーマとする公開授業を3年生10名に対して行った後、弁護士の住田裕子氏から全校生徒や教育関係者、保護者の方々等向けに「金融・消費者トラブルから身を守ろう」と題する講演を行いました。
▼ 参加者内訳:
公開授業60名(うち生徒10名、学校関係者及び保護者50名)
講演443名(生徒197名、今津中学生60名、学校関係者及び保護者186名)
公開授業「経済活動と法 ~ネットオークション詐欺~」
「A君がインターネットオークションで、以前から欲しかった音楽CDを落札して代金を振り込んだが、商品が届かなかった」という事例を取り上げて、生徒一人一人にA君の取った行動の問題点を考えさせました。「出品者の評価」の点数が低かったのに飛びついてしまったこと、カタカナの口座名と口座番号しか分からず、相手の住所や電話番号を聞いていなかったことなどを生徒各人がカードに書き込み、全員がそれらを教室のホワイトボードに張り出していきました。次に、先生と生徒が一緒になって、これらの問題点で類似するものを整理していき、さらに対処法を考えていきました。最後に先生から、ネットオークション詐欺に遭わないためのエスクローサービス(出品者と落札者の間を取り持ち、安全に取引できるようにする)の活用や、被害にあった場合の対処法(内容証明郵便による督促、少額訴訟制度の活用など)の説明がありました。
参観していた金融広報アドバイザーから、「これからインターネットオークションをしようと思っている人には、よい勉強になったと思います。何事につけ利便性、危険性、トラブルへの対処法を考えるくせを、常に身につけて欲しいと思います」との感想が寄せられました。
講演「金融・消費者トラブルから身を守ろう」
公開授業の後、住田弁護士による講演「金融・消費者トラブルから身を守ろう」が、約1時間半に亘り行われました。松島商業高校の全校生に加えて近隣の今津中学生や教育関係者、保護者の皆様方などが参加され、全体で400名を超える盛況となりました。
講演では、身近な例から説き起こして、契約の意味、債務不履行、名義貸し、カードの盗用など、知らないうちに法律の専門用語まで分かるような巧みなお話振りでした。例えば、インターネットでの商品購入では、一旦申し込んだ後、必ず確認画面が表示され、再度購入の意思を確認されるが、それには対面でなくインターネット上で契約が成立する際、電子商取引特例法で必要条件となっていることが説明されました。言い換えると、ワンクリックだけでは、契約は成立していないことになります。また、身に覚えのない督促状や利息制限法を超える金利での借入れなど、金融トラブルについても、詳しくお話がありました。
なお、講演後に生徒から出された、「なぜ弁護士になったのか」や「ダイエットの方法を教えて欲しい」との質問にも、真摯に答えられて、会場には感動の渦が巻き起こりました。
参加者のアンケートには、「身近にある問題だが見落としているところがあり、損をしていると思いました。法律を少しでも知っていると、泣き寝入りすることもないので、これからは法律相談窓口も利用したいと思いました」とか、「生徒の質問に対する、与えられた仕事をしっかり頑張ることで道がひらけるとの先生の生き方には、学ぶ点が多かった」などの感想が多数寄せられました。