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世代別・スタイル別のライフプラン

40代以降(中年世代)のためのライフプラン

はじめに

家も買った、上の子が中学生になった。
家族の形がはっきりと定まり、「家族が共にささえあって生活する」のが40代以降です。
収入は以前より増えましたが、その分出費も増え、経済的なゆとりはあまり感じられないかもしれません。

この時代は、多くの人が住宅をすでに手に入れ、子どもの教育という大きな責任ととっくみあいをしながら、大学進学の資金を貯めていく時期です。
同時に、自分達の退職後も視野に入れた、資産づくりも考えなくてはいけません。
各テーマごとに見ていきましょう。

ルール1 子どもの教育費

(1-1)子どもが生まれたらすぐに貯め始めよう

子どもにかかる教育費は、子どもが生まれたその月から貯め始めるのが理想です。ここでいう教育費は「大学進学費用」のこと。というのは、幼稚園から高校までの教育費は、貯蓄から出すものではなく、月々の収入やボーナスから出すべきだからです。

高校までに大切なことは、貯蓄を崩さずに行ける学校に通い、塾や習い事も給料やボーナスから払える範囲にすることです。この期間に貯蓄を引き出したり、教育ローンを借りたりするようでは、大学進学の費用を貯めることができません。無理をしても息切れしてしまいます。

教育は子どもの将来のための投資ですが、その家庭の収入の状況を無視することはできません。一定の予算の中で、よい教育環境を作るように工夫してください。

(1-2)18歳までに大学費用の半分を

教育費を貯める目安は、大学に進む18歳までに、大学にかかる資金の半分です。大学4年間にかかる費用は進路によってさまざまですが、もっとも負担の少ない「国立大学に自宅通学」の場合で約500万円、地方在住者に多い「私立大学(文系)に自宅外通学」の場合で約1,000万円です(表1参照)。貯蓄目標額はこの半分の250万~500万円ということになります。

子どもが生まれてすぐに月1万円ずつ貯め始めると、18年で元本だけで216万円になります。月2万円積み立てれば432万円になります。これに利息がつけば、だいたい目標を達成できます。

残る半分は、子どもが大学在学中の収入の中から負担していきます。500万円を4年間で負担するなら年125万円で、楽ではありませんが、なんとかできる金額でしょう。

子どもがすでに小学生、中学生で、まだ教育費の積立てを始めていない人は、準備期間が短くなる分、毎月の必要積立額が多くなるのは覚悟してください。小学1年生の子なら、準備期間は11年なので毎月18,000円、中学1年ならあと5年で月4万円の積立てが必要になります(250万円貯める場合)。

表1 大学4年間にかかる費用の例
  国立
自宅(4年)
私立 文科系
下宿(4年)
受験関係諸費用   133,700円    265,600円
入学金   282,000円    439,381円(入学金その他)
入学時諸費用   333,200円  1,202,100円
年間の費用(授業料・生活費) 1,157,800円×4年  2,372,090円×4年
合計 5,380,100円 11,395,441円

(1-3)奨学金の利用も考える

とはいっても、さまざまな理由で十分な大学進学費用を貯められないこともめずらしくありません。その場合は、奨学金や教育ローンの利用を考えます。

利用の制限の少ない日本学生支援機構(旧 日本育英会)の有利子奨学金制度「きぼう21プラン」は、毎月3、5、8、10万円の奨学金のコースから自由に選ぶことができます(表2)。借りた分を子ども本人が返済するので、子どもが大学に進学する目的をはっきり持ち、大学で勉強する動機付けになるというメリットもあります。大学独自の奨学金制度や奨学ローン(学生が借りて学生が返済する)を扱っているところもたくさんあります。

親が教育ローンを借りる方法もあります。国の教育ローンは、大学進学などの費用を200万円まで借りることができ、低利です(表3)。

いずれも返済計画をしっかり立てて、なるべく少なく借りることが大切です。

表2 育英奨学金「きぼう21プラン」
  自宅通学の場合の収入の限度* 貸与金額
給与所得者 給与以外の所得者
国公立大 1,288万円 753万円 3、5、8、10万円
私立大 1,340万円 805万円

*収入限度は、4人世帯の場合の主たる家計支持者1人の金額
給与所得者…源泉徴収票の支払金額(税込み)
給与以外の所得者…確定申告書等の所得金額(税込み)

