金融教育公開授業
2011年度 金融教育公開授業(全国リレー講座)
愛知県金融広報委員会
愛知県立豊橋商業高等学校
金融広報中央委員会
愛知/豊橋市の実施報告
「金融教育公開授業 in 豊橋(豊橋商業高等学校)」(11月16日開催)
豊橋市の中心にある愛知県立豊橋商業高等学校は、校訓の「以心為本」を胸に、地域の誰からも愛される存在として、105年の歴史を持つ伝統校です。東三河唯一の単独商業高等学校として、ビジネス教育としての商業教育をさまざまな角度から実践しています。同校は、これまで多くの行事や授業展開の中で「金融教育(金銭教育、金融経済教育、消費者教育、キャリア教育など)」に取り組んできました。
「金融教育」の研究校として委嘱を受けたことに伴い、今までの教育実践内容を見直し、生徒一人一人が金融について理解し、実社会において活用できるよう定着を図ることを主眼にさらに深化した実践を行いました。
11月16日(水)に1年生から3年生の8クラスの授業を公開し、また昨年度からの金融教育研究校の取り組みについて発表しました。その後、有限会社加賀屋感動ストアーマネージメントの加賀屋克美氏による講演があり、生徒全員が参加しました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「表計算ソフトの活用と分析(1)」(2年5組 ビジネス情報)
今後の人生でどのようなことにお金がかかるのかを考えさせ、例えば、結婚や住宅購入などまとまったお金を必要とする場合の資金計画を、表計算ソフトを用いてシミュレーションしました。月々の積立額や返済額を、変数の数に応じた関数を用いて試算してみることで、使える資源には限りがあり、長期的な資金管理の大切さを学習しました。
(2)「表計算ソフトの活用と分析(2)」(2年5組 ビジネス情報)
表計算ソフトウェアを利用して人生設計シミュレーションを行い、生涯収入および支出の内訳を把握しました。自動車ローンの返済額などについて財務関数を用いることで、現在価値や将来価値を理解し、金銭を計画的に使うことの大切さを具体的な数値を認識することで理解を深めました。
(3)「欧州連合(EU)と国際経済」(3年6・7組・課題研究)
欧州連合条約により設立されたヨーロッパの地域統合体である欧州連合をテーマとしてとりあげ、経済のグローバル化について理解を深めました。欧州連合では、外交・安全保障分野と司法・内務分野での協力の枠組みが新たに設けられ、ユーロの導入による通貨統合が進められたこと、一国の外交は従来にも増して世界全体の政策という意味合いを強く持つようになったこと、国同士も、そして各経済圏も密接につながっていることについて学習しました。
(4)「試算表」(1年2組・簿記)
簿記の中で試算表の役割や種類・特徴を学習し、問題集を用いて作成してみた後、試算表の貸借が一致しない場合にどのように調査を行うかを確認することで、資金管理における収支管理を理解することにつなげました。
(5)「企業組織とビジネスの担当者」(1年6組・ビジネス基礎)
株主の権利や責任、株式会社がどのように資金を調達するのかを学習することで、間接金融と直接金融について違いや特徴を把握しました。また、証券市場の働きと機能や、証券会社の仕事について理解を深めました。
(6)「起業家育成」(3年6・7組・課題研究)
グループごとに、豊橋に生活圏を置き、日常生活をベースに「起業」したと仮定したビジネスプランをシミュレーションして発表し、課題や問題点を指摘し合いました。どのような商品が消費者のニーズに合致し、ビジネスとして立ち上げることができるかを考えたり、起業する際の資金調達や株式・社債の購入を検討したりして、金融の果たす役割の重要性や金融における「自己責任」の意味を学習しました。
(7)「ビジネスの計算と表計算ソフト」(1年4組・情報処理)
住宅購入などのローンについて、借入期間や金利などの条件によって返済総額がどのように異なるかを、表計算ソフトウェアを利用してシミュレーションを行いました。ローンの借り換えや金利変動などの諸条件によって、毎月の返済額が変動したり、返済額に占める元金部分が増減したりするのを計算するための知識や技術を習得しました。
2.研究発表
平成22年度、23年度に同校で取り組んだ内容を個々の教科や学習について具体的に発表しました。金融教育といえば、「銀行」「証券」「起業」といった狭義の分野に限定されるとの見方もあるが、同校では、キャリア教育・消費者教育など多岐に渡る分野と複合的要素から広義の金融教育は成り立っていると考えて実施してきたことを実践報告を通じて発表しました。
3.講演会
公開授業の後、加賀屋克美氏から、「日米のディズニーで学んだ感動のサービス」という演題で講演が行われました。加賀屋氏は、自身の就業経験を基に働くことの意味について映像を交えながら話してくださいました。働き続けることは大変なことであり、また、次第に慣れや飽きを感じ、サービスにマンネリ化が生じるが、常に相手のことを思いやり働いてほしいと話されました。
生徒たちは、加賀屋氏の話に感動し、涙する生徒も多数いました。講演後、「働くことの意味や、心がけ、大切なことなどを気付かせてくれた」「社会に出て、仕事に就いても思い出して励みになりそうな話だった」「働くことのやりがいや楽しさ、苦労などを知ることができた」といった感想が聞かれました。
4.プログラム
- 12:30~12:40
- 開会挨拶
愛知県金融広報委員会常任委員
愛知県立豊橋商業高等学校校長 - 12:40~13:30
- 公開授業
(1)「表計算ソフトの活用と分析(1)」(2年5組 ビジネス情報)
(2)「表計算ソフトの活用と分析(2)」(2年5組 ビジネス情報)
(3)「欧州連合(EU)と国際経済」(3年6・7組 課題研究)
(4)「試算表」(1年2組 簿記)
(5)「企業組織とビジネスの担当者」(1年6組 ビジネス基礎)
(6)「起業家育成」(3年6・7組 課題研究)
(7)「ビジネスの計算と表計算ソフト」(1年4組 情報処理) - 13:40~14:30
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研究発表 愛知県立豊橋商業高等学校教諭
講評 愛知県教育委員会 - 14:50~16:00
- 講演「日米のディズニーで学んだ感動のサービス」
講師:加賀屋克美氏 - 16:00~16:10
- 謝辞・閉会挨拶 愛知県立豊橋商業高等学校校長