わかりやすい社会保障制度
V.労働保険
2.雇用保険
雇用保険は、労働者の生活および雇用の安定と就職の促進のために、失業した人や教育訓練を受ける人等に対して、失業等給付を支給する制度です。「1週間の所定労働時間が20時間以上あること」「31日以上の雇用見込みがあること」の2つの要件に該当する労働者は、事業所の規模に関わりなく、原則として、すべて雇用保険の被保険者となります。雇用保険の保険料は労働者本人と使用者が支払い、国庫負担もあります。
雇用保険の受給要件は、就職しようとする意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12カ月以上あることです。
雇用保険の給付には、「求職者給付」(基本手当、技能修得手当、寄宿手当、傷病手当)、「就職促進給付」、「教育訓練給付」、「雇用継続給付」(高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付)があります。一般に失業保険と呼ばれているのは、求職者給付の中の基本手当のことです。基本手当の所定給付日数(基本手当の支給を受けることができる日数)は、離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間、離職の理由などによって、90~360日の間でそれぞれ決められます。
ただし、倒産や解雇等により再就職の準備をする余裕がないまま離職を余儀なくされた人(特定受給資格者)や、期間の定めのある労働契約が更新されなかった理由等により離職した人等(特定理由離職者)については、一般の離職者に比べて給付要件は緩く、給付日数は手厚くなる場合があります。