表3 国の教育ローン
貸付の
種類
教育一般貸付 郵貯貸付 年金教育貸付
取り扱い機関名 国民生活金融公庫



融資限度額 200万円 積立貯金額と同額まで、最高200万円 厚生年金加入者100万円
国民年金加入者50万円
金利* 1.6%(固定)
対象となる
学校
高校、短大、大学、大学院、専修・各種学校、外国の高校、大学など
年収制限 世帯の年間収入が990万円(事業所得者は770万円)以内 なし 世帯の年間収入が990万円(事業所得者は770万円)以内
その他の要件   教育積立貯金の積立終了者(積立終了後4年以内) 年間の厚生年金または国民年金に加入中で、保険料納付済期間が10年以上など



返済
期間
10年以内(交通遺児家庭または母子家庭の方は1年の延長が可能)
在学中の元金据置 可(在学期間以内。ただし、返済期間に含まれる)
返済
方法
毎月払い、ボーナス併用払い、年払い、半年払い
申し込み窓口 国民生活金融公庫の支店、金融機関 全国の郵便局(簡易郵便局を除く) 各都道府県の年金福祉協会など

*平成14年11月15日現在

ルール2 自分の退職後も考え始めよう

(2-1)40歳から退職後に向けた積立てを

住宅や子どもへの出費がかさむ時期は、自分の退職後のための貯蓄をするのは、決して簡単ではありません。
しかし、40歳なら退職まであと20年。そろそろ準備を始める時期です。もう公的年金だけで生活できる時代は終わり、退職後の生活費の一部は、自分で準備しなくてはなりません。

退職後にどのような生活を送りたいか、退職金をどのくらいもらえるか、年金はどのくらいかなどによって、退職までに貯めるべき金額は、人によって大きく違います。
ただ退職後は、住宅ローンや子どもの教育費などの支出がなくなり、将来のための貯蓄もしなくてよいので、生活費は現役時代の6割程度ですむのが普通です(表4)。退職後の必要額を高く見積もりすぎないことも大切です。

以下、退職までに年収分を貯めるプランを考えてみました(表5)。ポイントは、子どもにお金がかかる時期には無理をせず、子どもが独立した後に一気に貯蓄を増やすことです。

末の子どもが56歳の時に大学を卒業して独立するとします。40歳から55歳までは(子どもにお金がかかって大変なので)年収の2%を貯蓄します。年収800万円の人なら16万円、月に1.3万円です。16年で年収の約3分の1が貯まります。残る4年で年収の3分の2を貯めるには、年収の17%を貯蓄します。年収800万円なら年136万円ですが、子どもが独立しているので簡単です。この数字を2倍にすれば、年収の2倍を貯めることができます。

20年という長い期間ですから、実際にはこれに利息がついて、運用成果によっては年収分の元本が1.5倍や2倍に増えている可能性もあります。

大切なのは、月1万円からでも始めることです。40歳の声を聞いたら、すぐに積立て始めたいですね。

表4 退職後の生活費の見積り例(単位:万円)
現在の生活費は770万円(貯蓄含む)だが、退職後の予想は433万円(約56%)に
  今の生活費(年額) 退職後の生活費(年額)
住宅ローン 132 0
食費など 96 72
被服費など 48 36
光熱費など 54 54
雑費など 48 38
仕事関係費 48 0
子どもの教育費など 144 0
生命保険料 60 0
その他 65 65
貯蓄 75 0
退職後の保険料など - 48
退職後の余暇費など - 120
合計 770 433

表5 40歳から無理せず貯めるプラン
表5 40歳から無理せず貯めるプラン

(2-2)退職後資金は何で積立てるか

退職後の大切なお金だからなるべく安全なもので、と考えがちですが、実は、安全な金融商品だけで退職後のお金を貯めるのは危険です。10年、20年という長い期間で資金を作るので、「インフレ」への対策が必要だからです。

安全な預貯金は、相対的に金利が低いので、インフレになると(金利を物価上昇率が上回る分)実質的に目減りしてしまいます。長期に運用するお金は、一部をインフレに強いとされる金融商品に預けることが大切なのです。

インフレに強いとされるもののひとつに、株式があります。過去10年以上値下がり傾向が続いていますが、毎月少しずつ株式を買っていくことは、将来のインフレの危険に備えるよい手段です。

個人が小口で株式を買う最もいい方法は、株式投資信託(以下、株式投信)を買うことです。

株式投信とは、証券会社や銀行が(窓口となって)顧客から集めた資金をだいたい10億円以上の単位にして、運用会社が株式や債券で運用する金融商品です。その利益(場合によっては損失)を、出した資金の割合に応じて分配します。
一口1万円前後から買うことができ、自動積立てができるものも多いので、退職後資金の一部を、この株式投信で積み立てていくといいでしょう。

