金融教育公開授業

平成21年度金融教育公開授業（全国リレー講座）

山形県金融広報委員会
山形県立米沢商業高等学校
金融広報中央委員会

山形／米沢市の実施報告

「金融教育公開授業 in 米沢（米沢商業高等学校）」（10月31日開催）

米沢は、戦国武将上杉謙信やケネディ大統領が「最も敬愛する日本人」として名を挙げたことで有名になった江戸時代の名君上杉鷹山などで良く知られています。さらにテレビドラマの舞台になったことで、注目度が一段と高まり、直江兼続の「愛」の兜などの足跡を求めて、観光客も多く訪れる地です。こうした米沢にある米沢商業高等学校は、商業高校としては県内で最も古い歴史を持つ高校です。

同校では平成20年から金融教育研究校となり、社会人として基本的に求められる個人金融の基礎的知識の習得や金融ビジネスの実践知識の学習に取り組んできています。上杉鷹山の「為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり」という有名な言葉をモットーに、生徒のチャレンジ精神を引き出す取り組みを続けています。

10月31日（土）の金融教育公開授業では、1年3組29名の生徒を対象に、「商業・ビジネス基礎」の授業において「金融機関のビジネス」と題した公開授業が行われました。その後、全校生徒を対象に、弁護士の住田裕子氏から講演がありました。

▼ 参加者内訳：

生徒362名、開催校教員35名、開催校保護者38名、教育委員会1名、他校教員6名、地域の方々11名、合計453名

１．公開授業

公開授業では、「商業ビジネス基礎」の科目において「金融機関のビジネス」と題した授業が行われました。

まず、生徒達に「使うあてのない10万円が手元にあったらどうするか」を質問したところ、「将来のためにお金を貯めておく」「銀行に預ける」との答えが出てきました。これに対し、「なぜお金を銀行に預けるのか」と尋ねることから、銀行に預金することの利点（安全、便利、有利など）を整理していきました。こうしたプロセスの中で、模擬の1億円のお札を実際に持ってみて、多額の現金をそのまま保管したり、持ち歩いたりする際の不便さも生徒に体感させました。また、お金が余っている人から足りない人に「お『金』を『融』通する」ということが『金融』ということであり、金融には直接金融と間接金融があること、とりわけ預金は、間接金融機関の一つである銀行の主な業務であることを確認しました。

次に銀行は何で利益を得ているのか、という点を生徒達に考えさせました。この中で、預金金利と貸出金利の差に注目させ、銀行では、個人や企業といった顧客への貸付（融資）が利益を生み出す源泉になっていることに気付かせます。また、預金金利は今どのくらいなのか、生徒が将来関わるかもしれない住宅ローンや教育ローンなどの金利がどのくらいなのか、また金融商品には色々なものがあり、それぞれ金利も異なるということも理解させました。このほか、クレジットなどのローンは金利が高く、複利により返済負担がかなり大きくなるといったことも紹介されました。

公開授業「金融機関のビジネス」の模様

２．講演会

公開授業の後、弁護士の住田裕子氏から、「気をつけよう！金融トラブル―高校生に知っておいてほしいこと」と題する講演会が行われました。

高校生からすると法律の問題はなかなか身近に感じにくいものですが、住田氏は、「ちょっとよく考えてみればトラブルに遭わずに済んだかもしれない」「知っていたらトラブルに遭わなかったかもしれない」ような事例について、生徒達に質問して考えさせながら解説していくというやり方で話を進めていきました。

買い物の取り置きの場面でのあいまいな返事が原因となったトラブル、また、友達との口約束を巡るトラブル、友達に名義とクレジットカードの利用代金引落し用に銀行口座を貸したことで起こったトラブル、自分のクレジットカードが不正に使われてしまった例や、インターネットでのワンクリック、数クリック詐欺、無料などの誤解を誘う広告表示のトラブルなど、どれも身近に起こりそうなトラブル例などを挙げ、どこに問題があり、どう対処すべきなのかを説明いただきました。このほか、強引な勧誘やセールスに押されて高額な契約を結んでしまったりした場合などに有効なクーリングオフ制度や借入金利の上限を制限する法律など、消費者や弱者を守るためにさまざまな法律が存在していると話されました。

最後に、住田氏から生徒達に向け、「自分の体を動かし、自分を磨き、感性を磨き、人の気持ちがわかるコミュニケーション能力をつけることにより、社会に出て立派に活躍できる大人になって欲しい」とのメッセージが送られました。

講演「気をつけよう！金融トラブル―高校生に知っておいてほしいこと」の模様