金融教育公開授業
平成20年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
三重県金融広報委員会
三重県立久居農林高等学校
金融広報中央委員会
三重の実施報告
「金融教育公開授業 in 津(久居農林高等学校)」(10月6日開催)
三重県立久居農林高等学校は、三重県の中心部、清少納言ゆかりの“榊原温泉”近くに位置し、創立104年目を迎える歴史のある学校です。今年度、三重県金融広報委員会より金融教育研究校の委嘱を受け、生活デザイン科にて消費生活の側面から課題研究において熱心に金融教育に取り組んでいます。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
「『賢いカードの使い方』~見えないお金の流れ~」をテーマとして、キャッシュレス社会、カード社会の現状を踏まえ、カードの種類や機能、特徴を知り、賢く利用するための留意点、管理方法を実物や表を使い、分かりやすく学びました。
クレジットカードは20歳以上の国民平均2.9枚所有しており、とても身近なものになっています。高校生はクレジットカードをまだ持てませんが、本物と同じ教材用のクレジットカードを使い、どのような項目が記載されているかを実際に確認しながら、身近なキャッシュカード、プリペイドカードなどカードの種類や機能について学び、更に、申請用紙も事前に作成し、どのような項目が信用供与の審査の対象になるか、クレジットカードが送付されたらまず何をすべきかも学習しました。
利用方法については、例題を与えられ、その条件で利用伝票を作成し、消費者の立場で伝票の確認とサインの重要性を知り、また、販売店の立場で手動のインプリンターを使用し伝票内容を確認しました。支払回数と金利の関係、リボルディング払いの仕組みについても学習しました。そして、クレジットカードはあくまで借金をすることであり、支払い総額、および1ヶ月の支払額をきちんと管理しないと多重債務に陥る危険のあることを学習しました。
学習成果として、クレジットカードはお金が無くても欲しいものが手に入れられるが、買い物をしすぎてしまう可能性があり、利用は充分考え、計画的に使うことが大切であることと、また、紛失すると大変なことになると生徒からの発言があり、クレジットカードについて多くのことが理解されました。
参観者からは実際に申請書に記入したり、利用伝票を作成したりと、とても理解しやすく生徒の身につく授業だったという声が寄せられました。
(公開授業の模様)
2.講演会
開会にあたり、久居農林高等学校校長から、卒業生の6割が就職してすぐ社会人になる中、お金の使い方や経済的な自立について考えるきっかけになって欲しい、また、三重県金融広報委員会事務局長からも、正しい金融知識がなく被害に遭うことがあるが、そんなことの無いよう学んでもらいたい、と挨拶がありました。
その後、弁護士の住田裕子氏を講師に迎え「『金融トラブルから身を守ろう!』~高校生に知ってほしいこと~」とのテーマで講演会が行われました。
まず、生徒から質問を受け、「悪質商法にかかりやすいタイプは」、「振込詐欺、振り込んだお金は返るのか」、「女性として仕事をするうえで苦労したことは」などの質問に的確に答えられました。男女雇用均等法にも触れられ、女性が活躍している会社は元気である、社会的にも女性が生涯働くことが普通になってきている、また、正社員とパートの賃金格差や年金の違いを示され、やる気になれば仕事をしながらの子育ては可能であると熱く語られました。
つぎに、契約の成立について、ネガティブオプションの対処法、クレジットカードのスキミングについて、インターネットのワンクリック詐欺、ツークリック詐欺等具体的な事例を自身の体験談を交えながら分かりやすく講演されました。
最後は、若者の特権は恥をかけることであり、やる気・意欲を持ち忍耐することが重要である、苦手なものにも逃げ出さず頑張って立ち向かってもらいたいと締めくくられました。
高校卒業後すぐ社会に出る生徒が多い中、皆、実生活に役立つ話を熱心に聴いていました。
終了後のアンケートには、「身近な法的問題についても、具体的事例を教えていただけ大変分かりやすかった」、「分かりやすい話し方でよかった」、「生徒に対して素晴しいメッセージを送られた。」など、多くの賞賛の声をいただきました。
(講演会の模様)
3.プログラム
- 11:50~12:40
- 公開授業「『賢いカードの使い方』~見えないお金の流れ~」
講師:三重県立久居農林高等学校教諭 佐藤葉子 - 13:30~13:40
- 開会挨拶 三重県立久居農林高等学校校長 中野和代
三重県金融広報委員会事務局長 松葉邦雄 - 13:40~15:10
- 講演「『金融トラブルから身を守ろう!』~高校生に知ってほしいこと~」
講師:住田裕子氏 - 15:10~15:20
- 生徒による謝辞