Ⅶ.保険契約者の保護
1.保険契約者の保護とは
保険の原理は、同じ保障を求める契約者がそれぞれ保険料を払い込み、所定の事故(「保険事故」といいます)が生じた場合には、払い込まれた保険料の中から保険金を支払う、いわば相互扶助(助け合い)です。たとえば、掛け捨て型の死亡保険は、被保険者の死亡による収入減等に備えたいと考える人同士が保険料を出し合い、不幸にも被保険者が死亡してしまった場合には、出し合った保険料の中から保険金を払う…そういう仕組みであるため、少額の保険料で、その何倍もの保障を受けることが可能なのです。
保険会社が破綻したとき、仮に払い込んだ保険料の返還を受けたとしても、その額は求めていた保障(保険金)には足らない場合が多いでしょう。また、返還された保険料をもって別の保険会社と契約し直そうとしても、破綻した保険会社との契約時から時間が経過し、年を取っていたり、健康状態等も以前と同じとは限らないために、同じ保障を求めても保険料が高くなったり、契約そのものができなくなる可能性があります。
そこで、保険契約者の保護は、保障機能の維持・確保を第一として、破綻した保険会社の有している保険契約を、他の保険会社等に移転・承継するなど、保険契約を継続することにより行っています。
Ⅶ.5.保険契約者保護機構 保険契約の継続を図る仕組み
責任準備金と保険契約の移転
保険契約者が払い込んだ保険料は、将来の保険金、満期返戻金等の支払いのために、保険会社により積み立て・運用されます。この積立金のことを責任準備金といいます。
破綻した保険会社の資産は、この保険会社に積み立てられているべき責任準備金を下回っていることから、そのまま保険契約を継続させても保障機能を維持・確保することは困難です。この場合、保険契約者保護機構が一定割合まで責任準備金を補償するべく資産の不足を補てんすることになります。
Ⅶ.5.保険契約者保護機構