株式投信には、個人で買える銘柄だけで数千ありますが、初心者は株式市場にまんべんなく投資する「インデックス型」投信を選ぶといいでしょう。株式相場全体が値上がりすると、ほぼ同じ割合で値上がりし、相場全体が下がると同じ割合で値下がりします。

2002年10月から銀行の窓口でも販売を始めた「変額年金保険」は、この投資信託をベースとした年金商品です。

変額個人年金は、保険料を複数ある運用コースから契約者が選んだもので運用します。運用が上手くいけば多くの年金をもらえ、運用がまずいと年金額が少なくなるのが特徴です。つまり、保険料を払う時点では、もらう年金額がいくらになるかわからず、運用成績次第で増えたり減ったりします。

保険料を運用する個々のコース(商品)は、投資信託です。ですから、投資信託の仕組みや、上手な投資法、よい投資信託の見分け方などがわからないと、変額保険を活用することはできません。変額保険に預けてみようと思う方は、まず投資信託を勉強し、投資信託を買ってみることから始めましょう。

ルール3 住宅ローンと保険を見直そう

(3-1)住宅ローンは、退職までに返済を終えたい

30代以降の資金設計を考える時の、もうひとつの大切なポイントは住宅ローンです。

多くの人が、60歳退職なのに住宅ローンは65歳までというように、返済終了の年齢が退職年齢を超えています。

退職すると主な収入は公的年金となるので、住宅ローンを返済し続けるのは大変です。ましてや、公的年金をもらえる年齢が60歳から65歳へと段階的に変更されているのですから、なんとか退職までには住宅ローンを返し終わりたいものです。

そのための方法はいくつかあります。

ひとつは借り換えです。高い固定金利で住宅ローンを借りている人は、低い金利のローンに借り換えることで返済総額を減らすことができます。借り換えの時には、返済期間も比較的自由に決めることができるので、65歳や70歳までのローンを借りていた人も、借り換えを機に60歳で返済終了とすることができます。期間を短くすると毎月の返済額は逆に増えることもありますが、無理のない範囲で期間を短くする努力をしましょう。

もうひとつは、繰上げ返済です。返済の途中で100万円、200万円など、まとまった金額をローン元本の返済に充てます。ある程度の金額を繰上げ返済に回せば、退職年齢までに返済を終えることができます。

ただし、むやみに繰上げ返済をするのは考えものです。前述のとおり、40代以降は出費もかさむので、手元に一定のお金を蓄えておく必要があります。貯蓄ができるとすぐに住宅ローンの繰上げ返済に回すということを繰り返していると、必要な時に貯蓄が足りず、高い金利のローンを借りることにもなりかねません。

繰上げ返済は、貯蓄や将来の計画とのバランスを考えて実行してください。

退職金で一括で住宅ローンの残りを返済する方法もありますが、確実に退職金がもらえ、金額もほぼ確定しているという人以外にはお勧めできません。

(3-2)保険は、節目で増やしたり減らしたりする

生命保険は、一度入ったらそれで終わりではありません。家族構成が変わり、年齢が変わり、ライフスタイルが変われば、必要な保障は変わってきます。

子どもが生まれた時には、教育費相当額(1人500万~1,000万円)の保障を増やすと安心です。一方、家を買った時には、住宅ローンと同額の団体信用生命保険に加入するのが普通なので、生命保険の死亡保障を(ローン金額の同額~半分くらい)減らすことができます。

また、子どもが独立すれば、ほとんど死亡保障は必要なくなります。50歳を過ぎた頃から、(経済的に余裕があれば)医療保障を厚くしたり、介護保障をつけると安心です。

無駄な保障を削ることで保険料を安く抑え、その分将来のための貯蓄に回すことができます。人生の節目節目で、保障を見直すことをお勧めします。

ルール4 家族でお金のことを話し合おう

40代以降の家庭では子どもも成長して、家族の一員としての自覚や役割を持っているはずです。将来の進路を話し合う時に、いくらくらいお金がかかるか、それをどういう形で誰が負担するのかなどを話し合ってみましょう。

老後のことは、夫婦2人の問題です。1人で予定を立ててもうまく行きません。折りあるごとに、夫婦で話をするのが理想です。
限りのあるお金を生かして使うためには、家族がよくコミュニケーションをとり、協力して情報を集め、家族にとって最もよい方法をみつけることが大切なのです。

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