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世代別・スタイル別のライフプラン

50代からのライフプラン

はじめに

50歳。退職まであと10年。
ずっと先だと思っていたものが突然視野に入ってきて、戸惑いを覚えます。
でも、10年かけて備えれば、そのときになって困ることはありません。
また、我が子に健全な金銭感覚を身に付けさせることも、この時期の大切な課題の一つです。

退職までに貯めるお金の計画を立てて実行!

1.子ども独立後に積立てを増やす

50代は、大きく二つのステージに分けられます。末の子どもが30~35歳くらいで産まれたケースで考えてみましょう。50代の前半は、子ども達が大学などで学んでいるために、家計費の多くを教育費が占めているという状態。後半は子どもが独立するため、急に家計が楽になるという状態です。

前回「40代からのライフプラン」では、40歳になったら月1万円ずつでも、退職に向けて積立てを始めようとお勧めしました。子どもが独立するまでは、その額を増やすのは楽ではありませんが、昇給があったときや、ボーナスに余裕があったときに、余分に貯蓄するように心がけてください。子どもが独立してからは、子どもにかかっていたお金をすべて貯蓄にまわす覚悟が必要です。

40歳から54歳までの15年間は年12万円、その後退職までの5年間に年150万円貯めれば、元金だけで930万円になります。
ただし、子ども独立の前に退職となる場合は「独立後に貯めるワザ」が使えません。あと10年、毎年均等に必要額を貯めていきましょう。月5万円ずつ貯めて、10年で600万円です。

2.いくら貯めたらいいか

退職までにいくら貯めたらいいかは、退職後にどのような生活をしたいか(毎月の支出がどのくらいか)、もらえる公的年金や企業年金、退職金はどのくらいかによって全く違いますが、ここでは、一般的な例で基本的な考え方を紹介しましょう。

退職後は、住宅ローンや子どもにかかる費用がなくなり、将来のための貯蓄や生命保険料も不要になるので、生活費は50歳での生活費(手取り収入)の5割くらいになります。

平均的なサラリーマン家庭(妻は専業主婦かパート)であれば、公的年金は現役時代の平均の生活費の約6割をカバーできる仕組みですが、これは退職後の生活費の8~9割にあたります。とすれば、生活費の1~2割分を、退職から20年分くらい準備すればよいということになります。

退職後の生活費を350万円とし、年金の不足分を60万円とすると、20年分で1,200万円。これに生活費以外に、予想される出費(自宅のリフォームなど)や予備費(病気や介護、事故に備えるお金)を加えたものが、退職までに準備したい金額になります。

予想される出費を生活費の2年分、予備費を生活費の1年分とすると、合計で1,050万円。生活費の不足分とあわせて2,250万円になります。
退職金が1,500万円なら、積立てで準備するのは750万円。現役時代の税引前の年収とほぼ同じ水準で、これがひとつの目安です。ただし、退職金がないサラリーマンの場合は、必要額は現役時代の年収の3倍程度になります。

一方自営業者は、もらえる公的年金が少なく(国民年金が満額もらえる夫婦で生活費の3~4割程度)、遺族厚生年金も退職金もないので、65歳までに年収の6~8倍の貯蓄が必要になります。国民年金基金や小規模企業共済など、自営業者の退職金・年金づくりを支援する制度を利用して、サラリーマンの数倍の貯蓄をする努力をして下さい。

3.何で貯めたらいいか

退職後のためのお金は、50代から貯める分も、リスクをとることができます。何割かは投資型の金融商品を利用する方がいいのです。

退職までは10年ですが、貯めるお金を10年後に全部引き出す(現金化する)わけではありません。退職後の10年くらいは、退職金から生活費などの必要額を引き出して使うのが普通でしょう。ですから、現役時代に貯めるお金は期間10年、20年以上の「長期」のスタンスで運用することができます。

