暮らしとおかねの身近な法律
3.暮らしとおかねの身近な法律(相続)Q&A
Q3-3.遺産分割前に賃料収入の分割を請求したいのだが?<遺産分割>
先日、大地主だった父が亡くなりました。相続人は兄二人と私の兄妹三名です。父が亡くなった後も父が賃貸していた不動産の賃料が振り込まれていますが、遺産分割前に私の法定相続分に当たる3分の1の賃料(地代家賃)の請求はできるでしょうか?
A3-3.法定相続分の請求はできます。
判例(最高裁平17.9.8)では、相続開始から遺産分割までの間に遺産である不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、本体の不動産部分とは異なり、遺産ではない別個の財産であるとされています(民法第909条)。
したがって、賃料債権は各共同相続人が当然に相続分に応じて単独で分割して取得できますし、これは後に成立した遺産分割協議の内容により影響されることはありません(ただし、共同相続人が合意により遺産として分割することは可能です)。
事例では、賃料の法定相続分割合である3分の1については当然に管理者に請求することができることになります。
民法第909条:[遺産の分割の効力]
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。