金融指標の見方
2.株式関連指標
(1)日経平均株価
これは東京証券取引所第1部に上場されている1700程度の銘柄のうち、流動性が高い銘柄から業種のバランスをとって225銘柄を抽出し、これらの銘柄の平均的な価格水準を示すものです。各銘柄の株価を額面50円あたりの価格に換算したうえで平均価格が算出されます。意外に思われるかも知れませんが、全銘柄の七分の一以下の銘柄だけを対象にして算出されているのです。我が国を代表する平均株価であり、長期にわたる日本株の動きをトレースするときにはよく用いられます。この平均株価の特長は以下の通りです。
まず平均株価の算出にあたっては、個々の銘柄の上場株式数(つまりは会社の資本規模)は一切考慮されません。つまり、株価が200円のA銘柄が10億株上場されている一方、同じく株価が500円のB銘柄が1億株しか上場されていなくても、上記で言う200円と500円は同じレベル(ウエイト)で扱われます。
次に、上記のような条件で算出されるため、株価が高く、かつ上場株式数が少ない銘柄の動きに必要以上に左右されるという傾向を持つことにも留意が必要です。株価が100円の銘柄が10%上がる(10円値上がり)ことが日経平均株価に及ぼす影響に比べ、1,000円の銘柄が10%上がる(100円の値上がり)ことによる影響力の方がはるかに大きいからです。
(2)東証株価指数(TOPIX)
前述の通り、日経平均株価は上場株式数(これはほとんど発行済み株式数と同じ)を一切考慮しないため、相対的に株価水準が高い銘柄の動きが平均株価に過大に反映するという癖があります。これを補完するために、東京証券取引所は1969年7月1日から独自に算出した東証株価指数を発表しています。日経平均株価との主な違いは以下の通りです。
まず一つは、東京証券取引所第1部(市場)に上場されている全銘柄を対象にしていることです。
二つ目には日経平均株価とは異なり、個々の銘柄の上場株式数でウエイト付けしたうえで算出されることです。これは、実際の指数算出に際しては基準時点である1968年1月4日時点での時価総額を100とした指数として算出されるからです。つまり、時価総額を求めるに際しては個々の銘柄の上場株式数が考慮されている以上、ある時点の時価総額を基準時点の時価総額で割って求められる指数は、自動的に上場株式数という要素が加味されているというわけです。
なお、株式投資信託の中でも最も分かりやすい商品設計がなされているインデックスファンドやETF(株価指数連動型上場投資信託)のなかには、日経平均連動タイプと、TOPIX連動タイプがあります(このほかにも幾種類かあり)。