長期(10年以上)に運用するお金の第一の注意点は、インフレになっても目減りしないようにすることです。

安全な資産とされる元本保証の「預貯金」は、インフレ率(物価の上昇率)が小さいときはいいのですが、インフレになると物価の上昇が預貯金の金利を上回り、その分預貯金が目減り(実際の価値が減ること)してしまいます。
インフレ率が5%で、預金金利(税引後)が2%なら、預けたお金は毎年3%目減りし、10年で約26%、20年で約46%も減ってしまいます。

これを避けるには、積み立てるお金の一部を「インフレに強いもの」で運用することが大切です。その代表は「株式」です。
不況でデフレ(物価が下落傾向にあること)の現在、株式市場は値下がりと低迷が続き、とても魅力的な投資先とは言えません。今の状況が続く限りは、預貯金で確実に貯める方法を選んでもいいでしょう。

しかし、経済改革の効果が出て(早く出て欲しいものです)、経済が上向きになり始めたら、運用先に株式をとりいれてください。退職後のための貯蓄の3~5割を、株式に投資することで、インフレに備えることができます。

前回も話したとおり、個別の株式に投資するには、まとまった資金や専門知識が必要ですが、株式投資信託なら、一口1万円前後から買え、特別の知識も必要ありません(基礎知識は必要です)。
毎月1万円ずつ、あるいはボーナスごとに数万円ずつ積立方式で株式投資信託を買えば、リスクを小さくし、安定した投資の成果を得ることができます。

50代後半に子どもが独立すると、貯蓄にまわす額がぐんと増えます。退職金では1,000万円を超えるお金を手にします。そのときに、株式投資信託の経験があるのとないのでは、大違い。経験があれば、自分の好みやプラン、相場の状況に応じて投資信託を選び、組み合わせることができますが、未経験者は、全部を預貯金に預けてしまいがちです。投資経験を積むことも、退職に向けた大切なプランのひとつなのです。

株式投資信託以外は、安定した金融商品の中から、長期で利回りが高くなるものを選んで組み合わせます。債券や公社債投資信託、預貯金、貯蓄型の保険を比較していちばん有利なものを選びましょう(何が有利かは、その時の状況によって違います)。

我が子にも健全な金銭感覚を

もうひとつ、この時期に心がけたいのは、我が子に正しいお金の感覚を身に付けさせることです。

最近は、就職しても親元から通勤する若者が増えています。20代前半ならまだしも、30歳を過ぎても親元に寄生し続けるのは、ちょっと異常です。

確かに独立するより、家賃や食費のかからない親の家に住むのが得ですが、この生活を続けていると金銭感覚が麻痺してきます。収入の大半を小遣いとして使うのが習慣になると、この「特権」を手放せなくなります。自分の小遣いだけ稼げばいいと、きちんとした仕事につかず、アルバイトを転々とする生き方を選ぶ若者も増えています。

彼らは、結婚しても自分達だけの収入で生活することができません。限られた収入でやりくりしたり貯蓄する習慣がないので、生活費が収入をオーバーしがちで、安易にローンを利用するという傾向が見られます。頭金ゼロで、返済能力を超えた住宅ローンを組んでマンションを買ってしまうカップルも珍しくありません。いずれも、自己破産の有力な予備軍です。

我が子が将来、金銭的なトラブルに巻き込まれないためには、子を甘やかしすぎないことが大切です。学校卒業後も家にいる子からは、家賃・光熱費・食費を徴収しましょう。

東京ならワンルームマンションの家賃だけでも月7万円かかりますから、月約10万円負担させるのが妥当でしょう。これを親の退職後の資金として積み立てると資金計画はずっとゆとりが出てきます。一部を、子どもの結婚資金や独立資金のために積み立ててやるのもいいでしょう。

結婚した子どもを援助する場合も、毎月小遣いをやったり、生命保険料やローンを肩代わりしてやるのは、けじめがつかずよくありません。子はいくつになっても「いざとなれば親が援助してくれる」とあてにし、真剣にお金の管理をしなくなります。
そうではなく、孫が生まれたときや、家を買うときに、まとまった額をお祝いや正式な「贈与」として渡すのがいいでしょう。

子どもを独立させるにあたって、正しい金銭感覚を身に付けさせるのも、親の大切な義務であり思いやりなのです。

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