暮らしとおかねの身近な法律
3.暮らしとおかねの身近な法律(相続)Q&A
Q3-2.私は相続できないの?<遺留分>
先日母が亡くなりました。母の財産は4,000万円ありましたが、母は遺言でそのすべてを兄に相続させるとしていました。私は何ももらえないのでしょうか?なお母の相続人は私と兄のみです。
A3-2.できます。
あなたは亡くなられたお母さん(=被相続人)の子どもですので、たとえ遺言で全く相続分がないとされていても、被相続人の財産の一定割合を取戻す権利が認められています。この一定の割合のことを遺留分といいます(民法第1028条)。このケースでは、お母さんの相続人は、お母さんの子どもであるあなたとお兄さんの二人だけなので、あなたの遺留分は法定相続分の2分の1、すなわち4分の1(1,000万円相当)となります。
このように被相続人が遺留分を侵害する遺言をした場合、遺留分権利者は侵害された部分の取戻しの請求ができ、これを「遺留分減殺請求」といいます(民法第1031条)。なお、この「遺留分減殺請求権」は、相続が開始されたことおよび減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間(相続開始を長い間知らなかったなど特別の場合は、相続の開始の時から10年間)で時効消滅しますので、タイミングを逸しないよう特に注意が必要です。
民法第1028条:[遺留分の帰属及びその割合]
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一、直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
二、前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1
民法第1031条:[遺贈又は贈与の減殺請求]
遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。