金融教育公開授業
2011年度 金融教育公開授業(全国リレー講座)
東京都金融広報委員会
武蔵村山市立小中一貫校 村山学園
金融広報中央委員会
東京/武蔵村山市の実施報告
「金融教育公開授業 in 東京(武蔵村山)(村山学園)」(12月21日開催)
武蔵村山市立小中一貫校 村山学園は、同市としては初めての「小中一貫校」として平成22年4月に開校された学校で、開校と同時に「平成22・23年度」金融教育研究校として東京都金融広報委員会より委嘱されました。実践活動では「人間力の育成と小中一貫教育推進」を研究主題に掲げ、児童・生徒それぞれの発達段階に応じたお金を貯める・稼ぐ・借りるなどの体験を通して、「現在および将来の豊かな生活を築こうとする態度を育む金融教育」に取り組みました。
当日は、公開授業の後、ファイナンシャルプランナーの洞口勝人氏による講演会を開催しました。児童(4年生)および教職員のほか、保護者、近隣小学校の教育関係者など、多くの方々が参加されました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「お金ってなぁに?~世界のお金~」(4年1組・総合的な学習の時間)
この単元では、世界には、いろいろなお金があることを知り、国によって、お金の価値や物の値段が異なることに気づくことが目標です。公開授業では、アメリカ(ドル)、スイス(フラン)、マレーシア(リンギット)、パキスタン(ルピー)などの12か国のお金を実物や拡大図で紹介しました。児童たちは、これらのお金を見比べ、国によっては同じ単位のお金があることや同じ単位でもお札の模様などが違うことなどを発表しました。また、7か国のジュースの値段(表示は円に換算)を表示して、国によってものの値段が違うことについて感想を述べ合いました。
(2)「お金ってなぁに?~おこづかい帳をつけよう~」(4年2組・総合的な学習の時間)
この単元では、欲しいものや必要なものを考え、無駄遣いしないように計画的に使うことを理解し、「おこづかい帳」のつけ方を学ぶことが目標です。公開授業では、まず、日頃のおこづかいのもらい方、使い方について話し合い、おこづかいは家計の一部からもらうものであり、限りがあるという点で全員の理解が一致しました。その後、おこづかい帳への記録方法を練習し、1)必要なものと欲しいものをはっきりさせ、2)目標を立て計画的に使うことや、3)買いたいものに対してお金が足りない時は貯金をすることを学び、これから迎えるお正月のお年玉を無駄遣いしないようにするという約束を交わしました。
授業を参観した保護者から「家庭ではなかなか教えることができないので、授業で、おこづかいの使い方やおこづかい帳のつけ方を丁寧に教えていただき、良い機会となった」との声が聞かれました。
(3)「消費者モニター初体験~新作クッキーいただきます~」(5年1組・総合的な学習の時間)
この単元では、ものをつくり売る側は、消費者にとってより価値のある商品にするよう努力を重ねていることや、消費者の立場で、よりよい価値のある商品を選ぶための基準・観点をもつことを目標としています。公開授業では、8年生が焼いた新作クッキー3種類を消費者モニターとして試食し、味・見た目・におい・ネーミングなどについて評価をアンケート用紙に回答しました。その後、消費者が買いやすくて、美味しい商品を作るためにはどうすればいいかなどについて話し合い、発表し合いました。
(4)「みんなでクッキー大作戦~校庭のみかんで商品開発~」(8年1・2・3組・総合的な学習の時間)
同校では、校庭でみかんの木が栽培されており、例年、みかんを用いた商品を開発しています。今年度は、公開授業に先立ち、クッキーの製造・販売を行う「やってみかんパニー」を設立し、生徒たちは職場体験を通じて原材料の仕入れや製造方法などを学んできました。公開授業当日は、後日行う予定の販売会に向けて、総務部、人事部、開発部、製造部では、消費者モニター(5年生)からの意見を踏まえて商品開発に取り組んだほか、仕入部、経理部、販売促進部では、販売会への出展準備(販売価格の決定、商品紹介札やのぼり旗の制作など)を行いました。保護者からは、「働くことの意義・大切さは実際に体験しないと気付くことができないので良かった」といった声が寄せられました。
2.講演会
公開授業後、主に4年生の児童を対象に、洞口勝人氏に「学校では教えてくれない身近な経済・お金の話」と題した講演をしていただきました。
洞口氏は、1枚1,500円のTシャツの原料原産国や、Tシャツを1枚生産するのに必要な原料の重さや値段、商品として武蔵村山まで送られる輸送コストなどについて、児童たちに一つ一つ質問しながら、解説されました。Tシャツ1枚を例に様々な段階で色々な費用がかかるといった経済の仕組みについて話されました。
このほか、アジアの工場で働く人の給料(時給ベース円換算)が、中国では時給150円、バングラディッュでは時給15円であると話され、日本の最低賃金と比較して、日本の物価と海外の物価が大きく違うことを紹介されました。ただ、こうしたアジアの国々は、20年後、30年後に経済大国へ成長する可能性もあるので、将来を見通した努力(例えば、海外の人とのコミュニケーションがスムーズに行えるよう英語や中国語を身に付けることなど)が大切であると話されました。洞口氏は、最後に、中国語で「加油」(頑張れ)と児童たちにエールで締めくくられました。講演会に参加した保護者からは、「お金に関わる話をテーマとする講義(または授業)は、ありそうでなかったので、大変興味深く聞くことができた」との声が聞かれました。
3.プログラム
- 13:40~14:25
- 公開授業
(小学部)
(1)「お金ってなぁに?~世界のお金~」(4年1組・総合的な学習の時間)
授業者:武蔵村山市立小中一貫校村山学園教諭 伊東真人
(2)「お金ってなぁに?~おこづかい帳をつけよう~」(4年2組・総合的な学習の時間)
授業者:武蔵村山市立小中一貫校村山学園教諭 櫻井愛美
(3)「消費者モニター初体験~新作クッキーいただきます~」(5年1組・総合的な学習の時間)
授業者:武蔵村山市立小中一貫校村山学園教諭 上原陽介
(中学部)
(4)「みんなでクッキー大作戦~校庭のみかんで商品開発~」(8年1・2・3組・総合的な学習の時間)
授業者:武蔵村山市立小中一貫校村山学園 主幹教諭 小玉容子、主任教諭 田中輪香子、教諭 熊谷浩、遠藤顕宏、尾﨑菜穂登 - 14:45~14:55
- 開会挨拶 金融広報中央委員会 佐々木 雅浩
- 14:55~15:55
- 講演「学校では教えてくれない身近な経済・お金の話」 講師:洞口勝人氏
- 15:55~16:00
- 閉会挨拶 武蔵村山市立小中一貫校村山学園 校長 小林政雄