金融教育公開授業
平成20年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
長崎県金融広報委員会
諫早市立諫早中学校
長崎の実施報告
「金融教育公開授業 in 諌早(諌早中学校)」(10月23日開催)
諫早市立諫早中学校は、昭和22年に創立された歴史と伝統ある学校です。
同校は、県央諫早市の中央部に位置しており、「かしこく」「やさしく」「たくましく」を学校訓に学問はもとより、部活動を始め様々な学校行事や地域活動に意欲的に取り組んでいます。
20年度は長崎県金融広報委員会より金融教育研究校の委嘱を受け、担当の教諭を中心に、金融教育活動に取り組んでいます。
10月23日(木)に開催した公開授業には、同校の3年5組の生徒のほか、学校関係者、保護者および地域住民など、多くの方々にご参加をいただきました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
金融広報アドバイザーの田川芳子氏をゲストティーチャーにお招きし、「お金について考えよう─正しい金銭感覚とは─」と題した公開授業では、生まれてからこれまでの約15年間を「あなたの命を育んだ費用は?」をテーマに考えることから始まりました。配付されたプリントを使って計算をすると、思ったよりもたくさんのお金がかかっていることに生徒たちは驚いている様子でした。田川氏は、このお金は保護者の方が一生懸命に働いて得たものであること、毎日の生活はお金と密接に関係していることを解説しました。
続いて「意思決定の木(デシジョン・ツリー)」というチャートを使い、「解決すべき課題」欄に「自分が欲しいもの」を、「当該課題を解決するために考えられる手段」欄に「買うか、買わないか、一部だけ買うのか、ローンで買うのか」などの方法を記載し、最良の行動を決定するためにそれぞれのメリット・デメリットを洗い出すというワークを行いました。生徒たちはお互いのチャートを見せ合いつつ積極的に取り組んでいました。欲しいと思っていたものが本当に必要ではないことに気付くなど「お金の使い方」について興味を持って参加できたようです。
対象が卒業を控えた3年生ということもあり、田川氏はでき上がったチャートを元に、今後お金を使うに当たっては、(1)感謝する気持ち、(2)ニーズとウォンツ(我慢する心と大切にする心)、(3)お金の使い道の選択=自分の生き方の選択、(4)貸し借りがポイントになる旨を説明し、生徒の理解を促していました。
最後に正しい金銭感覚とは、「ものごとの大切さ・価値・感謝に対する正しいものさしを持っていること」であることを強調し、授業を締めくくりました。
参加した保護者や他校教育関係者の方々は、熱心にメモを取りながら授業に聞き入っていました。
(公開授業の模様)
2.講演会
生活経済ジャーナリストのあんびるえつこ氏をお迎えして、講演「生きていくためのお金の話」が行われました。
講演は、クイズを交えながら「お金の『し』『か』『け』」をキーワードに進みました。また、各クラスから生徒をステージに招き、「会社社長」、「銀行員」、「政府」など講師が指定した役割を演じることにより、難しく感じる金融制度等について易しく理解できるような工夫がなされていました。
「社会保険料は払おう!(「し」)」のコーナーでは、制度の仕組みや精神を分かりやすく解説し、20歳になったら必ず払うよう力説されました。
次に「簡単に借りないように(「か」)」のコーナーでは、カードは借金であると心得て、計画的に使うこと、また親のカードを勝手に使わないこと等をお話されました。クレジットカードの仕組みの部分では、リボ払いでは利息がかかると解説され、50万円をリボ払いで毎月5千円ずつ返済するという契約では24年間で総額125万円の支払いを求められたという事例を紹介すると、生徒のみならず教員、保護者から驚きの声があがっていました。
最後に「計画的にお金を使おう!(「け」)」のコーナーでは、うまい話にはご用心、お金を貯める時は、まずその目的を考えて貯め方を決めるとよい、と説明がありました。
クイズは、教員や保護者も参加し、答え合わせが行われる度に大きな笑い声やお互いのチェック表を確認しあう場面が見られました。
結びに、あんびる氏から間もなく義務教育を終える生徒たちへ「困った時は一人で抱えこまず誰かに相談すること」、「分からないことは遠慮せず質問すること」が大切だとのメッセージが寄せられました。
参加者からは、「ローンの仕組みを中学生から考えることは大切だと思う」(他校教員)、「身近な問題を分かりやすく説明してもらい、良く理解できた」(保護者)、「将来、役立つことを教えてもらって嬉しい」、「お話がおもしろくて分かりやすかった。社会保険を払うことの大切さが理解できた」、「クイズ形式だったので楽しんで参加できた」、「新聞等でよく見聞きする言葉の意味が分かった」(生徒)などの感想が聞かれました。
(講演会の模様)
3.プログラム
- 13:40~14:30
- 公開授業「お金について考えよう─正しい金銭感覚とは─」(3年生・社会科)
指導教諭:土橋 功
ゲストティーチャー:田川芳子氏(金融広報アドバイザー) - 14:50~14:55
- 開会挨拶 諫早市立諫早中学校校長
- 14:55~15:45
- 講演「生きていくためのお金の話」
講師:あんびるえつこ氏 - 15:45~15:50
- 生徒代表挨拶
閉会挨拶 長崎県金融広報委員会事務局