金融教育公開授業
2016年度 金融教育公開授業
北海道金融広報委員会
札幌市立真栄中学校
金融広報中央委員会
北海道/札幌市(清田区)の実施報告
「金融教育公開授業 in 北海道(札幌市清田区)(真栄中学校)」(11月4日開催)
札幌市立真栄中学校は、平成2年に開校した学校です。教育目標として「未来を切り拓く、たくましく心やさしい生徒の育成」を掲げ、「1)自ら学び、知性豊かで文化を創造する生徒、2)強い意志で心身を鍛え、社会に奉仕する生徒、3)豊かな感性とたくましい行動力をもつ心やさしい生徒」の育成に取り組んでいます。また、家庭や地域との連携(信頼)を深めることも目指しています。
北海道金融広報委員会より平成27・28年度の金融教育研究校の委嘱を受け、研究活動の一環として11月4日(金)に金融教育公開授業を開催し、3年生の社会科の公開授業と大竹文雄氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
「労働の意義と労働者の権利」と題して、生徒が将来自分が社会人になったときの働き方を思い描きながら、「人生での選択が将来の生活にどのような影響を及ぼすか」(学習課題)について考える授業が行われました。
まず、生徒は、10~15年後の自分の理想とする生活についてイメージし、理想年収と理想的な余暇の過ごし方についてワークシートに記入しました。その際、「先生の年収は?」と質問した生徒があり、先生は「先生になってみたらわかる」と笑顔で応えていました。
続いて、生徒はグループに分かれ、グループの代表者が「カード」を引いて人生を選択していきました。
まず、「卒業カード」を引き、最終学歴(高卒・大卒)を選択しました。そして平均年収の参考資料を使って、生涯賃金を計算してみました。大卒の場合は生涯賃金から大学にかかる学費を差し引きました。次に、「職業カード」を引き、職業(仕事の業種)を選択しました。そして労働時間に関する参考資料を使って、選んだ業種の1週間の労働時間を計算しました。
計算した結果を各グループでカードにまとめ、「○卒、生涯賃金○億○千万円、○○業、週○○時間勤務」の形で記しました。生徒は、これらのカードを比較しながら、自分の理想に近いものを選び、将来どのような生活を送りたいのか考えを深めました。
この一連の学習を通じて、生徒は人生の様々な選択が賃金や労働時間ひいては将来の生活に大きな影響を与えることを理解しました。
最後に、将来の生活が労働環境によって脅かされるようなことがないように、労働者を守るための労働三法が整備されていることについても学びました。
2.講演会
公開授業の後、大竹文雄氏から、「経済の視点から見る選択」と題する講演が行われました。
大竹氏は、初めに、人は、朝起きてから夜寝るまで、朝ごはんには何を食べるのか、どうやって通勤・通学をするのか、何の勉強や仕事をするのか、どれだけするのかなど、様々な選択を行っている。これらは全て経済的な意思決定であると考えることもできる。これだけ多くの意思決定をしているのだから、人は意思決定のプロフェッショナルとも言える、と切り出されました。
続いて大竹氏は、人間の意思決定には様々なバイアス(歪み)があり、直感に基づく判断で間違いを犯しやすいということを、生徒が興味を持つ話題や日常生活の例を使ってクイズ形式で説明してくださいました。また、行動経済学における「サンクコスト(埋没費用)」、「現在バイアス」、「損失回避」といった概念についても、テレビのニュースなどでよく見る話題を例にとりながら紹介し、多くの人に共通する意思決定の癖を解説されました。そして、「人は、人生で色々な選択をする。そうした選択を間違えないようにしないといけないが、私たちは間違えやすい。皆さんは、自分の行動にはどのような傾向があるかを理解したうえで、正しい選択ができるように、トレーニングしたり対策を練ることが必要です」とアドバイスしてくださいました。
受講した生徒からは、「経済と聞いて難しいと思っていたが、身近な話題やクイズ形式で楽しくわかりやすかった」、「今まで考えたことがない視点から物事を考えることができた」、「サンクコストを含め、生きていく上で正しい判断力・選択力を身につけることの大切さを学んだ」など、多くの感想が寄せられました。
3.プログラム
- 13:40~14:30
- 公開授業
「労働の意義と労働者の権利」(3年生 社会科) - 14:40~14:45
- 開会挨拶
北海道金融広報委員会事務局長 五十嵐清人 - 14:45~15:30
- 講演「経済の視点から見る選択」
講師:大竹文雄氏 - 15:30~15:35
- 閉会挨拶
札幌市立真栄中学校校長 牧野富治雄