金融教育公開授業
平成19年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
熊本県金融広報委員会
金融広報中央委員会
熊本/錦町の実施報告
「金融教育公開授業 in 球磨(球磨商業高等学校)」(1月18日開催)
熊本県立球磨商業高等学校では、地域の方々の信頼にこたえ、教育目標がどれくらい達成しているか、どのような成果をあげ、どこに課題があるかを明確にして、保護者と連携協力して教育活動を展開しています。また、学校を開かれたものとするとともに、学校の経営責任を明らかにし、校訓『誠実・進取』、特に第一綱領「誠実」を重んじ、「誠は天の道なり、誠を思うは人の道なり」という教育目標を掲げ、真心を持って人に接し、まじめに素直に生きる生徒の育成を目標として、特色ある教育活動を展開するため、保護者や生徒による学校評価を実施するなど、幅広く取り組んでいる学校です。
平成20年1月18日(金)に開催した公開授業には、同校生徒の他、学校関係者、保護者および地域の皆様など、多くの方々にご参加をいただきました。また、地元新聞社(2社)も取材に訪れました。
▼ 参加者内訳:
全校生徒560名、学校関係者及び保護者等156名、報道関係者2名、合計718名
1.公開授業
「お金を使うこと」、「お金を貯めること」、「お金を借りること」、「仕事を通じてお金を得ること」の4つ視点から、金融について勉強を進めてきた3年生18人の研究発表を通して、テーマ「本当は身近な金融問題」と題して、3年生全員(200名)を対象に公開授業が行われました。
3年生18人が、地元の小学生を対象に出前授業を行い、一生懸命、授業内容をみんなで検討し、放課後行った模擬授業の練習風景の様子や、自分たちで考え工夫して準備した手作りの学習教材などが写真や映像で紹介されました。また、実際に授業するにあたっては、「楽しくわかりやすい授業にすること」、「子ども達に考えてもらうこと」などを目標として掲げ、授業を組み立てていったとの説明がありました。
実際に授業を行った生徒からは、「小学生から『楽しかった』、『よくわかりました』と言ってもらって嬉しかった」、「授業を組み立てていく中で『小学生がどこまで理解できるのか』ということを考えるのに苦労した」、「この授業体験で、自分の授業を受ける姿勢が変わった」などの感想がありました。
その後、社会に出てから労働の対価として支払われる賃金の消費について、車を購入する際のローン契約などを例に挙げ、今後は想定される危険に対するリスクを保障するためにお金を使うという行動が必要になってくることや、保険加入等の際には、自分自身で理解して判断する力が必要になる等の説明がありました。
最後に、社会に出た時のリスクや不安への対応の方法として、それに対する答えは必ず世の中に転がっているから、新聞を読んだり、ニュースやTVから多くの情報を得て、自分の知識や考えを広めていくことが大切であること、また、「いつも知ろう!」という好奇心を持ち、情報を集め判断する力を磨くことが必要であること、そして、世界や日本の動きを知り、学校で勉強したこととは別に、生きた情報から自分の生き方を決めていくこと、といったことが社会人になるうえで大切になってくるとアドバイスされ、これまで勉強してきた「預貯金」、「クレジットローン」、「生命保険・損害保険」、「株式・債券・投資信託」の中で、自分で一番理解できていないと思う項目を、インターネットで調べたり、先生に聞いて少しでも理解してから卒業するということで、公開授業を終了しました。
(公開授業の模様)
2.講演会
公開授業の後、全校生徒、保護者及び学校関係者などを対象に、住田弁護士による講演「その時あなたはどうしますか~金融トラブル~」が、約1時間半に亘り行われました。
講演では、契約トラブルや悪質商法、多重債務問題など、実際にあった身近な事例を通して、日々の生活に法律がどのように関わってくるのか、わかりやすく説明されました。
また、これからは、JRや飛行機の予約など、人と対面せずインターネット等で買い物をする機会が増えてくることから、次のような点に注意するよう話されました。すなわち、インターネットでの商品購入等の場合、申し込みをした後、必ず購入の意思を確認する画面が表示される(このことは、電子商取引特例法でインターネットによる契約の際の必要条件となっている)が、これを1回目のクリックだけで「支払え」といってくる業者は、法律違反の悪徳業者であることと説明され、「ワンクリック詐欺」や最近新手の「ツークリック詐欺」についても手口が紹介されました。
その後、浄水器等の訪問販売の手法や最近ブームの「スピリチュアル」にもふれ、人間誰しも将来に対しての不安はあり、その不安に対してつけ込む悪質な占い業者に対しても、「クーリングオフ」ができるように法律改正になったことや、サラ金業者や様々な金融機関からの借入金利に対する規制が、利息制限法の規定を超える29.2%という高金利から、利息制限法で定められた金利に、一本化されるように法律改正が行われたことなどの説明もありました。
参加者のアンケートには、「どんな法律があるのかわかったのが良かった」、「今から一人で生活していく子どもにはとても役に立つ話だった」、「具体的な事例、身近な話題でわかりやすく、自分の知識(判断)を確認できた」などの感想が寄せられました。
(講演会の模様)
3.プログラム
- 13:00~13:50
- 公開授業「本当は身近な金融問題:研究発表会」
授業者:熊本県立球磨商業高等学校教諭 谷脇詩織 - 14:05~14:20
- 開会挨拶 熊本県立球磨商業高等学校長
熊本県金融広報委員会 - 14:30~16:00
- 講演「その時あなたはどうしますか~金融トラブル~」
講師:住田裕子氏 - 16:00~16:10
- 生徒代表謝辞
- 16:10~16:15
- 閉会挨拶 熊本県立球磨商業高等学校教頭